近い、遠い
結婚すると、二人の距離は近くなる。
そう思っていた。
同じ家に住むのだから、少なくとも物理的にはそうだ。洗面所には歯ブラシが二本並び、冷蔵庫にはどちらが買ったのかわからない卵が入り、夜になれば同じ住所に帰ってくる。
けれど、それまで一緒に暮らしていた二人なら、結婚した翌日も歯ブラシは二本だった。
変わったのは何だったのだろう。
知り合いの夫婦は、何でも話す。 夫が転職サイトを見ると、妻も隣から画面を覗く。妻が人間ドックを予約すると、夫が自分の予定表を開く。休みの日にはだいたい一緒にいる。
別の夫婦は、ほとんど別々に過ごしている。 夫は釣りに行き、妻は映画に行く。寝る時間も違う。ただ、妻の母親が倒れたとき、夫は翌週の出張をキャンセルした。相談されたわけではなかった。
また別の二人は、よくしゃべる。 二時間でも三時間でも話している。昔の友人の話も、テレビの話もする。笑うことも多い。
けれど妻が地方への転勤を打診されたとき、夫に話したのは、ほとんど行くことを決めたあとだった。
夫は少し考えて、 「いいんじゃない」 と言った。
妻も、 「うん」 と言った。
最後の夫婦については、あまり聞くことがない。 夕食の時間が違う。休日も違う。夫が入院したことを妻の弟が先に知っていた。妻が仕事を辞めたことを夫は一週間後に知った。
四組とも、結婚している。
この四組を見ていると、夫婦には二つの軸があるように思えた。
一つは距離だ。 どれくらい話すか。どれくらい一緒にいるか。日常をどれくらい一緒に過ごしているか。
もう一つは関係の強さだ。 大事なことを一緒に決めるか。困ったときに相手を当事者として扱うか。人生の決定や危機に、相手がどれくらい入ってくるか。
二つを組み合わせると、四つになる。
最初の二人は、伴走型。 近くて、強い。
二組目は、同盟型。 遠いけれど、強い。
三組目は、親愛型。 近いけれど、弱い。
四組目は、離反型。 遠くて、弱い。
もちろん、ずっと同じ場所にいるとは限らない。
子どもが生まれたり、仕事が忙しくなったり、親が倒れたりする。そのたび二人は、知らないうちに別の場所へ移動する。
結婚したから近づいたのか。 一緒に暮らしたから近づいたのか。
結婚したから離れたのか。 毎日一緒にいたから離れたのか。
婚姻届には、そのへんを書く欄がない。
まし老人・茶美蔵人 著
※本作はAIとの対話を通じて推敲・構成を行っています。
