公務員漫遊記 #97「ラジオ体操」。
夏休みも終盤です。
夏休みといえば、海、花火、スイカ、宿題。
そして、ラジオ体操。
子どもの頃は、朝から眠い目をこすりながら行っていました。
正直に言えば、
「健康のために体を動かそう。」
なんて立派なことは考えていません。
行かなければならない。
カードにハンコを押してもらう。
そのために行く。
完全なる義務感です。
子どもの頃は、ただ眠かった
夏休みなのに、なぜ早起きしなければならないのか。
休みなのだから、寝ていたい。
そんなことを思っていました。
それでも起きる。
眠い。
外に出る。
近所の子どもたちが集まっている。
音楽が流れる。
腕を回す。
体を曲げる。
跳ぶ。
終わったらハンコをもらって帰る。
今思えば、ほんの数分です。
でも、当時の私にとっては、なかなかの一大イベントでした。
大人になって分かる
ところが、大人になって改めてやってみると、
「あれ、結構いいな。」
と思います。
朝の空気の中で体を動かす。
腕を伸ばす。
背中を伸ばす。
普段あまり動かしていないところまで動かす。
終わる頃には、少し体が軽い。
何より、朝から体を動かしたという事実が気持ちいい。
子どもの頃には分からなかった感覚です。
あの頃はハンコしか見えていませんでした。
今なら分かります。
ラジオ体操。
よくできています。
今の私のほうが必要では?
考えてみれば、今の私のほうがラジオ体操を必要としている気がします。
一日の多くを座って過ごす。
パソコンを見る。
肩が前に出る。
背中が丸くなる。
首も凝る。
そして、ときどき整体へ行く。
だったら、朝から少し体を動かせばいい。
理屈は完璧です。
職場でも、朝にみんなでやったらいいのではないか。
肩を回す。
背中を伸ばす。
少し屈伸する。
数分で終わる。
健康にもいい。
仕事前の切り替えにもなる。
なかなかいいアイデアです。
でも、義務になると違う
ただし。
ここで一つ問題があります。
「健康にいいから、職場でもラジオ体操をやりましょう。」
となった瞬間です。
毎朝○時から。
音楽が流れたら立ち上がる。
できれば全員で。
……。
あれ。
この感覚、知っています。
子どもの頃と一緒です。
自分からやると気持ちいい。
「やってください」と言われると、少し面倒になる。
やっていることは同じなのに。
人間とは不思議なものです。
良いことほど難しい
これは、ラジオ体操に限らない気もします。
運動しましょう。
休暇を取りましょう。
早く帰りましょう。
研修を受けましょう。
どれも大切です。
でも、
「やりましょう。」
が、
「やらなければならない。」
になった瞬間、少し違うものになる。
良いことだから、一律にやる。
それが必ずしも一番いいとは限りません。
やりたい人が自然にできる。
やっている人を邪魔しない。
そのくらいの距離感が、ちょうどいいこともありそうです。
夏休みの終わりに
子どもの頃は義務感で通っていたラジオ体操。
大人になった今は、その良さが少し分かります。
朝、少し早く起きる。
外に出る。
体を動かす。
一日が始まる。
なかなか気持ちいいものです。
当時の自分に教えてあげたい。
「ラジオ体操、意外といいぞ。」
たぶん、
「じゃあ代わりに行ってきて。」
と言われるでしょうが。
夏休みも、もう終盤。
私も朝のラジオ体操を楽しもうと思います。
そして職場でも――
いや、やめておきましょう。
「毎朝みんなでラジオ体操をしましょう。」
なんて言い出した瞬間、
子どもの頃の私が、一番嫌いだった大人になってしまいそうです。
