大国主命㉒-3|玉・沼・鳥・山岬―遠くへ伸びきる出雲十七世の終点
⑧ 多比理岐志麻流美神 × 活玉前玉比売神(いくたまさきたまひめ)
父は 比比羅木之其花麻豆美神。
活玉→生きた霊威を持つ玉
前玉→先立つ玉・表に現れる玉
と、娘の名に 活玉・前玉 が入るので、ここはかなりはっきり玉の霊力を帯びた女神と示しています。
・美呂浪神(みろなみのかみ)
「浪」が入っているので、波・水の動き・寄せる力 が感じられます。
「美呂」もやわらかく、水面のゆらぎのような音です。
ここでもまた、玉の霊威と水の流れがつながっています。
⑨ 美呂浪神 × 青沼馬沼押比売(あをぬまぬおしひめ)
父は 敷山主神。
娘の名には青沼・馬沼 があり、沼地・湿地・水をたたえた土地の神格を感じます。
「押比売」は、押し出す・支える感じもあります。
・布忍富鳥鳴海神(ぬのしとみとりなるみのかみ)
ここではまた 鳥鳴海の名が再び入りますね。
この系譜は、鳥・海・水・富・しずかな蓄えを繰り返し受け継いでいるのでしょう。
⑩ 布忍富鳥鳴海神 × 若尽女神(わかつくしめのかみ)
「若尽女」は、若い力を尽くす女神
あるいは若さが満ちる女神 のような響きがあります。
・天日腹大科度美神(あめのひはらおほしなどみのかみ)
この神名には、天・日・腹・大と天の日の力が腹の内に満ちるような大きい神格を感じます。
かなり光の要素が強まる印象です。
⑪ 天日腹大科度美神 × 遠津待根神(とほつまちねのかみ)
遠津待根神は天狭霧神の娘。
天狭霧神は、大山津見神と野椎神の子です。
「遠津」は遠くの、「待根」は根を待つ・根に通じる感じがあり、遠い根源に通じる女神という印象があります。
・遠津山岬多良斯神(とほつやまさきたらしのかみ)
この神で、十七代の系譜の終点になります。
名の中に「遠津」「山」「岬」「多良斯」があり、
遠い山・岬・土地の先端へ届く神格を感じさせます。
まさに、系譜が遠くへ遠くへ伸びきった先の名、という感じですね。
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以上、八嶋士奴美神から遠津山岬多良斯神まで出雲系神統の長い連なりを固定するための系譜が十七世の神となります。
この一連の流れ、ただ神名が並んでいるようで
水、沼、海、鳥、玉、甕、山が何度もくり返されています。
大国主の系譜が、婚姻によって各地の水・山・土地・霊威を結びながら広がっていく図なのでしょう。
男神だけの直線系譜ではなく、女神たちを通して土地の神格が注ぎ込まれていく系譜として見ると、とても面白いですね。
