大国主命㉒|十七世の系譜―男神の直線ではなく、女神から土地が注ぎ込む
故、此の大国主の神、
胸形の奥津宮の神、
多紀理毘売命を娶はせ坐して、
子、阿遅鉏高日子根神、
次に妹、高比売命、
亦の名は下光比売命、
を生みたまひき。
此の阿遅鉏高日子根神は、
今に謂ふ迦毛大御神者也。
大国主神、
亦、神屋楯比売命を娶はせし子、
事代主神を生みたまひき。
亦、八嶋牟遅能神の女、
鳥耳神を娶はせまし子、
鳥鳴海神を生みたまひき。
【鳴を訓み那留と云ふ】
此の神、
日名照額田毘道男伊許知邇神を娶はせまし子、
国忍富神を生みたまひき。
【田より下、毘、又伊より下、邇に至り、皆音を以てす】
此の神、
葦那陀迦神、
亦の名は八河江比売を娶はせまし子、
速甕之多気佐波夜遅奴美神を生みたまひき。
【多より下八字、音を以てす】
此の神、
天之甕主神の女、
前玉比売を娶はせまし子、
甕主日子神を生みたまひき。
此の神、
淤加美神の女、
比那良志毘売を娶はせまし子、
多比理岐志麻流美神を生みたまひき。
【此の神名、音を以てす】
此の神、
比比羅木之其花麻豆美神の女、
活玉前玉比売神を娶はせまし子、
美呂浪神を生みたまひき。
【木の上三字、花の下三字、音を以てす】
【美呂の二字、音を以てす】
此の神、
敷山主神の女、
青沼馬沼押比売を娶はせまし子、
布忍富鳥鳴海神を生みたまひき。
此の神、
若尽女神を娶はせまし子、
天日腹大科度美神を生みたまひき。
【度美の二字、音を以てす】
此の神、
天狭霧神の女、
遠津待根神を娶はせまし子、
遠津山岬多良斯神を生みたまひき。
右の件、
八嶋士奴美神より以下、
遠津山岬多良斯神を以前を、
十七世の神と称く。
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こうして大国主神は、
宗像の奥津宮の神である多紀理毘売命を妻に迎えて、
阿遅鉏高日子根神と、
その妹の高比売命
(別名・下照比売命)
を生みました。
この阿遅鉏高日子根神は、
今でいう賀茂の大御神のことです。
また大国主神は、
神屋楯比売命との間に
事代主神を生みました。
さらに、八嶋牟遅能神の娘・鳥耳神を妻に迎えて、
鳥鳴海神を生みました。
その鳥鳴海神は、
日名照額田毘道男伊許知邇神を妻に迎えて、
国忍富神を生みました。
その国忍富神は、
葦那陀迦神
(別名・八河江比売)を妻に迎えて、
速甕之多気佐波夜遅奴美神を生みました。
その神は、
天之甕主神の娘・前玉比売を妻に迎えて、
甕主日子神を生みました。
その神は、
淤加美神の娘・比那良志毘売を妻に迎えて、
多比理岐志麻流美神を生みました。
その神は、
比比羅木之其花麻豆美神の娘・活玉前玉比売神を妻に迎えて、
美呂浪神を生みました。
その神は、
敷山主神の娘・青沼馬沼押比売を妻に迎えて、
布忍富鳥鳴海神を生みました。
その神は、
若尽女神を妻に迎えて、
天日腹大科度美神を生みました。
その神は、
天狭霧神の娘・遠津待根神を妻に迎えて、
遠津山岬多良斯神を生みました。
以上、
八嶋士奴美神から下って、
遠津山岬多良斯神までを、
十七代の神々と呼ぶのです。
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ここの段は、物語ではなく
大国主神を中心に、さまざまな女神との婚姻を通じて、土地・水・山・霊威を結ぶ大きな神統が広がっていく段となります。
ただ男神の直線的な系譜を並べるだけでなく、毎代ごとにどの女神を娶ったかがちゃんと書かれていることが興味深いですね。
次回この系譜を少し詳しく綴ってみようと思います。
