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ベルギー&オランダひとり旅#06.アントワープ聖母大聖堂でパトラッシュの気持ちになってみる

 その日は小雨と霧雨が交互にやって来るような天気だったと思います。

 ホテルを出たのは朝9時頃で、そこから軽く街を探索。目的地に到着したのは開場の10分ほど前だったでしょうか。門の前にはすでに観光客の方々が集まっていました。


聖母大聖堂(ノートルダム大聖堂)

 アントワープ中心部にある聖母大聖堂(ノートルダム大聖堂)は、1352年~1521年の170年近い歳月を経て建造されたローマ・カトリック教会です。その規模はゴシック様式の大聖堂としては国内最大。鐘楼がある北塔の高さは123 mを誇ります。

 1999年にはユネスコ世界遺産の「ベルギーとフランスの鐘楼群」の建築物として登録され、日本人にとっては『フランダースの犬』の舞台となった教会としても知られています。 

パトラッシュ、どうせならもっとかわいく作ってほしかった

 観光客は、大聖堂の中央にある大きな扉の前に集まっていました。

 もともと人の多いところが苦手な私は、少し離れた場所からその様子を伺っていましたが、ふと、向かって左側の小さな扉の前に女性がひとり静かに佇んでいるのを見つけます。暗めの色のレインコートを着た、落ち着きのあるふくよかな女性。おそらく現地の方だろうことは想像に難くありません。

 なんとなくその方の安心感に引き寄せられて、開場までの数分間、お隣にお邪魔することにしました。

 肌寒さを感じさせる雨の行方を見ながら待つこと数分・・・。

 背中越しに門の開く音が聞こえ、それと同時に隣にいた女性は出てきたスタッフの方と言葉を交わし、中へと消えていってしまいました。この後すぐに分かりますが、どうやら聖堂の中にある礼拝堂(という呼び方でいいのだろうか)で静かに祈祷できるよう観光客等が入って来ないように管理されている方でした。

 中央の大きな扉が入口だと思っていた私は、スタッフの方に「入って大丈夫か」と確認し、ここが入口であることを知ります。入ってすぐのチケット売り場で12ユーロを支払い、改札口のような入り口を抜けると、人が一切いない静寂に包まれた荘厳な空間が広がっていました。

 予期せず一番乗り――。そして、感動。

白い色が素敵だった

《キリスト降架》

《キリスト降架》

 椅子に座ってゆっくりしようかとも思いましたが、私はこの絵を観に来たんです。

 バロック美術を代表する画家で、「王の画家にして画家の王」と称されるピーテル・パウル・ルーベンスが1611年~1614年に制作した《キリスト降架》

 三連祭壇画ということで、中央には「キリストの十字架降架」、左側には「聖母マリアのエリザベト訪問」、右側には「神殿への奉献」が描かれています。

 そして、祭壇画を閉じると左右パネルの裏側に描かれている絵画を確認できるわけですが、そこには「キリストを背負う聖人クリストフォロス」と、「ランプを手に道を照らす隠者」が描かれていました。

「キリストを背負う聖人クリストフォロス」
「ランプを手に道を照らす隠者」
写真だと見えずらいですね
より鮮明に見たい方はウィキペディアでどうぞ

《キリスト昇架》

《キリスト昇架》

 聖母大聖堂には向かって右側に《キリスト降架》、左側には《キリスト昇架》があります。

 こちらの三連祭壇画は1609年~1610年に制作され、左翼には嘆き悲しむ女性と子どもたち、右翼にはキリストを磔刑に処すよう指示を出すローマ軍の司令官が描かれています。

 個人的には《キリスト降架》よりもこの《キリスト昇架》の方が迫力があって好きでした。ものすごい肉体表現。今にも飛び出してきそうな馬の勢いと力強さにも惹かれました。

両翼のパネルの裏には
二人の聖人

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ずっと観てられる

 この感嘆するしかない迫力と美しさ・・・。

《キリスト降架》と《キリスト昇架》は、ネロが「あれを見られるなら僕は喜んで死ぬよ。」とまで言った傑作です。ネロとパトラッシュは、この絵の前で眠りについたんだなあ・・・なんて考えながら観ていると、込み上げてくるものがあります。

 と言っても、物語をちゃんと読んだことはないんですけどね。ただ、山田五郎さんの「『フランダースの犬』の主人公はネロではなくパトラッシュで、クリスマスの夜に起きたことはパトラッシュにとっては奇跡である」という解説は、何度聞いても涙してしまいます。

【フランダースの犬】ネロが死ぬほど見たい絵!鬱エンドに新解釈!?【クリスマス企画・ルーベンス】

《聖母被昇天》

 さて、聖堂にはもう一つの祭壇画があります。

 それは《聖母被昇天》。1625年~1626年に制作されました。

 建物の中央に掲げられたこちらの作品。聖母大聖堂としてはこの祭壇画がメインなのでしょうが、私はやはり《キリスト降架》と《キリスト昇架》の方が好きでした。《聖母被昇天》は柔らかく優しい色遣いで天国に向かって昇天していくマリア様が描かれている一方、前者の二作には、泥臭い人間の姿と本質がリアルに描かれているように感じたからかもしれません。

あったかい雰囲気がする絵だよね

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◆地下の様子

 さて、大聖堂の中には地下に通じる狭い階段があって、下りていくと古い墓石のようなものが並んでいました。

何となく
時代を遡ったように感じるなあ

◆聖堂内の様子

 最後に、いくつか写真を載せて終わりにしたいと思います。

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 1時間程度滞在しましたが、できればもっと長く居たいと思うほどに素敵な空間でした。

 また行きたいなあ・・・。

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