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短編小説『女子会、青空の下で』

「ミクって毛のツヤとか流れとかキレイじゃん。サロンはどこ行ってる?」   
 サツキが興味津々で見つめながら話す。
「そう? 私は街ナカのピエールって小さいお店。美和子さんが気に入ってるみたいで。あの……自然由来の何とかってトリートメントしてもらってるからかな。上手くて寝ちゃいそうになるけどね」
 ミクは少し照れながら答えた。

「へええ、いいなあ。私なんてチェーン店の安いとこだよ。見てよ、毛先とかパッサパサでさあ」
 サツキは日に当たった毛先が跳ねているのが気になるようだ。
「あはは……まあ、自分じゃなかなか選べないもんね。でもサツキ、こないだ静香さんがケーキ買ってくれたって言ってなかった?」

「そうそう!静香さんにしては珍しいなと思った。でね、凝った可愛いデコレーションしてあってさ、あれ嬉しかったし、美味しかったからさ、いつもより味わって食べたー!愛情ってやつだよね」
 そう嬉しそうに話すサツキを見ていると、なんだかんだ言いながらも静香さんが大好きなのだというのが伝わってくる。

「えー、私もそういうのが良いなあ。私スイーツ系まだ食べたことなーい」
 ミクは少し羨ましそうにそう話すと、サツキは思い出したように続けた。

「でも、こないだ美味しいお肉食べるんだってミク言ってたじゃん?」
「ああ、あれねー。何のお肉か忘れちゃったけど、なんか期限近かったのかな? 安かったから美和子さん買ったみたいで、食べたらめっちゃ柔らかくて美味しかったんだけど、あれ以降は出ないんだー。また食べたいなあ」

「そっか……ねえミク、さっきから向こうで走ってるあの子、なかなかいいんじゃない?」
 少しそわそわしながら、サツキがミクに小声で話しかけた。

「ああ、あの子ね。凛々しくてシュッとしてて、サツキ好きそう~」
「そうなの~ミクさんってばよくわかってらっしゃる~、ああいうオスに弱いんだよね、私」
 サツキのこういう少し照れる仕草がかわいいんだよなあ、とミクは思いながら少し背中を押してみる。

「あはは、じゃあ声かけてみる?」
「やだ……私、そういうの苦手なんだってば」

「またまた……そう言いながらさ、サツキってばこないだ別の子に道端で声かけてたじゃん。あれ私見てたんだから」
 ミクがニヤリとしながらサツキの耳元で囁いた。

「えっ……ウソ!見てたのー?もうやだ!めっちゃ恥ずいじゃん。あ、あれはその……ね、静香さんの友達の子だからさ」
 サツキは顔を真っ赤にしながら慌ててそう弁明するが、その表情にニンマリしながらミクは聞いていた。

「へええ、そうなんだ。まあ、あの時の子も似たようなタイプだったもんね。いい匂いもしてるし、サツキってホントわかりやすーい」
「そ、そうなんだよね……私、見た目とかで選んじゃうほうだから」
 うん、目を逸らしながら舌をペロッと出すサツキもかわいい。

「……でもさあ、見た目と中身が釣り合う事ってなかなか無くない?」
ミクは話の流れでつい、そう漏らしてしまった。

「中身……ね、それは確かにそうかも」
意外にサツキもそれには同感のようだった。ミクはそのまま続けて話す。「私も良いなって思う子が居て、めっちゃいい匂いしてたしさ。そしたら見た目に反してオラつく系の子だったわけ。そこホント難しいとこだよね」

「あはは、ミクはそっち系好きかと思ってた」
「ちょ、待ってよ、やんちゃ系とオラつくのはまた違うくない?」

「え~、そこは私わかんないとこだわ。あ、ごめんミク、静香さんが行くみたいだから私も行くね」
「うん、わかった。サツキもまた話そ」


『——じゃあまたねー、ミクちゃん、美和子さん!ほらサツキ、行くよ、おいで』
 静香さんにリードを引っ張られて、後ろ髪を引かれるようにサツキが連れていかれた。

『静香さん、サツキちゃんまたねー!』
 サツキちゃんと静香さんを名残惜しそうに見つめるミクを、そっと撫でながら私は言い聞かせた。
『じゃあミクも行こっか。またここのドッグラン来ようね』




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