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透明になりきれない影

多様性という言葉は
正しさの形をして
静かに宙に置かれている
触れようとすると
光の粒みたいにほどけて
手のひらから零れ落ちていく

公平という響きは
答えを持っているようで
どこか遠くで
誰かに薄められた影のよう

胸の奥の声だけが
熱を帯びたまま
切なく
波紋のように広がっていくのに
世間の温度は
それを受け止めるには
少し冷たすぎる

表面的な言葉だけが
風に揺れる紙片のように並べられて
理解したふりの光が
淡く漂っている
そんな簡単じゃない
そんなすぐに溶け合えるほど
私たちは透明じゃない

それでも
私は私にしかなれず
あなたはあなたにしかなれない

滲むようにしか在れなくて
無理に形を変えることもなく
ただ
この淡い輪郭のまま
世界という風にそっと触れている

多様性とは
誰かに許されることでも
誰かに証明されることでもなく
私という影と光が
ここに在るという
静かな事実のことだと
ようやく気づき始めている



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