ブルーベリーと社畜の歌
雨の合間に庭に出ると、ブルーベリーがいつの間にか色づいていた。
熟れて地面に落ちた実が30粒ほどあった。勿体ないことをした。

手籠を持ってブルーベリー収穫。
葡萄状に実がなるので、ひとつの実をもぎっていると、近くの熟れたブルーベリーが勝手に落ちてしまう。
手籠を枝の下に差し入れて、自発的落下ブルーベリーに備える。
一回で大体150個ぐらい取れる。
株を一周するように注意深く見て、完熟したブルーベリーの実を取り終える頃には腰が痛くなる。
アタタタタタ……よっしゃー、取ったど〜!
ケンシロウからよゐこ濱口まで幅広い感想が得られるのが、ブルーベリー狩りの良いところ。


ところで、先週は夫の仕事が忙しかった。
帰宅するのは午前様。
もうすぐ午前様か午前様過ぎに帰って来るのがデフォだった。
或る日、夫が徹夜して出勤し、零時過ぎに帰宅した夜のこと。
帰宅して手洗いうがいを済ませ、着替える時に、
何故か私の部屋着のワンピースを着始めた。
「やめて、やめて、やめて、ぎゃ~」
と言って、脱がさせ、事情聴取したところ、
「仕事が忙し過ぎて、頭おかしくなりかけてた」
とのことだった。
いや、既に頭おかしいから、との言葉を飲み込んで、夫を放免した。
夫は徹夜の末に一日中PCを見つめていたので、目が霞むとしきりに訴えた。
我が家のブルーベリーがどこまで夫の眼精疲労に効果があるか解らないが、気は心だ。
布団から出て、採れたブルーベリーをザルに開け、ガッシガッシ洗った。
ショットグラスにブルーベリーを盛り付け、夫に出した。
「一気に行っちゃって」
と言い、言われた夫も一気に酒をあおるようにブルーベリーを口に流し込んでもぐもぐ食べる。
空いたショットグラスに追いブルーベリー。
「さぁさ、どんどん」
わんこブルーベリー状態である。
夫も思考力が落ちて朦朧としているので、どんどん食べる。
「今年のブルーベリー甘いな」
なんて言いながら、半分くらい食べた。

その日は夫が寝室に来るのを待たず寝落ちした。
翌朝、夫が目の下にクマを作って、寝室の扉を開け、
「二徹しちゃった。行ってくるね」
と、出社モードで出掛けて行った。
眼鏡で行けば良いのに、無理してコンタクトを入れて出社。
何だろう?会社の女性陣にモテたいのだろうか?
オッサンの癖に。
その日の夜、夫は午後8時30分頃帰宅した。
夕飯を食べると、そのままリビングの床で鼾をかいて寝始めた。
良く見るとパジャマの上着にトランクスの組み合わせで寝ている。
本当に夫のファッションセンスが解らない。
一時間は放置しておいた。
そろそろ背中が痛くなって来るだろうと、夫を起こし、パジャマのズボンを履いて寝室に行くよう促した。
夫は寝ぼけ眼でズボンを履いていた。
寝室に入って夫を見ると、パジャマのズボンは腰履きになっていた。
お臍まで上げる余力が無かったのか、下着が上半分こんにちは!していた。
本当に夫のファッションセンスが解らない。
寝ている夫の横で、ダラダラとタブレットを見ていると夜が明けて来た。
朝4時になると、小鳥達の鳴き声が聞こえ、カーテンの隙間から白み始めた空が見える。
夫を入浴させねばならぬので、今から寝れないな〜、あと1時間は起きてないとなぁ、と思ってガックリ来た。

英気を養うため、キッチンに行き、大学時代の友人が送ってくれたオルディネールのテリーヌショコラを冷蔵庫から取り出し、一切れ切り、紅茶を淹れて空腹感と睡気を追いやった。
朝5時になったので、寝室に行き、夫を起こした。
「起きて、ホラ、お風呂入るんでしょ?」
夫はガバっと身を起こし、おはようの挨拶も無く、シャワーを浴びに行った。
何かこれデジャヴ、と思ったら、クズマックスさんの「社畜」怪獣バージョンじゃん?と思った。
社畜も大変だが、社畜の妻も大変なのである。
誰か替え歌作ってくれないかな〜

ちなみに、この記事を書くにあたり、私のワンピースを何で着たのか、尋問したところ、「シオンの笑いが欲しかった、ワンピース涼しそうだなと思って」との答えだったが、半信半疑である。
夫のファッションセンスが本当に解らない……。
原紫苑(ハルシオン)でした🐦💕
