おとなしくて従順な子供を可愛がる母親。感性豊かなで、表現上手な子供を可愛いがれない母親。母親の養育環境の影響は、長く続くよ、どこまでも。
兄弟の性格は、正反対だった。
1人は、おとなしくて従順で、自分から話をしたり、強く何かを主張することがなかった。父親と母親の気質は、正反対で、内気な母親の方に似ていた。
もう1人は、感受性が強く、想像性豊かで、気になる事が世の中にいっぱいだった。母親にいっぱい話かけて、ディベートが好きな子供だった。社交的で勉強熱心な父親に似ていた。
母親は、おとなしくて従順な方の子供を、とかく可愛がり、いい子だね、と褒めた。成長しても、母親の言いつけを最優先に考えて行動するので、母親とは言い争う事はなかった。いつも、母親と協調していた。
対して、もう1人の子供の方は、成長と共に社交や知識を蓄えてくると、積極的に母親と話をしたがった。母親と話が噛み合わないことも増えた。母親は、話が理解範疇を超えると、「理屈っぽい」「屁理屈」「しつこい」「そのうち分かるから」「考え方が幼い」「お父さんに似ている」の6パターンで、話す内容を受け止めるのではなくて、否定するようになった。思い返せば、父親には抱きしめてもらって、いつも守ってくれた記憶はあるのに、母親に抱きしめてもらったり、頬ずりされたり、無条件に守ってもらった記憶はない。
母親の生きがいは、父親をけなす事一本だった。そこに同調する子供は、可愛がられた。母親に同調出来ない子供は、父親共々、その性格は改めなさいよ、と否定された。母親は、自分の味方であるか敵であるかの判断基準「同調」で、兄弟を区別し始めた。同調する子供は可愛い。だから、同調する子供の顔をデッサンで描いて、壁に貼って「可愛いね、私にそっくりだ」と喜ぶ。同調しない方の子供は、自分の絵を描いてもらえなくて、淋しかった。
その絵が貼られている長い間、ずっと淋しい気持ちだった。
同調しない子供が褒められるためには、母親のお手伝いを率先してやるしかなかった。率先してお手伝いをするようになって母親に褒めらる事が増えたら、もう1人の子供は、何もしないでも母親に褒めらる形が常態化した。何もしない方の子供は、もう1人がお手伝いで忙しそうにしていても、「一緒に手伝おうか?」と協力しようとする事はなかった。おとなして従順、そして自分以外には無関心だった。それでも母親は、おとなしくて従順な子供の方は、何をしなくても、ただそこにいるだけで褒めていた。
あれから20年以上、母親はまだ言う。
「その歳にもなっても親の気持ちが分からないんだ。随分と頭が幼いね」。
そして必ず、もう1人のおとなしくて従順な子の方はすごく頑張ってるんだ、と誉める。
子供を自分も育ててみて、思う。
価値観が違う子供も、似ている子供も、どっちも可愛い。成長すれば新しい事を各々身につけて、沢山の事を親に教えてくれる。
ただただ無条件に愛おしい存在。かけがえのない存在。遺伝子を継承する生物学的な本能で守りたくなる存在。
だから、母親の育て方が何故そうなってしまったのか、今もまだ理解出来なくて、やっぱり今も、母親には同調出来ていない。
父親は、どちらの子供も手放しで可愛がった事を思い出す。疲れている日も、プールやサイクリング、少ない小遣いで子供達を連れて行って、揺れる木々の枝、しなるヒマワリ、季節の香り、草や雑踏の匂い、手作りブランコ、波の音、父行きつけの店。
子供達の情緒を育んでくれた。
そんな愛情深い父親は、死ぬ前の反論出来ない病状になっても尚、母親自身が、過去に父親に傷つけられた内容を並べ上げ、最悪な悪党だと罵られていた。
母親は、父親が亡くなった今も、別に悲しくない、物足りないだけ、と淡々と言う。
悲しむ事がうまく表現出来ないだけなのか、悲しむ様子がない。
毒親、鬱、発達特性と子育て、アダルトチルドレン、愛着障害、複雑性PTSD、パーソナリティ障害、母子共依存、親子カプセル、バウンダリー、セルフ・コンパッション、マインドフルネス、気質、個性。
どれもこれも、母親を介護する事になった時に、ちょっとまた苦しくなりそうな話だね、きっと。
高齢になると脳機能が低下して、記憶力・理解力も低下してくるからね。脳の抑制力が弱くなると、平然と傷つける言葉を言い放ってくるかもしれないね。
そう、それでも親は変わらないし、自分も中々変われない。介護サービスもケアマネジャーも人手不足で、昔みたいに丁寧に家族の悩みに関わる余裕がない。
自分の子供を愚痴の行き場にしてしまったら、今度は自分が毒親になって、子供を苦しめてしまうからね。子供が苦しい想いをするのは、もう終わりにしたい、避けたいもんね。
だからね、noteで見つけておこうね。
親の介護や関わりで疲れた心の行き場に繋がりそうな優しいページを。
noteの中に、寄り添って共感してくれるような、心の優しい人たちが綴った、心の行き場に繋がるページがきっと沢山あるからね。
大丈夫。
