見出し画像

「頑張らなくていい」が、時に苦しくなる理由

「頑張らなくていい」が、時に苦しくなる理由

「頑張らなくていいよ」
この言葉に私自身、
何度も救われてきました。

この子は、もう十分に頑張っている。
みんなと同じスタートラインに立つだけで、
見えないところで、何倍もの力を使っている。

周りと同じように見える場所に立つために、
この子がどれだけのエネルギーを使っているかを、
親である私は知っていました。

だから、これ以上無理をさせなくていい。
これ以上、苦しい思いをさせなくていい。

そんな氣持ちを込めて、
私は子どもに
「これ以上頑張らなくていいよ」
と声をかけてきたのだと思います。


でもある時、ふと違和感を覚えました。

それは、
『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である
宮口幸治先生(立命館大学 教授)の講演会に
参加したことがきっかけでした。

講演のテーマは、
「『ケーキの切れない非行少年たち』の筆者と考える不器用な子どもたちにどう寄り添うか」。

その中で語られていたのは、
「頑張らなくていい」という言葉が、
必ずしもすべての子どもにとって
救いになるわけではない、という視点でした。

その話を聞いた時、
私は、はっとしました。


それは、
私がかけていた言葉の中に、
本人の氣持ちは、本当にあっただろうか
という問いでした。

この子は、本当はどう思っているんだろう。

できないことがあるのは分かっている。
苦手なことがあるのも、本人が一番分かっている。

それでも、
「みんなと同じところに行きたい」
「みんなと一緒にやってみたい」
そんな氣持ちを、この子は確かに持っていました。

もし、親や先生が先に
「無理しなくていい」
「頑張らなくていい」と
手を引いてしまったら。

その子の
頑張りたい氣持ち」は、
どこへ行くのだろう。

それは守られたのではなく、
置き去りにされてしまうこともある。
そう氣づかされました。


もちろん、
させてはいけない努力はあります。

特性上、
無理に乗り越えさせることで
心や体が壊れてしまうこともある。

だからこそ、
「頑張れ」一択ではいけない。

でも同時に、
「頑張らなくていい」一択になるのも、
違うのかもしれない。

現実には、
頑張ったからといって
届かないことの方が多い。

努力しても、
同じゴールに辿り着けないことは
たくさんあります。

それでも、
大事なのは結果だけではありませんでした。

「やり切った」
そう思えるところまで、
みんなと一緒に立てたかどうか。

届かなかった現実を、
一人で突きつけるのではなく、
大人と一緒に見たかどうか。

その上で、初めて、
「ゴールはひとつじゃない」
「別の道を選んでもいい」

そうやって、
本人が選び直せる余白が
生まれるのだと思います。


親の優しさと、本人の願い。

この二つは、
とても近くて、
とてもズレやすい。

だからこそ、
「頑張らせるか/頑張らせないか」ではなく、

同じゴールに届くかより、
頑張りたい氣持ちを
どう支えるか。

そこが、
一番大事なのだと思うようになりました。

これは、
正解のある話ではありません。

今も私は迷いながら、
揺れながら、
考え続けています。

でも、この子の氣持ちを
置き去りにしないこと。

それだけは、
忘れずにいたいと思っています。


※補足
この違和感を言葉にするきっかけになったのが、
宮口幸治先生の講演会でした。

講演の中で、特に心に残った話があります。

「見る力が弱い子は、聞く力も弱い」
視覚情報を捉える力が弱い子が、
一度に多くの指示を聞き取り、
さらに後先のことを考えて行動する力を
どれほど持てるのだろうか。

また、
「頑張ったら支援します」
という言葉はよく聞かれます。

けれど、
頑張れない子どもはどうなるのか。

本当に支援が必要なのは、
「頑張れる人」ではなく、
頑張ること自体が難しい人たちなのではないか。

その言葉を聞いたとき、
「頑張れない」という側面だけを見て、
その奥にある“頑張りたい氣持ち”を、
私はちゃんと見ていただろうか

そんな問いが浮かびました。

そして私は、
「頑張らなくていい」と守ることで、
この子の中にあった
同じ場所に立ちたかった氣持ちを
置き去りにしていなかったか、
立ち止まって考えるようになりました。

この違和感は、
この子の氣持ちだけの問題ではありませんでした。

私自身が、
どんな不安や恐れから
そう関わってきたのか。

それは、次のnoteで
書いてみたいと思います。


※このnoteは、
YouTubeショートでお伝えしきれなかった
背景や考えを、
少し丁寧に言葉にしたものです。

もし、同じような違和感を抱えている方がいたら、
「一人じゃない」と
感じてもらえたら嬉しいです。


いいなと思ったら応援しよう!