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【ネタバレ考察】 個人的感想メモと次回作予想 『魔法少女まどか☆マギカ <ワルプルギスの廻天>』

『ワルプルギスの廻天』
見た。
期待してたけど、超えて来なかった。
完結編かと思って見たら、そんなに綺麗に終わってなかったからだと思う。
前作のアンサーとして見ても、確かによくできてない。
まどかとほむほむがどうなるのかの話が進展してない。必要ない蛇足に見える。
それにいつものキャラの掘り下げじゃなく、新キャラの説明に時間を使ってたので、キャラの関係性を期待して見た人は批判しそうだなと思った。
でも「商業主義のためにいつまでも続けられるよう延命させるのが目的」「まどマギはおわらせられなくなった」「感情の相転移エネルギーの搾取構造は資本主義のメタファー」みたいな意見があると思う。けど違うと思う。分かってない人がそう判断してるだけなのではないかと思う。
このガッカリ感はエヴァQの時に似てる。三部作がついに完結すると期待してたらガッカリさせられた感。でもその時批判してた人は、続きがあるというのが分かってなかったと思う。
エヴァもアベンジャーズ:インフィニティウォーもそうだけど、4部作の3作目は全てを失って感情曲線が落ちるものだ。それが分かってたら、まどマギも、来たる次の完結編のための助走だと察するはず。僕はまだ全然続編があると期待してる。
ここでは「本作での目的は何だったのか」と「次回作の展開予想」を書く。ネタバレするので注意。
他作品のネタバレもするので注意。


本作での目的は何だったのか


本作でやっていた事は、前作のほむほむの行動に対する批判である。
まどかを円環の理から引き離した事の正否を問う物語だ。
論点は主に二つあったように思う。

①魔女化システムを破壊した事の是非

この意見を代表してたのはオレンジ色の子、セルマ。
あの子はキュウべえが運営してたシステムに救われた子だった。
自分の絶望だけで終わる人生に意味を与えてくれるものだし。そうなるようにマルグリートとキュウべえが作ってれたものだったから。だからキュウべえとマルグリートが好き。そのシステムを壊してマルグリートの上位存在に成り代わって尊敬されてるまどかは、マルグリートの功績を無かった事にした奴だから嫌い。
「何でそんなにみんなまどかが好きなの?元のシステムの方が良かったじゃん!」と思ってる。

この子は物語的には「ほむら→まどか」がやった事を「まどか→マルグリート」の行動と対比して相対化して見せてる。
けどこれはあまり上手く機能してない。セルマには同情するけど、システムはどんどん改善していってるんだし。この子の話は別に要らなかったな。

②まどかを円環の理から分離した事の是非

これが本作メインの問題提起。円環の理から人格を引き剥がして独り占めした罪の訴求。
これは確かに悪い。みんなの神様なのに、ほむほむだけズルいわ。
紫丁香とか、あの名前の無いワルプルギスの擬人化の子とかは、円環の理に名前を呼んでもらってたから成仏してハッピーだったのに、それが無くなってただの回収システムになったらそれはみんな怒るよね。

で、本作は何??

映画一回しか見ていないし、終盤が抽象的でよくわからなかったのだが、何も進んでないように見えた。結局まどかは円環の理に戻ってしまって。ほむほむがどうなったかはちょっとよくわからない。新編の前に戻っただけ!
一応、少しだけは進んだ。今までほむほむに批判的だったメンバー達が応援してくれるようになった。戦いはこれからだエンド。
冒頭で本作が蛇足と言ったのはこれで。展開が進まず、前作の問題点を整理しただけになってる。批判してる人の感情は、まとめたらこれだけに絞られると思う。

本当にみんなが求めてるのは、ほむほむとまどかが結ばれるかどうか。ちゃんと一緒にいられてハッピーエンドになるのかどうかだ。
過去2作ではそれぞれ真逆の終わり方で、はっきりと描いてた。

「まどマギ」はやっぱり「エヴァンゲリオン」と比べられると思う。どっちもテーマが「痛みのある成長の肯定」みたいなやつだから。
まどマギTVシリーズは成長の苦しさを描いてる。よく見るとまどかと母との会話がストーリーのメインであって、魔法少女の話はそれのメタファーになってる。
魔女(大人)への成長が醜悪で、少女性の維持が良いもののように見える構造になってる。最後は悪い大人にならないように、少女達の魂を救う話だ。
でもあの少女趣味の強い世界観の心地よさに浸ってしまうと「エヴァの呪い」にかかって成長が止まってしまう。

1作目(TVシリーズ)では、痛みを伴う成長を肯定するから心に残った。最悪のハッピーエンド。
2作目ではそれを否定して、卵の中で成長して澱む世界にしたから心地よかった。最高のバッドエンド。(「痛みの伴う成長の否定」=「エヴァの呪いの肯定」)

なのに3作目は??何も起きてない!!

次回作の展開予想


じゃあどうなれば綺麗に終わって、みんなが納得する最終回になるのか。予想した。結局この3つしかないと思う。

①絶望を受け入れる。

苦しい成長の肯定。宇宙の終わりや、まどかとの別れを受け入れて生きていく。心地のいいバッドエンド。
こうなりそうな予感は少しある。一番まどマギっぽい。TVシリーズに似た終わり方。
宇宙の延命なんて寿命の短い人間には関係ないし、ほむほむが執着を手放すような痛みを伴う成長をすれば、一作目みたいな感じで綺麗に終われる。

②成長を否定する。

もう一度、新しい世界を作る。居心地の悪いハッピーエンド。(最高のバッドエンド)
終わる世界の中で、インキュベーター達に干渉されない世界を作る。新しい
、いずれ滅びる宇宙の中で、自分達だけの世界に閉じこもって楽しく暮らす。その世界の中で一生を終えるエンド。
それでよかったの?という余韻を残して終わる。2作目に近い余韻。これを求めてる人は多い気がする。少女性を保ったまま永遠に幸せな時に閉じこもる。
世界を作ってもまたインキュベーター達がいる限り干渉してきそうなので、インキュベーターを操ってる宇宙文明を滅ぼすかも。
本編の中でなぎさが「世界がどうかなんか関係ない」「自分がどうするか」「楽しむだけだ」的な事を言ってたので、もしかしたらこんな実存主義的な終わり方もあり得るのでは無いかと、映画見ていて思った。

③宇宙を救う。

これが一番ありそう。心地のいいハッピーエンド。(オープンエンド)

そもそもインキュベーターたちが対処したいのは「宇宙の熱的死」だ。
簡単に言えば宇宙の寿命があって、それを延命させるのが目的。

テッド・チャンのSF小説に『息吹』という短編がある。ロボットが主人公のスチームパンク世界で、宇宙の寿命の概念をすごく上手く表してた。
(密閉された壁に囲まれた世界で、外の世界との気圧差で世界が動いてる世界観。いずれ気圧差はなくなって止まる)
これを読めば「宇宙の熱的死」というものが、どれほど避けようのない絶対的なものなのか分かるはず。この絶望の概念が分かっていたら、キュウべえ達の属する宇宙文明が、この絶望に対してどれほど画期的な抵抗をしているかも分かるはず。

要はこの問題を「希望から絶望への相転移エネルギー」以外の方法で解決すれば全員救われるんじゃないだろうか。
でも今まで、まどマギ以外で宇宙の熱的死問題に対処する方法を提示できたSF作品は見たことない。三体とかもそうだけど、みんなサイクリック宇宙論(宇宙が終わったらまたループする世界観)で終わってる。まどマギならもっと別の新しい世界観を提示できそう。

最初はキュウべえと魔法少女達が戦うけど、最後は協力して世界を変える。愛とか執着とかそういう感情論を使った納得できる形のやつで、エントロピー増大の法則に逆らった新しいエネルギーを得る。そうすれば感情的にも論理的にもみんなが納得する最高のハッピーエンドが作れる。

もしかしたら本作は、そのための伏線を張るための映画だったんじゃないかと思った。

ここからは僕の考察。

②の案とか。『息吹』もそうだけど。世界を入れ子構造にしたら、内側の問題を先送りにできる。内部世界が滅んでも、上部世界は大丈夫だから。

で、本作には「名塚底根」というのが出てきた。
これはなんと“宇宙の外側“にあるらしい。
つまりキュウべえ達が守ろうとしてる世界(宇宙)の“外“にも、何かがある事が示されてしまったのだ!
エンドロール後にもそれに言及してるキュウべえが出てくる。
しかもそのキュウべえは今、名塚底根(宇宙の外側)に居るのだ!
「また入り込んできちゃった」とか言われてたけど。人類文明じゃ到底できないことをしてる。本当に宇宙全体を支配してる種族じゃなきゃできないマジでヤバいことしてる。

書いてて思ったんだけど。そもそもキュウべえが支配してる宇宙は、何層もある宇宙の階層の一つかもしれない可能性もある。「世界シミュレーション仮説」みたいなやつで。『helloworld』とか『13F』とか『ssssグリッドマン』みたいな、sfでよくある入れ子構造の世界設定。こういう世界構造だったら②の案とは逆に、一個上の次元に移住したり、一個上か一個下の世界からエネルギーを吸収したりすれば解決できる。(キュウべえが願いを叶える事ができるのって、こういう一個上の世界の力を使ってるのでは?)

また書きながら思い浮かんだんだけど、そういえばリックアンドモーティというアニメのシーズン2の第6話で、リックがUFOのバッテリーを直す話があった。リックは実はバッテリーの中にエネルギーを生み出すためだけの「ミクロ宇宙(ミクロバース)」という世界を作っていて、そこで作ったエネルギーを自分のUFOを動かすためだけに使って搾取してるという内容。
でも実はそのミクロ宇宙の中でも、リックに渡すエネルギーを作るためのミクロ宇宙を作っていて、そのミクロ宇宙の中にもさらにミクロ宇宙があって……という無限入れ子構造。
これ、どこかのミクロ宇宙が最上階層の宇宙にいるリックに叛乱して、エネルギー搾取を止めることができれば解決したはず。

そしてまどマギの宇宙には上の世界がある。
キュウべえはTVシリーズの時に「ノルマを課されている」的な事を言っていたから、キュウべえ自体もさらに上位存在に使われているはず。(うろ覚えだけど、回収目標があるみたいなセリフがあったはず。キュウべえは地球担当の回収員で、別のやつも他の星にいる?)

キュウべえ達の上に「熱的死が予定されたこの世界を作った上で、それに抗わせてる上位存在」がいる。それがリックみたいな利己的な目的のやつだったとしたら、魔法少女たちとキュウべえが協力して戦えば、熱的死が起きない宇宙を作れるかも。

そんな感じでキュウべえ達が納得できる形で世界を存続させる方法を見出せれば全て解決。その世界ではきっと魔女も魔獣も魔法少女も存在しない世界に再構成されそう。

古典的なsf設定の中だけで考えたらこうなるんじゃないかなと思った。完結編がさらにもっと新しい設定を提示してきたら面白いんだけど。そんなにハードル上げない方がいいかも。

こんな散文だれも読まないだろうけど。どうですか虚淵さん。合ってる?


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