パチンコをやめて分かったこと④
──私が依存したのは、GOGOランプではなく「次こそ光るかもしれない」だった。
私が次に出会ったのは、ピエロだった。
そう、ジャグラーである。
「誰やねん」
と思われるかもしれないが、パチスロ好きなら誰もが知っている機種だ。
ジャグラーは、GOGOランプが光ればボーナス確定という、とてもシンプルな台である。
私が打ち始めた理由も単純だった。
他の機種で負けていた。
少しでも取り返したかった。
さらに、最初に打っていたニューパルサーと同じAタイプだったこともあり、
「これなら楽しめそうだ」
そう思って座った。
しかし、最初の印象は正反対だった。
退屈だった。
第三停止ボタンを離した瞬間、
GOGOランプが光らなければ、そのゲームは終わりである。
演出も少ない。
静かだ。
「なんじゃい、この台」
そう思いながら回していた。
そして300ゲームほど回した頃だった。
突然、
GOGOランプが光った。
その瞬間、
私に電流走る。
まるで雷に打たれたような衝撃だった。
後に、多くの人がこれを「脳汁」と表現していることを知る。
私は、その日から一日中ジャグラーを打つようになった。
レバーを叩く。
止める。
光らない。
また叩く。
そして、いつ光るか分からないGOGOランプを、ひたすら追い続けた。
後日、ギャンブル依存に関する研究を読むと、
私が夢中になっていた理由は、GOGOランプそのものではなかった。
心理学や神経科学では、
「いつ報酬が得られるか分からない状況」は、人の注意や期待を特に強く引きつけることが知られている。
毎回光るわけではない。
だからこそ、
「次こそ光るかもしれない」
という期待が生まれる。
また、予想していなかったタイミングで報酬が得られると、人の脳はその出来事を強く記憶しやすいことも報告されている。
振り返れば、
私が追いかけていたのは、
GOGOランプではなかった。
「次の一回」に期待する感覚だった。
そして、この心理はパチスロだけではない。
SNSでは、次の通知。
ショート動画では、次の一本。
ネットショッピングでは、次の商品。
人は、
「次に何か良いことが起こるかもしれない」
という期待に強く惹きつけられる。
ジャグラーを打って初めて、
私はそのことを身体で学んだ。
