小説【ハムレット〜要塞の王城〜】#04
✅️帰国の翌日
扉を叩く音、静まり返る。
数十秒経った後に解錠の音がした。
ハムレットは寝ていた。
メイドが起こそうとしたらハムレットはメイドを突き飛ばす。
「僕は起きてる。ノックがないからと言って勝手に入るな!!」
不機嫌が最高潮だった。父親の死でイライラしてる。
こんな状態で寝れる訳がない。
父上という偉大な王を失った。
涙が止まらない。
悲しみとショックの板挟みに揺れる。
孤独の中でウイスキーを煽って飲んだが眠れない。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!気になって。」
頗る機嫌が悪いハムレット王子にメイドが怯える。
先王も機嫌が悪い時は突き飛ばす事があった。
メイドは先輩の忠告を今更、メイドの脳裏に浮かぶ。
「目障りだ!出てけ!!」
メイドは恐怖と緊張のあまり寝室から逃げていった。
ハムレットは外れたカチューシャを拾う。
「チッ・・・様子見か、あの女も怪しいな。」
外の窓はいつもの日常を映し出す。
ハムレットの顔は誰が観ても不機嫌だ。
窓ガラスに映った反射像越しでも、ハムレットの機嫌が悪いのが分かる。
メイドはすぐに執事へ報告した。
「ハムレット」の様子が可笑しいのだと。
✅️王の間とハムレット。
城の見張りをしていた二人の歩哨(マーセラスやバーナード)が、先王に似た亡霊を目撃する。
そしてハムレットの友人であるホレイショがその話を聞いた。
友人として知らせるのか、ハムレットを危険な場所へ行かせていいのか迷ったがホレイショはハムレットの部屋に向かった。
「ハムレット王に似た亡霊が出たって」
ホレイショがハムレットの部屋で語る。
動揺した表情でハムレットはホレイショを見つめる。
「本当に・・・父上なのか?」
「ああ、マーセラスとバーナードが王の亡霊を見たって。」
会えるなら今すぐ会いたい。
以前はハムレットは父親に対してそんな想いはなかった。
でもその話を聞いてハムレットの心が揺れ動いた。
父上に会いたい。
「場所は?」
ハムレットは何処に居るのかホレイショに聞いた。
「王の間だよ。謁見室。」
幽霊だから夜しか出られないのか。昼間は居なかった。
「どうする?行くかい?」
「僕も行く。」
ホレイショは燭台を持って案内すると言った。
ハムレットは決断した。寝室から出ていった。
「暗いけど、ここに居るっぽいよ。」
王の間の扉まで2人は辿り着いた。
扉を開けて、燭台を照らす。
「燭台じゃ心許ないな。松明を持って行こう。」
「油灯を持っていけ。こちらの方が少しは明るい。」
「大丈夫か?」
「一人で会いたいんだ。」
「分かった。じゃあ、俺は一人で待ってるよ。松明を持っていって。」
王の間は、奥に行く度に温度が冷える。
辺りは見えないくらい暗い。
ハムレットは松明を下げて、手探りの中で中央へ行き着く。
ハムレットは辺りを見回した。
誰も居ない。
ただの兵士の酔っ払いの噂か?
「父上」
ハムレットは呼びかけてみた。
やはり、誰も居ない・・・。
ハムレットは暗闇と無音に耐えられず、帰ろうとしたら急に背筋がゾッとした。
「・・・レット、ハムレット。」
急に知覚から声が聞こえてくる。
空耳みたいで夜に溶け込んだ掴めない声。
でもハッキリと近付いてくる。父親の声だ。
「父上!!」
緊張の中、ハムレットは声がするほうに松明を翳した。
暗闇に紛れて気配がする。父親らしき残像が現れた。
ああ、懐かしい父上の声だ。
ハッキリと僕を捉える威厳のある王の瞳。
いつもの父だ。
「私は殺された。毒殺されたんだ。」
「──犯人はクローディアス。」
幽霊になった父親は切実に語りかける様に言った。
僕の心はえぐられた。
「クロー、ディアス・・・」
叔父の名前を聞いて、朧気なピースが確信へと変わった。
「必ず、王家の威信をかけて、復讐してくれ、頼んだぞ。」
父親は一瞬だけ、ハムレットの頬を触った。
そして父の霊が曖昧になり、溶ける様に闇に消えた。
「父上!」
王の間で叫んでも届かない。
虚空に跳ね返って木霊するだけだった。
孤独という不安だけが増大する。
ハムレットの気持ちが定まらないまま、別れを告げた。
📚️続く📚️
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