未知の鼓動 -日々是アート- 2026
それは視えてくるのです。
己が求めに導かれて顔を上げると、未知の鼓動は聞こえます。
あの時この時、あの場所この場所、鼓動の響きが聞こえてくる処へ、どうしても逢いに行きたくなったのです。
ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ@国立新美術館 on Jun. 29th,2026
誂えられた16の室、ポール・スミスが捉えたピカソとは。いざ。
00 トロンプ•レスプリ(精神を欺くもの) その誂えは白壁にサドル&ハンドル、あの著名作をモチーフに
01 『ヴォーグ(流行)』中の芸術家 その誂えは壁一面に『VOGUE PARIS』表紙、優美に圧巻
02 青の憂鬱 その誂えは暗青色の箱室、唯一点の肖像との対峙
03 バラ色の女性たち:(アヴィニョンの娘たち)への前奏曲 その誂えは一面サーモンピンク壁、瞬時に華やぎ
04 キュビスムの実験室 その誂えはダンボール色の壁を矩形にカット割、キュビスム始まる
《サクレ=クール寺院》この頃はまだ落ち着きも感じられるキュビスム《グラス、リンゴ、本》渋さあり
05 アッサンブラージュとコラージュ その誂えは幾つもの花モチーフの壁紙、貼りそして組合せ
《パイプを持った男》ブラウン系キュビスムを油彩とで落ち着きを持って
06 古典主義の画家 その誂えは白い壁、じっくりと観せる
07 子ども時代 その誂えは空色とイエローとの斜格子、明るく楽しく
08 闘牛 その誂えは真紅、それで全てを物語る
《コリーダ:闘牛士の死》生と死、闘い、運命、生き物たちの目はゲルニカに似て
09 ストライプ その誂えはグリーン,オレンジ,イエロー,ブルーで4面を、ポップに心は浮き立つ
10 戦時中 その誂えは暗いグレー、心象を慮る
11 一点もの その誂えは白壁に幾つもの白い皿、陶に絵柄がいきいきと
12 〈草上の昼食〉その誂えは濃いビリジアン、草叢の室
《草上の昼食(マネに基づく)》ピカソならではの構図、技法はもちろん。青と緑の濃さ深さ《マネの〈草上の昼食〉の変奏》新解釈に足留め、版画ならではの刀跡に観入る
13 ピカソのボーダーシャツ その誂えはマリンブルー、頭上には同色のボーダーシャツ,シャツ,シャツ…
14 晩年:1969-1972 その誂えは赤,橙,緑,青のボーダー、シュンと描いて
15展覧会のピカソ その誂えは告知ポスター、全方位埋め尽くす
背景(室の誂え)が語る、背景で語る、背景が語らせる。
初見作多くも作品自体への惹き込まれは僅か。が、展示構成を生み出す元となるピカソの多彩な才、それらを受けるポール・スミスの感性、かなり愉しい
富山県水墨美術館コレクション 水墨画を楽しむ7つのとびら-富岡鉄斎、竹内栖鳳、横山大観から加山又造へ@茨城県近代美術館 on Jun. 16th,2026
手頃な費用と時間で本籍富山の作に出逢える機会は会期末最終週に。水墨の魅せる、惹かれる力が目の当たりに。
まずは味わい秀でる品々
川端龍子《寒雷》水墨の富士の傍に落つ稲光、雷鳴も聞こえそうな
横山大観《瀑布四題》技を駆使して4種の趣を描き分けて
平福百穂《獅子図》岸駒/岸岱《獅子図•虎図》いずれの獅子が好み? 圧倒的に後者の迫力が
山元春挙《松ニ富士山》勇壮な幹、垣間見える富士、大胆な構図
松林桂月《渓山(千厳競秀)》少し引くと観えてくる、濃淡で岩や谷間を
冨田渓仙《三保の富士》碧い富士がすっくと
篁牛人《天台山豊干禅師》《四睡の図》その作は知るも実見は初、デフォルメが活き構図はユーモラス
下村良之介《軍鶏 金•銀》輪郭に金銀使い、踊るかのような様はアンドロイドに見えて
伊藤彬《星月山水》静かより暗さ、作家の心情が映るのか
川合玉堂《渓村雪霽図》竹内栖鳳《雪中孤鹿 雨中曳牛》吉田公均《倣趙千里蜀道図》小野竹喬《山景春秋》人,動物も合わせしっかり描き込まれ
都路華香《水郷煙雨》滲みと暈しで烟る景を
小杉放菴《蝉丸》盲目歌人のその内なる世界が伝わってくる
入江波光《帰り来る舟》手前と奥の岩礁、違う質感。舟2艘もまた異なって
前田青邨《古塔遠望》暈しの輪郭線、遠から近へ徐々に現れ
小松均《大原風景》渇筆(かすれ)で独創の世界観
そして格別な風情醸しだす
横山大観《木立に白鷺》滲みと暈しが何とも言えない情趣とともに
髙山辰雄《郷》山塊を流れ落つ一筋の白滝が強く残る
橋本関雪《瀟湘八景》ズラッと並ぶは素晴らしい八幅
富岡鉄斎《普陀落迦山》荒々しい墨で観音菩薩が住むという郷を4曲1隻で
取り憑かれただただ観惚れるのみ
加山又造《牡丹》金地に黒5と白6の大輪が大きめ4曲1隻に、花弁の隅々に妖しさが宿る《凍れる月光》中央に峻険な雪山、複雑な襞が織りなす陰翳。伸び来る枯枝、淡い光。暫く佇む自身の言葉は失われ… 書き記せない
その奥深さに惹き込まれ予定を超えて留まって。水墨は当にアジアならでこそ、渡来元の大陸への畏敬にも繋がり
驚異の部屋の私たち、消滅せよ。-森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ-@大阪中之島美術館 on Jun. 6th,2026
【第1室 ヤノベケンジ「博覧会は子供の領分」】
掘出し物が所狭しと。阿呆らしいくらい面白い、奇想天外、思わず笑ろてまう。ほんま‘70万博が好きなんやなぁ、オマージュも凄すぎ。中でも、大中小多くの宇宙猫と銀に輝く一対の巨大狛犬その尻尾が全てカッコよく。
岡本太郎の万博作品は”高度経済成長へのアンチテーゼ”とも言われているが、”不確実性”と言われて既に久しく、往時の「なんじゃこりゃ」を継ぎ新たな型破りを放り込んできたのか…
【第2室 森村泰昌「広場にパノラマ絵画奇譚」】
先ずは《M式•大阪八景(モノローグ)》同一出身者として、そこで語られることにはかなりいたく同意
デッカい映画看板もどきで8景、これ迄の作品に様々なコメントを添えて
《第1景 旧陸軍第4師団庁舎で、静聴せよ!》戦争,芸術/政治,死 の記憶は塵芥と共に去る
《第2景 適塾を忘れるな》学ぶ意欲は愉快な仲間と
《第3景 通天閣の前でバルドーもどき》まがえものにお似合いは今はその名残も無く
《第4景 釜ヶ崎のレーニンさんよ》人間が人間を取り戻す最後の砦も今は昔
《第5景 大阪中央公会堂はディートリヒの館》異国の地にて虚無と退廃に酔わされて
《第6景 旧•大阪赤十字病院のマリリン》突然の時代錯誤の姿に故郷の幻影はかき消され
《第7景 ハイハイタウンには、ティファニーで朝食を。》汚くて美しいまちの変貌は「ブレードランナー」など凌駕して
《第8景 寺田園にて 昭和天皇とマッカーサー》こんがらがって身動き出来ない、ねじれて生まれたブラックユーモア
其々の地には個々の想いが…
【第3室 やなぎみわ「坂道のオード(賛歌)」】
黄泉平坂は古事記由来、大姥百合は精霊•祈り。眼前の不思議と感じる世界
【第4室 3名「迷宮を紡ぐ厳粛な綱渡り」】
それぞれの最新プロジェクト。すぐには理解が追っ付かないが、その真髄は戯れへの誘惑か
森村《木谷千種の浄瑠璃船をM式として再構成》ヤノベ《刀剣シリーズ 、過去〜未来の存在》やなぎ《船首像シリーズ、新たな展開》
【第5室 「絶望するな。では、失敬。」】
消滅美術館。存在しない作品を見るパフォーマンスを3作家の脚本で
観終わってから数日経過、3名が此処に集った意味って… コンテンポラリーはこのまま考察が続く、いつも何時も
ライトアップ木島櫻谷Ⅲ-おうこくの色をさがしに@泉屋博古館東京 on May 27th,2026
同館は2度目、此れまで幾たびかこの作家を取り上げてきたことは知らず。厳選22点との出逢い。
《厩》陰影ある茶系で描かれた馬は優しくも存在感が、左上から枝を伸ばした花の小さな白が際立つ
《孔雀》白い花の枝にとまる1羽、堂々なる姿を青と緑の階調で優美に
《幽渓秋色》色づく渓谷、葉や岩肌の質感までが色で表され
《柳桜図》若柳と満開の桜が六曲一双に華やかに、花びらは厚塗りで立体的
《震威八荒図》薄い金泥背景に青葉茂らす松の幹から睥睨する熊鷹、空の支配者として
《獅子虎図屏風》此度の格別! 左の虎,右の獅子、異なる姿勢も威風堂々。淡墨岩場、金泥霞背景で典雅さを加えて
これ迄何処かでお逢いしていたのか定かでないが、近代日本画の描き手は清々しさと洗練をも兼ね備え。綺麗なだけでは淡白で物足りなさも、贅沢な観賞
第6回FROM −ここからの⽇本画− @郷さくら美術館 on May 22th,2026
初逢から続けての3度目。”それぞれ”から”ここから”へ改めてのスタートを訪う。
安原成美《苳と朴葉》《朴と山葡萄》葉。鮮やかな薄色で 在る,枯る,散る、全てが生きているようで
木下めいこ《空創〜さくらさくら〜》六曲一双に大樹の桜が咲き誇る、サイアノタイプによる青,藍の色が斬新、眼前に息づく初の風情
野地美樹子《Endless Flow》昨12月以来の再見、白い渦と波の凄さは幾度も
石原孟《Land》面白い、宇宙空間。文字と図形、具象と抽象 等々 カラフルに
山浦めぐみ《A Sight - 1945 and Today Behind the Frame》広島、あの日あの刻。今が緻密に風景として描かれることで胸に残る
併催は恒例の桜百景からは1点のみで
中川脩《退蔵院春宵》枯山水に掛かる大ぶりの枝、少し引いて月夜に暈かし気味の桜の趣
う〜ん、各階を巡っても格別さや共鳴はこれ迄ほどではなく。暫く時をおくべきかも…
チュルリョーニス展 内なる星図@国立西洋美術館 on May 13th,2026
その名は初めて、勿論その作品も。35歳での夭逝、作曲の才もあり、馴染みが薄いその母国リトアニア含め、”出逢って観たい”という自身の感覚に導かれ。
《霧》小品、静かに山に佇む
《冬II》連作8点のうちで唯一草木の生命を感ず
《二連画 プレリュード/フーガ》幻想的なモチーフ、じっくり染み入ってくる
《蛇のソナタ アレグロ/アンダンテ/スケルッオ/フィナーレ》神の使者である蛇を主題に、壮大なテーマをシンプルに描画する1~4楽章
《海のソナタ アレグロ/アンダンテ/フィナーレ》大波と光を通して海を
《星のソナタ アレグロ/アンダンテ》うねる様な筆致で天空の雄大さをドッと描き込む
《リトアニアの墓地》緑と青の神秘さに祈りの刻が、自身には最も響き心静かに…
《オペラ「ユラーテ」の舞台背景&緞帳の下絵 4点》これら小さな下絵でも、リトアニア神話という主題の世界観を感じられる。実物を観てみたい
《稲妻》立体的に描く、独特
《レックス(王)》大いなる存在という視点で天球を捉え描く、宇宙観
暖色系でも抑えた色使いで明るい季節を描いても浮かれる感じはなく、その持ち味だからこそ、恐らく時代の趨勢も捕まえていた作家の真髄に素直に近づける
日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970@京都市京セラ美術館 東山キューブ on Apr. 28th,2026
京都国立近代美術館もあるこの一角はいつ来ても文化を重んじる気風が漂い、東山を臨めば今は深緑に向かいつつ、自身の歩も自然と緩む。
先日の蘆雪先程の若冲と近代日本画が続いたので、戦後前衛を5章仕立てで。
【創造美術 世界性に立脚する日本画を】
上村松篁《山鹿》親子、細密《池》水性よく表され《星五位》ゴイサギ静かな存在感
秋野不矩《砂上》白砂と褐色の肌、鮮烈
奥村厚一《松蔭雨日》立派な枝振り《赤松の林》光る樹木と落とす影がゆたかに
山本正人《残雪》赤松の林、真っ直ぐ伸びる一本の雪融け路
加山又造《悲しき鹿》平面的で力強く、独特の色と線
【日本画の前衛 その黎明】
特筆はなく
【パンリアル美術協会 温床をぶち壊せ】
三上誠《湿地》構図と色合い気に入った《輪廻の記号A》加工の集合体
星野眞吾《争う人々》擬人キュビスム
大野俶嵩《影》群青が映える《緋 No.34》赤背景に立体的ドンゴロス貼付、突飛な発想も自身には…届かず
下村良之介《鸞翔》さぁ翔んでいけ
【ケラ美術協会 宇宙時代の絵画を】
久保田壱重郎《63 在》木 彫り込んで
【抽象のざわめき 日本画の流れの果てに】
堂本印象《無礙》やはり色は多用して
杉山寧《篠》シンプルで美しい表面
船田玉樹《秋意》すすき野、銀と黒で鮮やかに
何ものにも囚われない発想の数々はこの国でも。テーマ,素材,手法… 面白い!
若冲にトリハダ!野菜もウリ!@福田美術館 on Apr. 28th,2026
先の訪館からまだひと月と少し、やっぱり逢いに来てもうた若冲47点!
いやぁええなぁ…
《呂洞賓図》《蕪に双鶏図》《花卉雄鶏図》《玉蜀黍図》《鯉魚図》《老松白鶴図》《竹図》《鶏図押絵貼屏風》
まだまだあって…
《柳に雄鶏図》《大角豆図》《牡丹に蝶図》《雲龍図》《双鶏図》《柳下双鶏図》《楼閣山水図》《蛇図》《乗興舟》《群鶏図》
これはこれは…
《果蔬図巻》《菜蟲譜》果菜,植物,虫など百数十種の総てを色も多様で描き分けて
上手い、凄い、魅かれる。独特の鶏姿は強く鋭く華があり、植物の活き枯れには侘び寂びも。ひと味もふた味も違うてて、あまり言葉は尽くさんでも今観たもんが全て
併設の同時代展示からはこの3作を
蕭白《雲龍図》蘆雪《鸚哥図》《月夜紅葉図》
三大障壁画 春の特別公開@薬師寺 on Apr. 27th,2026
同寺は9年ぶり2度目、此度は三大揃い踏みにしっかり照準を合わせて。朝方の雨を後に西へ向かえば、広い空は初夏のような青。
食堂 田渕俊夫《阿弥陀三尊浄土図》《仏教伝来の道と薬師寺》
建物のスケール大きく、ゆったりとした気分で鑑賞に浸れる。朝から夕美しさの連なり、ご本尊を中心に伝来表す12枚の絵が奏でる。三尊浄土図は仏画なれど限りなく絵画的な、遣唐使船の朱以外は淡くまた暈しも多用、古の大和を醸し出し今と往時を行き来する。やはり此処には前回も訪れた と気付く、今回の方がしっかりと心に留めおきて
慈恩殿 細川護熙《東と西の融合》
何と66面113枚が殿内に所狭しと。仏者,天女,衆人楽奏,衆人賛美,擬鳥化,風神雷神、背景色はイエローとオレンジ、ご陽気にユーモラスに賑やかに。これ迄観てきた各所奉納襖絵とは少し違って、細川さんにはチャレンジだったのかも… お陰で新たな一面に出逢えることに
玄奘三蔵院伽藍 平山郁夫《大唐西域壁画》
中国から印度に至る7つのシーン(明けゆく長安大雁塔/嘉峪関を行く/高昌坂城/西方浄土須弥山/バーミヤン石窟/デカン高原の夕べ/ナーランダの月)、大自然のスケールの大きさに感嘆が漏れる 幾度も。街は接景、遠景の山々は勇壮に、土と砂の大地は雄大で。殊に須弥山、嶮しく厳しくも何処となく柔らかさも感じ、峰雪の白と真っ青な空が美しい
更に特別拝観時期での恩恵にあずかり…
東塔/西塔 中村晋也《釈迦八相像(東塔因相・西塔果相)》
ブロンズに刻まれた釈迦の生涯。開扉ごしの先には夥しい人ヒトひと、衆人は救いを求め弟子は教えを請い、眺むる自身には”業”という言葉がよぎる。背は陽光の下にあるが、細部までの超絶技巧で何かゾクッとさせられる場面も幾つか
金堂《薬師三尊像》
再びの、日光月光両菩薩はこれで三度眼前に。黒く光るそのお姿は、優しくて何処となく少し雄々しさも感じられ
萌えるように青葉は繁れる、これからそんな季節に入るまほろば
春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪@府中市美術館 on Apr. 21st,2026
蘆雪。応挙に師事、”奇想”として若冲とともに紹介され久しいが、アート探訪浅い自身はまだ余り作品に出逢えておらず。遠く串本からあの竜虎図も招かれる本展は正に千載一遇。
《鳳凰図》ぼやけた墨雲を背景に色鮮やかな存在感
《松鶴図》寄り合い書き。大勢の漢詩の中心に立派な墨松が
《牡丹群蟻図》艶やかな朱と桃との満開をハッキリ描き
《長春孔雀図》桃の薔薇に佇むは誠に立派な青い羽
《寒山拾得図》大きくアップで、独自流に純真無垢な2人を描画。これ迄観た同テーマ作のうち最もお気に入りに
《竹林蝙蝠図》これは細い竹。薄墨を更に滲ませ、月明かりに照らされ
《仙客遊舟図》これは物語。蘆雪の描く人物はいずれも優しげ
《春景群鳥図》花々と群れる鳥たちが美しい。囀りが聞こえそう
《竹下鶴亀図》薄墨に染まる背景珍しく、趣き変わって
《四睡図》草堂寺と本間美術館からの各1点。豊干禅師,寒山,拾得 そして虎、仲睦まじく気持ち良さそうな寝顔に自身の表情も思わず綻ぶ
《竜虎図襖》大トリ、この迫力にはなかなかお目にかかれない。12枚にとにかくダイナミックに、竜はリアルな雲雨とともに、虎は迫力あるもどこか四睡図同様の愛らしさも
勿論奇抜はあるも、優しさとユーモアに溢れたテーマに構図そして筆遣い
併催のコレクション展では初訪の前回よりも気になる作が
高橋由一《墨水桜花輝耀の景》遠近対比スバラシ、油彩ならではの桜樹。金刀比羅宮へも想いは馳せて。国吉康雄《牛と鶏のいる風景》構図なのか? 少し幻想的で。長谷川利行《カフェの入口》力強い色彩と荒々しく素早い筆致でイキイキと。熊谷守一《風景》独自スタイルに少し興味が。川村悦子《黄いろい花》大きめキャンパス一面の花、立ち止まらせる。小山田二郎《石置場》何となく気になる小品。遠藤彰子《光景》上からの広角目線で広場の風景を、不思議さを感じて。牛島憲之《山の分譲地》なだらかで流麗なカーブの重なり、独特のフォルム。李禹煥《With Winds》抽象。岩絵具での線の濃淡と余白とのバランス/アンバランスに掴まれて
トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで@三菱一号館美術館 on April. 14th,2026
浮世絵でない版画。川瀬巴水にはこれ迄も幾度かお目にかかってきたが、その都度黄昏時のしじまに惹き込まれ。新装なった当館でそれに至る数々を。
小林清親《川崎月海》帆を畳んだ大ぶり船3隻、朧月夜の下静かに《神田八雲神社暁》朝焼け臨む木立の風情、お社の朱は鮮やか《新橋ステンション》開化、雨の夜に、駅舎窓の灯り《武蔵百景から 3点》遠近での構図の妙味
井上安治《東京真画名所図解 9点》小品なれどどれも緻密に描き込まれ《浅草橋夕景》残る陽に淡く染まり美しく
チャールズ•W•バートレット《神戸》そぼ降る雨に流されるかの如く表され
高橋松亭《都南八景之内 羽根田》沖を臨む、手前の松枝ののびやかさ《雪月花 徳持》少し高所のお堂、闇に佇む趣き
伊東深水《近江八景 三井寺》暗がりに立つ、樹木越しに描かるる《近江八景 唐崎の松》巨樹繁りて
川瀬巴水《塩原畑下り/塩原しほがま/塩原おかね路》塩原3部作。柔らかにも写実的にも土地と自然を様々に表現して。これらが巴水のはじまり、そして自身には今日のベスト《旅みやげ第一集 陸奥蔦沼/房州岩井の浜/塩原雄飛の滝》どの作も青がほんま美しくて《金沢ながれのくるわ》川べり、月下、佇む家々
華やか色彩での開化絵より、深い陰影での情趣に心は惹かれて…
FACE展2026@SOMPO美術館 on Mar. 24th,2026
3度目の同展、展示される入賞作はいづれも皆が独自の世界、目のつけどころ多彩で毎回愉しくて!
吉田茉莉子《天泣》自身には他作品の独自性を超えた世界観,雰囲気を纏っていると感じられ。熱帯の様な土地の水辺、常でない姿で見つめ合う(今回のグランプリ受賞)
肥沼義幸《二柱の祈り》細密な描画は木炭で、2人の祈り妖しく
澁谷由貴子《Life force》黒背景に浮かぶ金と銀、細かい筆致で表す不確かな何か
宇野文音《風景》遠くに夜明け、広く静かに
折笠鈴《だってさわられたらなでたいし、なでられたらつかみたいよ》卓上のモノと壁掛け写真か? 形をなさない。すごく気になる
寺脇扶美《Crystal #44 》美しい。ガラス? 砕かれた? 瞬間?
廣島有華《水辺の旅人》広大な湿地帯、烟る、遠景広角を緑のみで雄大に
松尾典汰《交わる線の痕》どアップの両掌、生きている実感。何を訴える
本井克英《Melt Landscape》モノクロ、中央石の存在感。写真の様には観えない写真
理解不能なものが幾つもありそれがまた新鮮、次回へも期待が
併催は2025受賞作家による「絵画のゆくえ2026」。其々複数展示から1作を選んで。
齋藤大《AZAYAKA Windows 2》唯一夜の色彩で、暗さに赤/朱が映える
春日佳歩《ある日》これはショートケーキ、捨てられやがて朽ちていく
Huang Yuri《Room 403》サイズと色合いでのバランスがとれて
竹内美樹《shape of ribs》ビリジアンで胸骨を、何だこれは
昭和100年記念 あの頃は~栖鳳・魁夷・又造らが起こした昭和の風~@福田美術館 on Mar. 18th,2026
京は続けて嵐山へ。初訪、この館は近代日本画の充実度が半端ない。
竹内栖鳳《山村農事》敢えての墨色で郷愁を感じさせ
速水御舟《露潤》黄蜀葵の薄黄の花に黒揚羽でコントラスト凄
池田遙邨《伊勢神宮》外宮、宇治橋、浮かび上がる全容、やや幻想的《寥》広い草原に狐を配し秋から冬への移ろいを
杉山寧《慈悲光》十二神将と見上げる十一面観音《悠》時を超える古代美術(スフィンクス)が眼前に
橋本関雪《玄猿図》さも賢者のような風格
川崎春彦《風の野》強く風が吹いている…
富田渓仙《園中静閑図》苔生す庭石を群青色で鮮やかに描く、枝ぶり,花,舞い降りた小鳥は春のひととき
東山魁夷《明宵》《山峡朝霧》《夕涼》《ヴィラットの運河》《静けき朝》東山ブルーの息づく世界
そしてお気に入りの加山又造が並ぶ、いつでも凄い、素直に嬉しい
《静物》青布背景の苺が色鮮やかに《日輪》エネルギー光を浴びる森の木々は脈打つ血管にも見え《紅白梅》光琳へのオマージュはダイナミック《白鷺》強く踏ん張り鋭い眼差し、ユニーク《白馬》木立の中に佇む白馬、どこかシュール風《おぼろ》金地に枝垂れ桜、満月にかかる宵の雲
次回企画は若冲との由、これまたお気に入りもさてどうするか…
モダンなときめき―智積院襖絵の魅力―@京都府立堂本印象美術館 on Mar. 18th,2026
翌日は京へ。
等伯一門障壁画観覧での智積院宝物館そして当館の初訪は、奇しくも一昨9月の西旅時。あの院にこのようなモダン揮毫もあったとは…
まずは件の襖絵から
《鳩図(地袋)》色彩のグラデーション
《松桜柳図》金地、巨木のうねりは柔らかく、満開の極彩色は明るく嫋やか
《朝顔に鶏図》4枚でバランスがとれ墨での描き分け見事
《婦女喫茶図》オドロキ発想! 和装洋装2名の野点は明るく庭につつまれて
印象さんは焼物色入れも手がけられていた様で
茶碗の数々、《秋草》綺麗な柿(秋)色《風月》しっとり《蓬莱》黒字に金は華やか《君子好風》落ち着き《一笑三陽》ユニーク《野辺の花》明楽《雨もまたよし》爽やか《春秋》唄うかのよう
《角皿三昧》瓜、しっかりと《水指 すみの江の松》涼やかな
どれもすっきり明るく気持ち良く。
そして素敵な絵画が此度もようけ展示され
《茶道(挿絵)》モノクローム、少しの荒さが独特の質感《聖歌》パステルな音世界賑わう《モンマルトルのバー》多彩な色組み合わせ、粋な作風《アトリエ》黒を効果的に配して室内の2人を描き分け、印象的な出来映え《晴空映水》ブルーグラデーション、色とりどりから感じる秋の空気《寿松図》どっしりも重くない、松葉の枝ぶり広がって《寿竹図》シンプル色分けされた老若2本《小さな椅子》時計を間に2脚、少しミステリアス《黒い卓子の静物》染織、良い黒使い《伊万里の鉢》華やか鮮やか器、果物が活き活きて
ここまで書いて思い出す。一昨初訪時の館内に”堂本印象の障壁画”という全国マップがあったこと失念。機会を探し是非とも本籍での対面を
妙心寺 禅の継承@大阪市立美術館 on Mar. 17th,2026
滅多にお目にかかれない京の寺宝公開に合わせて西へ。絵巻/仏像/磁器/鍛造/漆芸などもある中、関心はやはり花鳥風景画に。
特に興味が高いのは
海北友松《花卉図屏風》金地に咲き誇る牡丹,梅,椿、伸びやかに華やかに
狩野山楽《龍虎図屏風》右左隻合わせたド迫力。龍は雲間から舞い降り迫る、身構える虎は身を捻り咆哮す
伝相阿弥《瀟湘八景図屏風》著名なテーマ、穏やかな眺めが広角で見事に描かれて
狩野元信《四季花鳥図 霊雲院方丈障壁画のうち》雅で柔らかく淡墨色で切り取られて、刻はゆっくりと
長谷川等伯《枯木猿猴図》観ているこちらの心持ちが穏やかになっていくことに気付く、素敵な作風
妙感寺《千手観音坐像》木彫に金箔、坐像の千手は珍しく。柔和で厳かなお姿の周りは多彩な細工の千手が派手に。今回の白眉かも知れん
次に連なる関心は
海北友松《寒山拾得•三酸図屏風》金地と墨との絶妙取り合わせ、そのテーマ故ユーモラスで楽しくも
伝馬麟《普賢菩薩像》伸びた髪,髭、異色な菩薩
白隠慧鶴《達磨像》これは有名、ギロっと見つめ返すあのお顔《地獄極楽変相図》まるで漫画。ヒトの心の変遷(六道輪廻)を上手く表し伝え《龍杖払子図》長縦軸の”悟り証明書”。龍頭杖と文言との取り合わせの妙
そして最後に天球院の襖絵揃い踏み。狩野山楽&山雪の筆により薄暗がりに映える金箔地
《朝顔図襖》延びる蔓、一面の朝顔は静かに美しく
《竹林猛虎図襖》連なる竹林、猛り威嚇もあらば子への笑みもあり多彩な虎
《梅花遊禽図襖》太く畝る幹、枝々には白梅,花々、岩肌に鳥達。絢爛豪華
岡田謙三 パリ・目黒・ニューヨーク@目黒区美術館 on Mar. 4th,2026
同館H.P.で初見作家が気になり2度目の再訪、いつものように静かな佇まいのエントランスから階上へ。
《巴里風景》少し高所から見下ろす、乳白主体で暈した落ち着きある街並
《ラマ寺》小高い丘上の寺院、乾燥景色と土地の風土が感じられ
《群像習作》引いて観ると、抑圧された色調と重苦しい雰囲気、人々は静かだが存在は確かに
メインでの展示は抽象。N.Y.で確立したユーゲニズム(幽玄)、独特の表現であることは事実だが、20点程のうちで敢えてあげると《風/還/梅/三つの四角形》これら4作のみ。自身には殆ど響かず少し残念も、また少しアート野が拡がっていれば…
テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート@国立新美術館 on Mar. 4th,2026
自身の英国イメージ、ロック,帝国/植民,独自色,伝統。そんな国での前世紀末のアートって。コンテンポラリーは受け止める脳内をフラットに、逸るココロは抑えずも身構えるな!
フランシス•ベーコン《1944年のトリプティクの第2ヴァージョン》
ダミアン•ハースト《楽天的な回避不能》
ギルバート&ジョージ《裸の目》
ディノス•チャップマン/ジェイク•チャップマン《戦争の惨禍》
クリス•オフィリ《ユニオン•ブラック》
リサ•ミルロイ《フィーズベリー•スクエア》
ジェレミー•デラー《世界の歴史》
トレイシー•エミン《なぜ私はダンサーにならなかったのか》
マーク•ケイン《逃げる方法が見当たらないⅣ》
デイヴィッド•ロビリヤード《早くイッて、笑って》
デレク•ジャーマン《運動失調-エイズは楽しい》
コーネリア•パーカー《コールド•ダーク•マター:爆発の分解イメージ》
マイケル•クレイグ=マーティン《知ること》
これら印象的な作品から感じる、多様(な視点)、批判、抗い、提起、告白、共感。未だその地に立ったことは無く… イメージ以上は語れない。
往時の時代背景、生老病死、英国におけるヒトの生活… 此の国と同じ様でもあるが勿論違う。「何が?」と問われると個別具体的には答えられない、”ただそう感じる”
(Gallery tour 9-11)
版画家Allmage展@K’s Gallery on Feb. 27th,2026
15名の作家が多才な手法を用い表現されるものも多彩で。デジタル版画,インクジェット,ペインティング&銅版…
3室を廻り1名に目が留まり。田中誠《言伝/SONARE/日和見/渦中/ほどけてゆく世界》抽象モチーフ、矩形に曲面、様々な色を組み合わせ。グッときて暫し見入る
PARTY 2026 @大丸東京 on Feb. 27th,2026
昨年末以来の再訪、こちらは18名が。自由な発想,作風、多様な表現手法の作品群から
特に気になる4作家を。
木原千春《MOSS CAT》強い眼、背を丸め鞭のように髭がしなる、それは猫。色,柄は独特で異界のものか
松浦匡起《刻痕》《bonsai-1,2》今月初、表参道での個展で出逢えた作家と再会。同系作品も、やはり個展で観るインパクトには及ばずか
樋口絢女 こちらはひと月前に日本橋での個展での出逢い、と続く再会は偶さか。《齎す》作家独特の流麗筆致で龍を。渋めの配色とも相まってなかなかの見応え《Memento Mori-Zakuro-》静物を新たな視点と構図,手法で観せる
真田将太朗《Procass Landscape.240\.241)同じテーマを色合いを換えて、暖色/寒色を主体で。畝る絵具、タテの流れに回転形、筆致の勢い
展示コンセプトから総花的となるのは仕方なくも、今後はもう少し見極めてのtourを
JUN ITO Exhibition【BETWEEN BOUNDARIES】@DIGGINNER GALLERY on Mar. 4th,2026
面白い! テーマは静物。写実ではないが独特の作風,タッチで。対象も花,ボトル,果物からぬいぐるみ,靴,木製ハンマー,絵具チューブや骨,スカル、更にシュールなデザインイメージ迄をキャンバスや掛軸風で。
静物、もちろん静、しかし動き出しそうなもの達も。吹き抜けタテ2層展示を階上から観下ろすと、また別の感慨が
(Gallery tour 7-8)
Landscape Reimagined -風景のみかた- @nichido contemporary art on Feb. 13th,2026
乃木坂駅から少し寄り道で国立新美術館沿いの緩斜路を経由し。葉を落とした冬仕様の樹々が何故かコンテンポラリーアートのようで暫し歩が緩み。
白一色の室で大中小19作が爽やかさを醸す。油彩2作、1点は草を数色で自然をいきいきと美しく奏で、もう1点は深緑の山,森を淡く柔らかく。あと1作、切り絵?風で青緑の海に白い波濤をしっかりダイナミックに
楊博 「Take me to the river」@Yutaka Kikutake Gallery on Feb. 13th,2026
絞られた数色のグラデーション組み合わせは印象強く残る。濃淡そして光の線、疾走感が小気味よい
美術館38年のあゆみ-日中友好会館収蔵品展@日中友好会館美術館 on Feb. 6th,2026
また新たな館と出逢う。
《書17点》象形風や篆刻から流れるような迄、様々な書体。どれも趣きがあり書く様が見えてくるかのよう。漢字のルーツへ想いは馳せり
程十髪《千峯競秀》雲間から唆りでる幾つもの峻険な峰々、豪快
楊力舟《錦繍萬里豪情永勝》競り走る3頭の馬、表情,体躯とも跳ね飛び
徐希《江南喜雨図》墨に少しの紅が入り雨模様の街をしっとりと、風情
陳大章《遥知不是雪》降る雪で白梅、月夜に照らされ
関山月《梅花》黒々と力強く、しかしこれは花の絵
喬十光《江南小景》運河沿い家並みと行き交う小舟、エッチングで微細に
黄菊《四季図》軸4点、墨をメインに少しだけ色を加えて季の移ろいを
書も画も、迅さ,逞しさ,穏やかさ… 彼の地の持つ奥深さを少しは知り得たか
(Gallery tour 4-6)
バイ・モンファン 「Seeing from Moving Borders」@AKI INOUE on Feb. 6th,2026
一見すると8点の風景写真、しかし接視していくにつれ、空,海,山,林がしっかり描き込まれていること分かる。そこから引いていけば、表された自然が感じられ。光,雲,風,雪,月とともに
武蔵野美術大学 造形学部工芸工業デザイン学科 2026年卒業制作展@SPIRAL GARDEN on Feb. 6th,2026
東京藝大はその美術館を幾度か訪れるも武蔵美にはこれ迄ご縁なく、此度、卒展の機会に巡り逢え。
【陶磁】普段使いの器からオブジェ,抽象造形まで。シック、伝統も垣間見え。《球体関節人形壺》のアイデア秀逸
【金工】動物のカラダの一部、はたまた海の辺りの街を立体で造り上げ
【ガラス】器にオブジェ、ヒトの動作などコンセプトワールド。アイデア次第で様々な加工、造形出来ることを教えられ
【テキスタイル】織物、錆染め等々工夫してドレスや衣装を
展示スペースに沿うスロープから全景を見下ろせば、其れも新たな”工芸デザイン”作品
朱門個展 「不在の居場所 InBetween Spaces」@The Artcomplex Center of Tokyo on Feb. 6th,2026
都会を車窓風景から切り取って。淡い色調での油彩は都会を柔らかく観せる、良い雰囲気
(Gallery tour 1-3)
「水彩と墨色を楽しむ」桧山昌子個展@優美堂 on Jan. 27th,2026
真冬の神田小川町界隈でちょっと覗いてみることに。
水彩数点が小ぢんまりと伸びやかに気持ちよく、大きな館や著名作との出逢いが続いたこのタイミングだと新鮮に映る
チェ・ジミン 「Between Misaligned Landscapes」@銀座蔦屋書店 on Jan. 27th,2026
少しシュールな組み合わせのLANDSCAPES、明るく鮮やかな配色で軽やかに不思議がそのまま入り込んでくる
松浦匡起 個展 “命脈”@THE GALLERY OMOTESANDO on Feb. 1st,2026
日本画史の中で幾多の名品が描かれてきた題材”松”、現代作家の新たな解釈と表現を観に。
1つは伝統的な金箔地に描く巨幹。その畝りは独特で、命を宿したかの幹の張りと拡がり。いま1つは穏やかな樹々として。デニム地や麻布地に障子風の桟を取り”ポップで和風”が試されて
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦@東京国立近代美術館 on Jan. 27th,2026
有難い、興味を惹かれ愉しめる作品群をこれ程に集めて貰えて。
榎本和子《記憶の時》展示のトップ、多用の赤と構図がとにかく気になって
江見絹子《推移》上空から眺めた区画のよう、クリームと茶の配色
草間彌生《マカロニ•コート》他の作は埋没しかねないがこれは格別、金属色コートは種々多様なマカロニで形作られ
多田美波《変電所 2点》未来派風と強めキュビスム《炭鉱》キュビスム、地底からの力はマシンと人力との融合、何かの叫びはたまた唸り《[ある一つの邂逅]もしくは[作品X]》流れる絵具はまるでサーフィン《[作品X]もしくは[ある一つの邂逅]》蠢く何か
田中敦子《作品66-SA》円形からヴィヴィッド色をぶち撒けて、繋がり激しく
田部光子《繁殖する(2)》アスファルト,石,竹,板で表現されたウイルス?
福島秀子《人》頭部を形作る矩形の青グラデーションが美しい《衝きささるもの横切るもの》《ささげもの》複数円をモチーフに色味は異なり、いづれも落ち着いて観れる
毛利眞美《無題》足を組み椅子にかける裸婦らしき、パステル調キュビスム
山崎つる子《作品03~07》構図は違えど競うように多色での激しい配色
各々その個性,特徴は出色も、当時だと産みの苦しみは如何ばかりか。半端なき想いが場を得て陰に陽に迸ったこと、確かに相違ない
尚、帰路に帝国ホテルに立ち寄りそのラウンジ壁を彩る多田美波「黎明」を観たこと添記す
恒例、併催のコレクション展先ずは… 山元春挙《雪松図》川端龍子《四季好果図》《草炎》の3点。殊に《草炎》の黒地に金の組み合わせには暫し心を奪われ
そして、新たに出逢えた品々が… 瑛九《赤の中の小さな白》桂ゆき(ユキ子)《賀象》中野淳《食卓》朝倉摂《黒人歌手ポール•ロブソン》岡本太郎《夜明け》白髪一雄《天彗星照拚命三郎》川端龍子《角突之巻(越後二十村行事)》寺内曜子《Blue Square #2 》石川順恵《Impermanence 青女》
樋口絢女 Memento Mori @REIJINSHA GALLERY on Jan. 23th,2026
路面のギャラリーを初訪、検索サイトで個展を見つけ「是非とも」の想いに突き動かされ急遽。開ける前から透け扉を通して伝わる”キレイで凄い”、植物や生きものを捉え洗練された18作。
《神馬図-黒馬-》華やかと厳かの共存
《鯉は軈て龍になる》《一縷の望み》金箔地、流麗な筆致
《次》鳥 急降下の鋭い嘴vs 蛇 迎え撃つ牙、”生死を賭けて”が迫る
これら特筆の4作は自身好みの鮮やかな色味と気品ある筆使いだが、全ての作が”現代に古典を魅せる日本画”を観せてくれて
川口起美雄 Thousands are Sailing @神奈川県立近代美術館鎌倉別館 on Jan. 14th,2026
好奇心に引かれて鎌倉再訪。初訪の前回一昨12月コレクション展では作品達の難解さにかえって感じ入ったがさて今回は。
《メランコリィ》装飾された小動物
《柘榴(グラナダ•アプフェル)》幻想風景、小高い丘から見下ろして
《夜のサーカス団(グランドマヂックサーカスII)》テント、火の輪、いきもの が夜に浮かぶ
《境界》巨きな2つのサイロ、窓と出入口はいづれも小さく。何処となくシュールさが
《時の祭壇》供物の上には金魚も浮いて
《夜の肖像》(犀その1)サイの存在がヒヤシンスとマッチして観える、不思議
《午後の浮力》陽のあたる窓辺、よく見ると暗がりに野菜(or果物)が浮いて
《別れのワルツ》静けき写実。線路、高架橋、なぜかウサギも
《フランツ•Kの街》写実描写、全面が建物窓という構図に!
《Across the Universe》(犀その2)方程式が書かれた黒板を背景に、描かれるはサイそして浮遊(発射?)する子ども
《ウィーン河劇場「晩夏」》屋内廊下曲り角に浮かぶ舟一艘、ケムリが上りバラは飛び
《美しい泉》(犀その3)描かれたサイの存在には既に違和感もなく
独特の雰囲気を醸し出す。殆どが早暁/夕暮を思わせる背景色で奇妙なモチーフ、シュールでもあり少し怖い感もあるが無邪気さもまた感じられ、幾つかに囲まれていると何故か不思議と落ち着くような気がし、興味もそそられ居心地は悪くない。其処には立ち去り難い引力のようなものが確かに
国立劇場の名品展-鏑木清方、小倉遊亀、東山魁夷、髙山辰雄、加山又造…@平塚市美術館 on Jan. 14th,2026
咋4月以来の再訪。皇居を臨む国立劇場はこれ迄訪れる機会なかったが、そこで回廊展示の36点にこの館で出逢えることに。初訪の前回には「いやぁ愉しかった」とnoteしているが、当代一級が揃う今回にも期待は高まり。
流石の名品…
西山英雄《朝映桜島》山裾原まで紅に染めて今にも噴き出すかのマグマを溜めて
東山魁夷《雪原譜》拡がる森の青、雪の白、この作家ならではの情景描写
髙山辰雄《晝》森の雉を抽象的に、配色と構図の妙
更に名品…
御正伸《太宰府抄》菅原伝授手習鑑の名場面を華やかに
山田申吾《雲》夏の高原、湧き上がり変わる彩雲、清々しく
染谷祐通《仁和寺門》接近映の山門から観える青山いとをかし
奥田元宗《紅嶽秀耀》紅き霊峰美しく
川端龍子《天橋図》視点は今ならドローン観、砂州と枝ぶり良くわかる
杉山寧《瀑》不動の岩肌、流れ落つ水流との調和
山口蓬春《花菖蒲》金地に対角線の構図、厚い花びらの実存感
金島桂華《冬田》冬の田は白く覆われ、鶴一羽大きくくっきりと
加山又造《紅鶴》紅七羽が凄く印象的に、金地背景に方形を塗り分けはっきり表して
今回は展示室だったが、本籍であれば自然と湧き起こる高揚感に包まれること想像に難くない。が、再開場は早くて2033年らしく、まだまだ先やなぁ
「日本画」の挑戦者たち それぞれの葛藤と探求@山梨県立美術館 on Jan. 9th,2026
甲府、初めて降り立つ。バスでの道すがら思いの外近景の富士、雪景色でシンプルに美しい。館の在する公園から、展示の佐藤正明《ザ•ビッグアップルNo.45》に並ぶよう大向こうに聳え観えるもやはり美しく。
先ずは特筆すべき作…
川端龍子《慈悲光礼賛(朝•夕)》左右に牛と魚を、光と生命の輝き、美しい色合い
穴山勝堂《高嶺秋色》近に松、中に集落、遠に堂々の山並み、緻密に
吉岡堅二《氷原》迫力のトナカイ群れ、アルタミラを彷彿
岩崎巴人《山河経文》荒々しくも山河見事に描かれていて
横山操《波濤/雪峡》身を切るかのように訴える、痛くはなく
加山又造《冬》荒涼とした冬、生きるものは居るが温かみは感ぜずそれがいい
その他にも足留めされて…
横山大観《隠棲》菱田春草《林和靖》いずれも同じモチーフを朧体で、各々に趣が存す
速水御舟《秋茄子と黒茶碗》黒と黒との取り合わせ、じっくり魅せる
近藤浩一路《下京の夜》灯り川面に映り、家並みそして人影《一条戻橋》墨、溶け合う光と闇《花雨》墨、淡い光と桜樹
穴山勝堂《踏切を通過する》車窓、スピード感と雑踏を感じて
近藤乾年《岩燕》冷涼多湿で苔むす大樹には燕たちが
山岡良文《ヂーグフリード線》戦時中、独仏国境線を前衛的に
東山魁夷《樹根》逞しく自生し根を張り波と岩に生き
山田申吾《田園譜》まさしく田園だが… 少し不思議な配置の風景画
高山辰雄《夜》孤独を背負った生を象徴的に
谷口山郷《凍天/山容》墨、凍てつきや雄大さをダイナミックに
のむら清六《世相マンダラ図の中(券を買う行列)》黒々とした縁どりで原色際立ち都会の喧騒を
併催のコレクション展(萩原英雄記念室/ミレー館/テーマ展示室)では…
ヨハン•バルトルート•ヨンキント《ドルトレヒトの月明かり》萩原英雄《雑誌を貼る(ランプ/朝/夢の中の果実店/ベッドの上/無題)》《コンポジション(Q)》《雪化粧富士》山田申吾《霜晨》ヘンリ•ムーア《多勢の横たわる人体》深沢幸雄《白い抒情の人》手澤宗信《春待つ耕地》原田勝《夕陽》沓間宏《沙羅の夢 I》阪本トクロウ《ドリフター》福井江太郎《阿 I》山口晃《富士北嶺参詣曼荼羅》
未だ識らぬ忘れ難い日本画、今年もまた諸所で出逢えそうな…
豊烈哀号@関口美術館東館 on Jan. 7th,2026
H.P.での強烈な印象に導かれ、‘26の始まりは初訪の館へ。住宅街に並び建つ落ち着いた佇まいに4名の作品が。
葛西利行《ピエロ》素敵な小品《パリの風景》アーチゲートを通って種々雑多な人ひとヒト、力強く塗り描く《スペイン カダケスの海》柔らかく優しい筆致でカラフルな南欧を《太海の風景》雲,白波,舟,岩 強くうねりの海岸線《赤富士》綺麗ではなくその塗りたくりには野生味感ず
角谷三千雄《白菜》野菜もこんな風に描けるんや、堂々と立派な存在《花(バラ)》筆のうねりの中に艶めかしくも鮮明な紅が
村上肥出夫《標識》《常盤橋ガード》《上野公園》《高架下》《聖堂(パリ)》《花》凄い! 「幼少期からゴッホに憧れ」らしく、さもありなん。激しく濃くぶ厚く。キャンバスにぶつけているものがそのまま観る者に真っ直ぐ返ってくるかのようで、眼から入ったそれは脳を掴み暫時離さない。《ルアーブルのヨットハーバー》この一点のみは少し凪いだ画造りで
長谷川利行 展数も少なく他3名と比し抑えめの作風とは映るが、静かに情念を感じさせ。
画から叫びが聞こえるような… 耳を通さず
