【体験版】正皇戦記ジャスティカイザー|第0話 亡霊の森
『正皇戦記ジャスティカイザー』を初めて知った方へ向けた、
短編形式の体験版です。
◯あらすじ
東へ向かう旅の途中、ユウキとリューヌは小さな村の宿で一夜を明かす。旅立ちの朝、宿屋の亭主は二人に、この先の森には昼間でも亡霊が出ると忠告する。軽口を叩きながら森へ入った二人の前に現れたのは、亡霊ではなく、百年戦争時代に作られた自動人形(オートマータ)の残骸だった。リューヌは月陰流抜刀術で応戦するが、最後に現れた特務近衛型の一体に追い詰められる。ユウキはリューヌを守るため、まだ扱いきれない黒いロザリオを手に取り、黒い聖骸を呼び出す。これは、正義の名を持つにはまだ早い少年が、戸惑いながらも誰かの前へ立とうとする、旅の途中の一幕である。
■登場人物
・ユウキ
正義の継承者ジンライの弟子。
粗暴で短気、すぐに強がる不器用な青年。
けれど誰かが傷つく場面だけは放っておけず、怖くても最後には前へ出る。
黒いロザリオを通じて、黒い聖骸を呼び出すことができる。
・リューヌ
月の継承者にして、ジンライに仕えていた従者。
冷静で容赦のない物言いをするが、なんだかんだで
ユウキの面倒を見ている。
符術と居合を組み合わせた月陰流抜刀術を使い、
ユウキと共に旅をしている。
翌朝。
ユウキとリューヌが宿の勘定を済ませていると、
帳場の奥から宿屋の親父が顔を出した。
丸い腹を前掛けの上からぽんと叩き、
いかにも人の良さそうな笑みを浮かべている。
「あんた達、この先の街へ向かうのかい?」
「ああ。東へ抜けるには、その道が早いんだろ?」
ユウキは荷を肩にかけながら答えた。
「道は悪くないよ。馬も通れる。天気も悪くない」
「なら問題ないじゃない」
リューヌが言うと、親父はにやりと笑った。

「ただ、気をつけた方がいい」
「何か出るの?」
「出るんだよ」
親父は、そこで妙に芝居がかった顔になった。
「昼間でも、亡霊が」
ユウキの肩が、ほんの少しだけ跳ねた。
リューヌが横目でそれを見る。
「……へぇ」
「べ、別に驚いてねぇよ」
「まだ何も言ってないわ」
親父は腹を揺らして笑った。
「しかもだ。噂じゃあ、その亡霊は若い女を狙うらしい」
「特に、あんたみたいな綺麗な女をな?」
「……あら?」
リューヌの顔が、ほんの少しだけ緩んだ。
ユウキがすぐに横目で見る。
「なに嬉しそうにしてんだよ」
「嬉しそうになんてしてないわ」
「今ちょっとしてただろ」
「亡霊にも見る目があるのね、と思っただけよ」
「そこ認めるのかよ」
親父はさらに笑った。
「あははは。こりゃ亡霊も命がけだな」
「どういう意味よ」
「いやいや、何でもない。まあ、あくまで噂だよ。噂」
そう言ってから、親父の笑みが少しだけ薄くなった。
「ただね。ここ数月、その道を通って戻らなかった者が何人かいる」
帳場の奥の空気が、少しだけ冷えた。
ユウキとリューヌは、同時に親父を見る。
親父はすぐに明るい顔へ戻り、手をひらひらと振った。
「ま、気をつけて行きな。若い旅人が朝から湿っぽい顔してちゃ、縁起が悪い」
「亡霊だろうが何だろうが、出てきたらぶっ飛ばすだけだ」
ユウキは鼻を鳴らした。
「頼もしいねぇ」
「そうやって大口を叩く人ほど、いざ出たら真っ先に叫ぶのよ」
「叫ばねぇよ!」
「本当に?」
「叫ばねぇって!」
親父はまた楽しそうに笑った。
「あははは。まあ、仲が良いこった」
「良くない!」
ユウキとリューヌの声が、ほとんど同時に重なった。
宿を出ると、朝の光がまだ斜めに街道を照らしていた。
「とにかく行くぞ。亡霊なんざ屁でもねぇ」
ユウキはそう言うなり、ずんずんと歩き出した。
「ちょっと、待ちなさいよ」
リューヌが呆れたように後を追う。
はじめのうちは、道も明るかった。
畑の脇を抜け、低い石垣の間を進み、
遠くに見える森もただの木立にしか見えなかった。

「だいたい、昼間から出る亡霊ってなんだよ。夜勤が嫌になったのか?」
「亡霊にも勤務形態があるの?」
「知らねぇよ。あったら昼勤だろ」
「妙に現実的ね」
そんな軽口を交わしているうちは、まだ良かった。
やがて畑が途切れ、人の声が遠ざかり、
道は少しずつ細くなっていく。
二人の前に、深い森が口を開けた。
頭上では太い枝が幾重にも重なり、
昼だというのに陽光は細く裂かれている。
湿った土の匂い。
積もった落ち葉を踏む音。
どこか遠くで鳴いていた鳥の声も、
いつの間にか聞こえなくなっていた。
ユウキの足取りが、少しだけ遅くなる。
リューヌはその背中を見て、目を細めた。
「……ひょっとして、怖がってる?」
「んな訳あるか!」
「お姉さんには、そうは見えないけどなぁ?」
「誰がお姉さんだ。だいたいなぁ――」
その時だった。
森の影の奥から、きぃ、と。
何かが擦れるような音がした。
二人の足が、同時に止まる。
風ではない。
獣の鳴き声でもない。
錆びた金属を、ゆっくりと捻ったような音だった。
「……今の、聞こえた?」
リューヌが低く問う。
「聞こえてねぇ」
「嘘つき」
「風だろ」
「金属音のする風があるのね」
「だから!」
言い返そうとしたユウキの言葉が、そこで詰まった。
ガサリ。
ガサリ。
今度は、聞き間違いではない。
濡れた落ち葉を踏み分ける音。
枝を押しのける音。
その奥に混じる、ぎちり、ぎちりという金属の軋み。
何かがいる。
しかも、それは確実に二人の方へ近づいてきていた。
ユウキは無意識に一歩退きかける。
その瞬間、リューヌの視線が横から刺さった。
「……屁でもないんじゃなかったの?」
「退いてねぇ。あ、足場を確認しただけだ」
「便利な足場ね」
「うるせぇ!」
木々の間から、影が現れた。
人の形をしていた。
だが、人ではなかった。
きり、きり、と歯車の回る音がする。
剥がれた装甲の隙間から、
黒ずんだ内部構造が剥き出しになっている。
頭部には武者兜の名残のような外装があり、
その下の顔は屈強な武者にも、
土の底から起き上がった骸骨にも見えた。
「……ぼ、亡霊、かよ!?」
ユウキが思わず呟いた。
「違う」
リューヌの声が鋭くなる。
「自動人形……!?」
「自動人形?」
「百年戦争時代の遺物よ。まだ動く個体が残っていたなんて……!」
最初に現れた一体は、片脚を引きずるように歩いていた。
装甲は欠け、片目にあたる部分の光も弱い。
続いて、二体目が木陰から姿を見せた。
体のあちこちに別の個体から無理に移植したような部品が継ぎ足され、
右腕だけが不自然に長い。

そして最後に、森の奥から三体目が現れた。
二体とは違う。
その姿は、古びた近衛兵のようだった。
重い装甲。
鋭い面頬。
腰に残る折れた刀の鞘。
そして胸の中央には、鈍く赤い光を宿したコアが埋め込まれていた。
リューヌの表情が、わずかに変わる。

「……特務近衛型」
ユウキが横目で見る。
「強いのか?」
「少なくとも、ただの残骸じゃないわ」
その時、自動人形たちの喉の奥から、ひび割れた音声が響いた。
「目標確認」
音は人の声に似ていた。
だが、そこに息遣いはない。
「確保開始」
瞬間。
前に出ていた二体が同時に動いた。
片脚を引きずる通常支援型。
そして、右腕だけが異様に長い継ぎ接ぎの個体。
二体の自動人形が、左右からリューヌへ襲いかかる。
「リューヌ!」
ユウキが咄嗟に前へ出ようとする。
だが、それよりも早く、リューヌの袖口から複数枚の符が抜き放たれた。

「下がって!」
白い符が森の薄闇を裂く。
一枚は足元へ。
一枚は肩へ。
一枚は剣を握る腕へ。
符が通常支援型の四肢へ貼りついた瞬間、
淡い光が結界となって走った。
「月陰流抜刀術!」
リューヌの手が刀の柄へかかる。
「一華閃!」
銀光が鞘走った。
鍔鳴りと共に放たれた一閃が、通常支援型の胴を斜めに断ち切る。
重い音を立てて、最初の一体が地面へ崩れ落ちた。
だが、リューヌは止まらない。
次の刹那、さらに一枚の符が継ぎ接ぎの自動人形へ飛ぶ。
右腕だけが異様に長いその個体は、奇妙な軌道で腕を振り上げ、
リューヌの頭上へ叩きつけようとしていた。
符が、その胴へ貼りつく。
「刹華閃!」

横薙ぎの銀光が走った。
継ぎ接ぎの自動人形の胴が、上下に割れる。
上半身と下半身がずれて、重い音を立てて地面へ落ちた。
きん、と澄んだ音が響き、リューヌの刀が鞘へ戻る。
「まず二体」
リューヌは小さく息を吐いた。
だが。
止まらない。
地に転がった継ぎ接ぎの個体の上半身が、ぎちりと音を立てて動いた。
「まだ動けるの!?」
片腕だけが異様に長いその機体は、
上半身だけで地面を掻き、なおリューヌへ向かって這い寄ってくる。
狙いは、リューヌだった。
「うおおおおッ!」
ユウキが叫び、横合いから飛び込んだ。
ジンライに何度も叩き込まれた形だけは、身体が覚えていた。
「ふんッ!」
ーー発勁。

正拳が、自動人形の胸部へ叩き込まれる。
鈍い音。
内部の歯車が弾け飛んだ。
上半身だけの機体は、錆びた部品を撒き散らしながら後方へ吹き飛び、
古い木の幹へ叩きつけられた。
今度こそ、動かない。
ユウキは荒く息を吐く。
「見たかよ!」
リューヌがちらりと横目を向けた。
「やるじゃない」
「うるせぇ」
そう言いながらも、ユウキの口元はわずかに上がっていた。
その時だった。
森の奥で、重い足音が響いた。
どん、と。
地面が小さく震える。
そこにいた三体目が、ようやく動き出していた。
それは、先の二体とは明らかに違っていた。

壊れている。
確かに壊れてはいる。
だが、残骸ではなかった。
古びた装甲は黒く錆び、
肩や腰の外板には無数の傷が刻まれている。
片側の面頬は砕け、
その奥から白骨にも似た内部骨格が覗いていた。
それでも、その立ち姿には崩れた兵の惨めさがない。
むしろ、戦場に最後まで残り続けた近衛兵のような、
冷たい威圧があった。
胸の中央には、赤黒いコアが埋め込まれている。
どくん、と。
まるで死んだ心臓が、百年ぶりに脈を打ったかのように、
コアが鈍く明滅した。
リューヌの表情から、先ほどまでの余裕が消える。
あれは違う。
さっきまでの壊れた人形とは、まるで違う。
三体目の自動人形は、ゆっくりと腕を上げた。
その動きには、迷いも乱れもない。
まるで、古い墓の中から抜き出された剣が、
まだ斬ることを忘れていないように。
「リューヌ」
ユウキは無意識に拳を握る。
「……あいつ、やばいのか?」
リューヌは刀の柄へ手を添えたまま、短く答えた。
「やばいわ」
特務近衛型の目が、ぎらりと光った。
次の瞬間、その巨躯が動く。
重い。
だが、遅くはない。
錆びついた大剣が、頭上へ振り上げられた。
「避けて!」
リューヌが咄嗟にユウキの胸を押した。
「うわっ――!」
突き飛ばされたユウキの目の前で、
特務近衛型の剣が振り下ろされる。
轟音。
地面が裂けた。
湿った土が弾け、根が砕け、
剣が叩きつけられた場所に深い溝が走る。
「リューヌ!」
「ユウキは下がってて!」
リューヌはユウキの一歩前へ出た。
刀の柄へ手をかける。
だが、その瞬間にはもう二撃目が来ていた。
横薙ぎ。
リューヌは後方へ跳ぶ。
刃が鼻先を掠め、切り裂かれた風が頬を打った。
着地するより早く、三撃目。
踏み込む暇がない。
間合いを作る余裕がない。
四撃目が、地を抉りながら迫る。
リューヌは身をひねり、辛うじてそれをかわした。
袖口から符を抜こうとする。
だが、大剣の圧がそれすら許さない。

「これじゃ……」
抜けない。
月陰流抜刀術は、鞘の中に一瞬だけ力を溜める。
符を放ち、間合いを縛り、
刀を鞘走らせることで初めて成立する。
だが、特務近衛型はその一瞬を潰してくる。
攻撃が粗いわけではない。
むしろ逆だった。
振り下ろし。
横薙ぎ。
踏み込み。
追撃。
壊れた人形とは思えないほど、剣筋に無駄がない。
「くっ……!」
リューヌが後ろへ押される。
このままじゃ、リューヌが。
ユウキの喉が詰まる。
まただ。
また、自分より先にリューヌが前へ出ている。
また、自分は後ろで見ているだけだ。
その時だった。
懐が、熱を帯びた。
「……!」
ユウキは反射的に胸元へ手を入れる。
黒いロザリオ。
手の中に収まったそれは、いつもよりずっと熱かった。
中央の青緑色の宝玉が、脈を打つように明滅している。
ーーこいつの力を使えれば……。
ユウキは奥歯を噛み締めた。
使えるかどうかなんて、考えている暇はなかった。
目の前でリューヌが押されている。
あのままでは、次の一撃を避けきれない。
なら、誰が前に出る。
ジンライならどうした。
そんな答えは、考えるまでもなかった。
ここで立たなきゃ、拳を握る意味がない。
「リューヌ!」
リューヌが一瞬だけ振り返る。
「今行く! 待ってろ!」
「ユウキ! それはまだ!」
リューヌの声が鋭く飛んだ。
だが、ユウキはもう止まらなかった。
左手に黒いロザリオを握り、右拳を引く。
弓弦を引くように。

自分の震えごと、拳の先へ絞り込むように。
黒いロザリオが宙へ舞う。
青緑の宝玉が、森の闇の中でまばゆく輝いた。
「クロスゲットッ!!」
右拳が、中央の宝玉を打ち抜く。
瞬間。
まばゆい閃光が、昼なお暗い森を白く塗り潰した。
次の瞬間。
黒い鎧に身を包んだユウキが、リューヌの前に立っていた。
黒い装甲。
金色の装飾。
黄色く光る双眸。
白いマフラーが、森の湿った風を裂くように揺れる。
それは、正義の名を持つにはあまりにも荒々しく。
それでも、誰かの前へ立つために現れた姿だった。

「オレが相手だ!」
ユウキは叫ぶと同時に、地面を蹴った。
特務近衛型へ一直線に突っ込む。
「ユウキ!」
リューヌの制止より早く、黒い拳が唸った。
どすん、と重い音が響く。
ユウキの正拳が、特務近衛型の脇腹へ叩き込まれた。
巨体が横へ吹き飛び、太い木の幹へ背中から激突する。
幹が軋み、葉がばさりと落ちた。
「……平気なの?」
リューヌが低く問う。
ユウキは拳を握ったまま、短く息を吐く。
「……ああ。なんとかな」
だが、その声には余裕などなかった。
黒い聖骸の中で、心臓が暴れるように鳴っている。
力はある。
身体も動く。
だが、その力が自分の奥で何かを急かしているような感覚があった。
それを振り払うように、ユウキは前を睨む。
「それより、来るぞ!」
特務近衛型はすでに体勢を立て直していた。
胸のコアが赤く明滅する。
右手に握られた大剣が、ゆっくりと大上段へ掲げられた。
次の瞬間、巨体が突進する。
重い足音が森を揺らし、湿った土が弾け飛ぶ。
「ここは任せて!」
リューヌの袖口から、無数の符が舞った。
白い符は空中で弧を描き、特務近衛型の足元へ散る。

その一枚一枚が淡く光り、地面へ触れた瞬間、
かきん、と甲高い音を立てた。
方陣が組み上がる。
特務近衛型の足が、一瞬だけ止まった。
「今よ!」
リューヌが叫ぶ。
「うおおおおおおッ!」
ユウキが突進する。
だが、特務近衛型の大剣は止まりきっていなかった。
方陣を軋ませながら、巨体はなお腕を振り下ろそうとしている。
黒い聖骸の視界の中で、刃が大きく迫った。
その刹那。
ユウキの中で、時間が伸びた。
――勝とうとするな。
ジンライの声が、耳の奥で響く。
――通せ。
ユウキの足が、一瞬だけ止まった。
「ユウキ!?」
リューヌの声が遠く聞こえる。
大剣が振り下ろされる。
避ければ、届かない。
受ければ、砕かれる。
押し返そうとすれば、力に呑まれる。
なら。
ユウキの腰が、深く沈んだ。
左拳が前へ出る。
右拳が、腰へ据えられる。
それは、かつてジンライが見せた構えだった。

リューヌが息を呑む。
「あの構えは――」
大剣が迫る。
ユウキの左拳が、刃の腹へ触れた。
弾くのではない。
受け止めるのでもない。
剣筋を、ほんの一寸だけ外す。
ただ、それだけ。
だが、その一寸で特務近衛型の重心が崩れた。
胸のコアが、無防備に開く。
ユウキの右拳が、真っ直ぐに走った。
「正義ぃ――!!!」
黒い拳が、赤いコアへ叩き込まれる。
「魔破拳ッ!!!!」

衝撃が、森を震わせた。
特務近衛型の胸のコアに亀裂が走る。
赤い光が一瞬だけ膨れ上がり、次いで内側から砕け散った。
巨体がびくりと震える。
歯車が悲鳴のような音を立て、
装甲の隙間から火花が噴き出す。
それでもなお、特務近衛型は一歩踏み出そうとした。
だが、もう足は動かなかった。
大剣が地面へ落ちる。
どさり、と。
百年の亡霊は、ようやく役目を終えたように、その場へ崩れ落ちた。
黒い聖骸が、光の粒になってほどけていく。

着装が解けたユウキは、自分の右拳を見下ろしていた。
「……撃てた」
ぽつりと呟く。
「師匠の、正義魔破拳……」
その声には、隠しきれない喜びが滲んでいた。
だが、リューヌは冷ややかに言う。
「一万年早いわ」
「なんでだよ!」
「型だけ。勢い任せ。間合いも雑。あと最後、完全に腰が浮いてた」
「見てたのかよ、そんなとこまで!」
「見てなくても分かるわ」
「くっそ……でも倒しただろ!」
「倒したことと、出来ていたことは別よ」

ユウキは言い返そうとして、言葉を詰まらせる。
それから、少しだけ笑った。
「……まあ、次はもっと上手くやる」
リューヌは呆れたように息を吐く。
「その前に、怖がって叫ばない練習からね」
「叫んでねぇ!」
森の奥には、もう金属の軋む音はない。
ただ、風に揺れる木々の音だけが残っていた。
二人は再び、東へ向かって歩き出す。
百年戦争の亡霊を背にして。
まだ名も知らぬ黒い力と共に。
◆この物語を、最初からじっくり読みたい方へ
ユウキが「正義」を託されるところから始まる、
再構成版『正皇戦記ジャスティカイザー』真説版を連載中です。
▼真説版 第1章「託された正義編」(全13話)
◆この先の物語を、ひと足先に読みたい方へ
創作大賞2026応募版では、
真説版より先の物語を「ルミナ事変」まで全23話で公開しています。
真説版とは構成や描写、一部設定の異なる別バージョンです。
▼創作大賞2026応募版
◆世界や登場人物をもっと知りたい方へ
世界観設定、キャラクター紹介、制作裏話など、
『正皇戦記ジャスティカイザー』の各入口をまとめています。
▼初めての方へ|水先案内
Instagramにてキャラ紹介をしております。
よろしければご覧頂けたら幸いです。
キャラ紹介:リューヌ
キャラ紹介:ジンライ
