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くちびるだけ1万円の女が爆誕した話

美容は好きだけどめちゃくちゃお金をかけてるわけじゃない。

デパコスのクレンジングを買うこともあれば、数百円の下地に躊躇することもある。
メイクポーチを開ければ何年前から入ってるのか分からないBBクリームが使い切れずに居座っている。
子供が生まれてからは、いかに手を抜いてちゃんと見えるかに心血を注いだ。
ファンデーションは時間が経つとすぐ崩れてしまう気がして、苦手意識から一番最初につけるのをやめた。
下地女になった。

メイク落としのCMをテレビで観た。
出演してる女優さんは、なんですっぴんでもあんなにきれいなんだろう。
顔が無くなってない。
もちろん美人だから、という前提は分かっている。
でも『美人には美人の理由がある』と思ったのだ。
何があれば、化粧っ気がなくても顔がちゃんとしてるように見えるのか。
考えた結果、眉毛がちゃんと生えてることに気づいた。
ということは、眉毛さえ書けばメイクをしてるも同然だと思った。

それから当分、日焼け止め下地と眉毛で凌いだ。
あとは顔色が悪く見えなければそれでよし。
正直なところ、人は自分の顔以外にはあまり興味がないので指摘されたことはない。

YouTubeを観ていると、同じようなショートがどんどん流れてくる。
メイク系をひとつ見るとあっという間にメイク系だらけになる。
その中でオネエ口調の人が「あんたたち~!」とリップを勧めてきた。
MACのリップ。
これは欲しいと思ったけど、SNSで話題になっていたプリプリの天ぷら唇になれるプランパーを先週買ったところだった。
「見るだけ」と、思ってもない言い訳をしながらスクショを持ってコスメカウンターに出向いた。

鏡の前に座るとリップベースを勧められる。
牛脂みたいなそれを塗ってからカラーを塗ると、リップの縦じわが薄くなった。
よく動画や宣材写真で見る、ふわふわの質感の唇に近づいた感じがした。

口紅4500円、リップベース3000円。
買ったばかりのプランパーも合わせると、今月唇だけで1万円を余裕で超えてしまう。
唇だけで1万円かあ。
塗る面積なんて微々たるものなのに。

買った。
メイクは沼で、一度つける楽しさを思い出すと、落ちるのはあっという間だった。

今年はパウダーにハマっている。
下地女が下地だけでは顔がペタペタしている事に気づいたのだ。
夏に2個買ったのに、また欲しくなっている。
きっとこれも使い切るのに数年かかるのに。
2026年産のパウダーは3つもいらない。


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