万里の長城より行きたい場所――私にとって中国一の観光地は普通の小区だった
中国で、どんな観光地よりも見たい光景があり、どんな美食の地より美味しいものが食べられると思っている場所がある。
それは江蘇省南通にある小区。
今回、行ったのは三度目だ。
小区の日常
ここは私が最も仲がいい卒業生女子の実家である。


こういう似たような建物が並んでいて、この一帯はご町内。
彼女の両親、おばあさん、お母さんの妹夫婦は全員ここに住んでいる。
住んでいる人も大体顔見知り。

一階部分はそれぞれの部屋の物置スペースなんだけど、ここも部屋に使ったり、お店を開く人もいる。


天津では、家の一階の窓をお店にしている光景も見た。
奥は普通に部屋になってて、窓のところだけで商売している。
私はこういう中国の自由さが好きだ。

外では老人が座っている。

この老人たちは17時半ぐらいになるとごはんの時間だからか一斉にいなくなる。
ここでは独居老人は珍しいのかもしれない。
卒業生のおばあちゃんは足が悪くて出歩けなくなったが、近所の人が部屋に遊びにきたりしていた。
小区内には公園や運動場もあり、ここの子どもらが遊んでいる。


子どもも遊んでるけど、遊具がほとんど鍛錬のためのもの。


すぐ近くには川があり、そこで釣りをしたり、みんな勝手に畑を作っている。


日本で中国人が勝手に河原に畑作ると問題になったニュースを見たことあるが、ここでは普通の感覚で、常識が違うのだから仕方ない。特にお年寄りにはきちんと教えてあげるべきで、最初から違法だ違法だと叩くのは違うと思う。
ここでも自由とはいえ、もめることはある。
卒業生女子が川に網を張ってたら、釣りしてた知らないじーさんに「俺の魚を捕るな!」と怒られたらしい。
この女子も気が強いから喧嘩になって、彼女のお母さんが家から出てきて仲裁したとか。
そんな日常風景も含めて私はここが好きなのだ。
近所のスーパー
ここから大きなスーパーまで歩いて買い物にも行ける。

スーパーまで川沿い歩くけど、すれ違う人みんな知り合いで挨拶したり話したり。
子どもはこういうカートに入れて、買い物したら袋も一緒に入れる。

こういう平屋の家もあり、涼しくなってきたら、家の中から椅子持って人が出てくる。
棗荘でも、朝から老人がよく道脇に椅子持って来て座っている。
カードゲームしたりおしゃべりしたりする人もいるが、特に何もせずぼーっとしているじっちゃんばっちゃんもいる。
これも私の好きな光景。

この日は台風が来てて強風だった。



奥の暗い倉庫の中は何があるのか謎だけど、靴や老眼鏡を売ってる。

シーサーは二対でよく見るが、こういうの見るとやはり琉球王国(沖縄)は中華圏の文化なんだなと思う。

この地域は子どもと老人の接触も多い。
ちなみに50で退職の中国は、50過ぎたらじいちゃんばあちゃんである。


なんかこの辺野良犬多いと思った。
小区は野良犬も野良猫もいるけど、なんか犬とかものんびりしてて、人を怖がってもいない。

スーパーは棗荘より大きくて品数も豊富。
でも南なので北の棗荘とは食習慣が微妙に違い、見たこともない食材がけっこうあった。

帰る時には卒業生のお父さんが迎えに来た。卒業生の旦那さんは自分の分と私にアイスを買ってくれたが、娘がアイス食べたくて泣く。
お父さんがカートを引き、旦那さんが娘の口の中にアイスを入れるために追いかける。
帰り道もやはり知り合いに会う。
私もここに滞在すると色んな人に挨拶をしたり紹介される。
身内の知り合いはまた身内って感じで、みんなとにかく愛想がいい。
前に一人で広東省行った時、南はなんか冷たいなと思ったけど、大都会だったからなのか、それとも見知らぬ旅行者だったからなのか。
まあ北でも南でも知ってる人はみんな優しいんだけども。
私にとって中国最大の美食
卒業生のお母さんは料理がめちゃくちゃ上手い。
福建の友人のお母さんの料理もおいしかったが、この南通のお母さんの場合、食と健康にもこだわる。
魚も鳥も新鮮な方がおいしいということで、魚は家で育て、鳥は市場でその場で締めたものを使う。
調味料も化学調味料は遣わない主義とかで、素材の味や簡単な中華調味料、さらにニンニクや生姜でしか味付けしてないという。
でもはっきりいってどこのレストランよりもおいしい。
特に、私が好きなのはこのお母さんが作る狮子头(シーズトウ)。
「ライオンの頭」という意味の肉団子。



卒業生がうちでハンバーグを食べた時、お母さんの狮子头の話をしてて、私はずっと食べたくて、コロナ後、二回目に行った時にやっと実現。
今回も前日から仕込んでくれて、帰りには冷凍したものまで持たせてくれた。



朝から晩までとにかく豪華。朝はチジミみたいの焼いてくれたが、ニラは河原の畑でとったばかりと言っていた。
昼は旦那さんが作った緬

とにかく品数豊富で余ったら次の時も出てくる。なので、どんどん毎日増えていく。

持たせてくれた手前の手作りソーセージも美味しいが、奥の野菜炒めも美味しい。これはたぶんお父さんが作ったかも。
この家はお父さんも料理がうまい。亡くなったおじいさん(お母さんのお父さん)も料理上手で、卒業生女子は学生時代よく「おじいちゃんのごはんが食べたい!」と言っていた。※両親共働きでおじいちゃんのごはんで育ったから
お母さんだけじゃなくお母さんの妹も料理がうまいし、おじいちゃんは相当な達人でみんな舌が肥えてるんだろう。



前回お母さんの妹の会社で飲んだコーヒーがおいしかったと話したら、わざわざ叔母さんは会社に行ってコーヒーを作って水筒に入れて持って来てくれた。
このコーヒーは中国で飲んだ中で一番おいしかった。会社には立派なコーヒーマシーンがある。基本中国の珈琲甘いと思ってるが、ここのは本格コーヒーだ。
これに高級チョコレートで最高だった思い出。
今回はベルギーチョコレートをもらった。※おみやげにもくれた。
とにかくこの家には美味しいものがたくさんあって、おやつもどんどん出てくる。
そして、今食べたばかりだってのにまたごはん。
私はもともと少食なので食べきれないのが残念。
卒業生女子の胃袋羨ましい。
今回、二年ぶりに会う四歳の娘より、母親である彼女に「大きくなったねー」と言うぐらい、福々しく育ったw
まああれだけ美味しいもの食べれる環境ならしかたない。
私が大好きな広場舞
前回来た時も参加したが、今回も当然参加したのが広場のダンス。
これは棗荘でもやってて、棗荘でも何度か参加した。
夜になると、公園とか広場に中高年がわらわら集まり、みんなで元気な音楽に合わせて踊る。
私はこれが非常に好きだ。
そんなわけで歩いて参加しにいく。

いた!

さっそく参加。
一番前でキレッキレで踊る爺さんの見よう見まねで踊る。


卒業生の娘は踊りが好きで前は最前列で踊ってらしいが、4歳になる今、羞恥心を覚えたらしく、この日、なかなか踊らない。
まあこの時も卒業生女子、旦那さん、叔母さんといたが、踊ってるのは私だけ。
前々回はおばあさんもいたが、はりきって踊るこの日本人を眺めていた。
暑いが汗だくで何曲か踊った。
毎日参加したいぐらい私はこれが好きである。
最高の家庭リゾート
やはり私はこの小区が大好きだ。
どんな観光地よりリラックスできて、おいしいものが食べられる。
中国の理想的家庭に参加できるというのは、何よりぜいたくだと思う。
滞在中、4歳の娘が何をどうしたのか、寝室のドアを開かなくしてしまうということがあった。中には誰もいないのに鍵が閉まってしまった。

旦那さんがカードを使ってなんとか開けようとしたり、お父さんが外の窓から入ろうとしたり、みんなあわあわしてる中、犯人である娘はケロッとしている。
結局、旦那さんが見事部屋を開けた。みんな喜ぶ。
こういう何気ない家庭の日常の一コマを見るのが、博物館や観光地にあるものを見るより好きだ。
台風で高鉄が運休になったので、結局三泊四日いたが、今回も楽しかった。
北京も万里の長城も行ったことない私だが、行きたいと思うのはこの場所だ。可能なら、年に一度は訪れたい。
