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生活エッセイ|好きな靴下オブザデッド

僕は「ダーンタフ」というメーカーの靴下を愛用している。
登山用の厚いクッションが付いた、メリノウールのやつだ。
僕は乾燥肌なので、このメリノウール靴下の保湿と透湿のバランスに完全にヤラれてしまった。
一足数千円もする高い靴下なので簡単には買えなかったが、アウトドアショップに行っては一足ずつ買い足し、結局五足くらい買った。
でもそれは昔の話で、今の貧乏では絶対に買わないと思う。
それにもかかわらず、今もその靴下をはけている。
実はダーンタフは「生涯保証」なので、穴が開く度に交換してくれるのである。
実際五回くらいは交換している。
だから長い目で見ると割安なのだ。
履き心地が最高なので、靴下のことはもう考えなくて良くなった。
とにかく靴下はQOLに大きく影響するので、多少金をかけても良いことがわかった。

札幌市白石区にあるアウトドア専門店「秀岳荘」は、かつて土日ともなると開店前から車が列をなしていた。
今では駐車場のアスファルトの割れ目から背の高い雑草が生えているだけで閑散としている。
僕はまだ賑わっていた頃の秀岳荘を思い浮かべながら、中古の軽自動車をそこに駐車させ、入店した。
ショウ=ウィンドウにはゾンビが二体閉じ込められていて中でうろうろしていた。弾が勿体無いので、ショットガンは使わなかった。
そのまま階段を数段上がった右側にシューズコーナーがあって、そこに靴下も陳列されている。
その辺にあったthe north faceのトートバッグにダーンタフの靴下を取れるだけ取って、その中に入れた。
「窃盗行為」という概念は既になくなっていたが、僕はやはりこの店が好きだったので、ワークパンツの横ポケットにたくさん入れていたどんぐりをレジカウンタにばら撒いた。
お金というものに価値がなくなってしまい、今ではどんぐりが貨幣の代わりなのだ。
もちろんそんなものにも価値はないのだが、僕のようなタイプの人間の間では、お金の代わりにどんぐりを遣り取りして気持ちを伝え合う習慣が残っているのだ。
基本は奪い合いか、物々交換だ。
試着室のカーテンがシャッ、と開き、ゾンビが出てきた。
全身完璧にコーディネートされた山ガールゾンビだった。
誰かが若い女性ゾンビの服を脱がせ、着せ替えたのだろう。そういう非人道的なイタズラが横行しているのだ。僕は迷わず頭をショットガンで吹き飛ばした。
頭が無ければ流石に死者を凌辱することはしないだろう。こんな世の中だからこそ倫理観というものを大切にしたいものだ。
ガラスの割れる音がして、ショウ=ウインドウからゾンビ二体が出てきてしまった。
結局、この二体も撃つことになった。
店から出ようとすると、僕の銃声に反応したのか、駐車場はゾンビだらけだった。
この建物は三階建で、更に屋上がある。僕は三階のテント売場からsnow peakの高級テントを運び出し、屋上へ出た。
その間も、二十体ほど客ゾンビや店員ゾンビを撃った。
屋上に出るには狭い階段を登らねばならないので、必ずゾンビは一列になる。
僕はその一箇所だけを警戒すれば良いのだ。
屋上の出入口が見える真正面にキャンプイスを置いて、上がってきたゾンビを逐次倒しながら一夜を過ごした。
が綺麗だった。
夜二時くらいに、かなりの睡魔に襲われたが、それを乗り越えると逆に目が冴えた。
その頃にはゾンビは殆ど出てこなくなっていたので、売り場に戻り、煮炊きする道具、保存食、インスタントコーヒーなどを取って来て、日の出と共に朝食を摂った。
今は毎日がサバイバルなので、アウトドア程度の非現実感は日常よりも、より優しく感じられた。
僕は屋上から駐車場に向け灯油を撒き、ジッポライターを放り投げた。

1500文字


#チャレがや杯2026
すべり込みで殴り込みだ〜!


別に回し者じゃないですが。

僕の好きな店です

(終わり)

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