二児の母、ケーキ屋ですでに紛争を防いでいた。
先日、妻から面白い話を聞いた。
妻の友人が2人、我が家に遊びに来たらしい。
仮にAちゃんとBちゃんとする。
Aちゃんは、2人の子どもを育てている真っ最中。
我が家と同じである。
Bちゃんは現在1人の子どもがいて、再来月に2人目を出産予定。
この日は2人とも子どもをパパに預けて、久しぶりの大人だけの時間だったらしい。
そして、ありがたいことに2人とも手土産を持ってきてくれた。
ケーキである。
しかも、それぞれ有名なお店のケーキ。
最高である。
我が家には妻と子どもが2人いる。
そこにAちゃんとBちゃん。
つまり、その場にいるのは5人。
ケーキを5個買えば、全員が1個ずつ食べられる。
非常に簡単な算数である。
ところが。
AちゃんとBちゃんが持ってきたケーキを見て、妻は気づいた。
買い方が全然違う。
Bちゃんが買ってきたのは、
5種類のケーキを1個ずつ。
ショートケーキ。
モンブラン。
チョコレート。
フルーツ系。
たぶん、あと何かオシャレなやつ。
「好きなの選んでね」
という、ケーキ屋さんで最も平和な光景である。
一方、Aちゃん。
2個ずつ、3種類。
合計6個。
同じケーキが必ず2つある。
最初、この話を聞いたとき、
「好みの違いかな」
と思った。
違った。
これはたぶん、
“子どもが2人いる家庭の経験値”
なのである。
子どもが1人なら、
「好きなの選んでいいよ」
で済む。
ところが子どもが2人になると、話は変わってくる。
例えば5種類のケーキが並んでいる。
上の子が、
「これ!」
とチョコレートケーキを選ぶ。
すると、それまでモンブランを見ていた下の子が突然言う。
「ぼくもそれ!」
始まる。
「あっちにモンブランあるよ」
「イヤ!」
「イチゴもあるよ」
「チョコがいい!」
「お姉ちゃんが先に選んだでしょ」
「ぼくもぉぉぉぉ!」
ケーキを食べるだけだったはずなのに、家庭内紛争が勃発する。
しかも子どもというのは不思議なもので、
自分が本当に食べたいものより、
“兄弟が持っているもの”
の価値が急上昇することがある。
昨日まで興味のなかったお菓子も、姉が持った瞬間に国宝になる。
そういう世界である。
Aちゃんは、それを知っている。
知りすぎている。
だから、ケーキを買う時点ですでに争いを消している。
2個ずつ。
2個ずつ。
2個ずつ。
もはや手土産ではない。
紛争予防である。
一方のBちゃんは、今のところ子どもは1人。
だから、
「好きなの選んでね」
が成立する。
5種類のケーキを見ながら、
「どれにしようかな〜」
という優雅な時間を楽しめる。
でも再来月、2人目が生まれる。
もちろん、すぐではない。
しばらく先の話だ。
ただ、数年後。
Bちゃんがケーキ屋さんのショーケースを眺めながら、
「ショートケーキ2個……チョコ2個……」
と注文している日が来るのかもしれない。
その頃にはきっと気づく。
Aちゃんがなぜ、同じケーキを2個ずつ買っていたのか。
子育てとは、
ケーキの買い方まで変えてしまうものらしい。
ちなみに今回、
Aちゃんが6個。
Bちゃんが5個。
合計11個のケーキが我が家に集結した。
人数は5人。
完全に供給過多である。
というわけで、
その日そこにいなかった私も、帰宅後しっかりいただいた。
子育ての知恵と友情によって生まれた余剰ケーキ。
大変おいしゅうございました。

