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イタリアで今もアルファ・ロメオ156が人気の理由 

イタリアで今も時折見かける、ちょっと古いアルファ・ロメオといえば「156」である。ベルリーナ/スポーツワゴンがカタログから消えた2005年から計算すると21年、その後も存続していたクロスワゴンQ4が生産終了した2007年を基にしてもすでに19年が経過している。にもかかわらず、イタリアの人々によって支持される理由は何かを考察してみた。

■手放せない理由

アルファ・ロメオ156が今もイタリアで人気がある理由のひとつは、そのボディである。全長4435mm✕全幅1743mmは今日でも普段使いに最適なのだ。また、テールゲート付きのクルマがデフォルトともいえるイタリアで、ベルリーナ(セダン)派にとっては数少ない中古車の選択肢である。同時に新車時代から乗ってきた人にとっては、「これを手放したらスタイリッシュなベルリーナが無い」という切実な理由がある。

 156はアルファ・ロメオ初の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを1998年に受賞した (photo:Stellantis)

第二はヴァルター・デ・シルヴァが率いていた時代のアルファ・ロメオ・デザインセンター(チェントロスティーレ)による意匠の妙である。フロントはきわめて筋肉質でありながら、後部に向かってそのテンションが抜けてゆく。音楽の基本である緊張と弛緩に似たものを感じさせるのである。そのデザイン言語は、156の発表前年である1996年パリ・モーターショーで展示されたコンセプトカー「ヌーヴォラ」とも共通する。

公式写真より(photo:Stellantis)
ヌーヴォラ・コンセプト。アルファ・ロメオ博物館蔵

色に関していえば、新車時代イタリアでは156といえばシルバーが超定番だった。だが、それ以外を好む人に向けた車体色のセンスも良かった。2025年6月にアレーゼのアルファ・ロメオ博物館で開催されたブランド115周年記念大会には、アッズーロ・ヌーヴォラ(雲のブルー)、アッズーロ・ファンタジア(ファンタジー・ブルー)といった塗色の156が現れ、来場者の目を愉しませた。

■パワーユニットも“手頃感”に追い風

第三はユーズドカー市場における幅広い選択肢である。欧州で有名な中古車検索ウェブサイト「オートスカウト24」には、本稿を記した2026年8月初旬、150台の156がイタリアで出品されている。クルマを徹底的に使い倒すこの国の常で、走行距離は10万キロ以上が当たり前であることはさておき、そこそこの程度のものは5000ユーロ(90万円)台、状態を問わなければ400ユーロ(約7万円)台という個体も散見する。

2026年7月撮影。かなり年季の入った156だが…
左右ドアミラーに貼られたエンブレムはオーナーのブランドへの熱意が感じられる

なぜ安いのかというと、そのパワーユニットにある。イタリアで156は現役時代、JTDターボディーゼル仕様が人気で多くの需要があった。かわって今日、大都市では156時代の古いディーゼル車の進入が禁止されている。さらに2026年1月からは政策で軽油の価格がガソリンよりも高く設定されるようになってしまった。そのため中古ディーゼル車全体の価格が大幅に下がってしまったのだ。しかし、そうした進入規制を受けない地方部や、燃料の価格差を気にしないアルフィスタにとって、中古156は格好の選択肢なのである。


ジウジアーロがレタッチしたシリーズ2。2026年7月撮影

■あれから20年

ところで2026年は、アルファ・ロメオが第二次大戦前から続いていたIRI(産業復興公社)による管理に終止符が打たれ、フィアット傘下となって20年である。フィアットによる獲得は、交渉の最終段階までフォードが取得する予定であったところからの逆転劇であった。仮にフォード傘下だったら156のようなモデルが誕生していたか? その後の経営危機で彼らがボルボやジャガーを手放したとき、アルファ・ロメオはどうなっていたか? 興味は尽きない。だが、そうした邪推はともかく、フィアット時代のアルファ・ロメオにおいて156は傑作として歴史に名を残すことはたしかだろう。


2025年6月、アレーゼのアルファ・ロメオ115周年祭にドイツから参加したGTA
156はアレーゼのアルファ・ロメオ博物館にも展示されている


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