会う日、たどり着く日|山形へ、もう一度。#3
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6月21日
蔵王PAの朝、5時半。
雲ひとつない快晴だった。
まだ少し早い。イヌの散歩だけ済ませて、もう一度横になる。
夜間工事を終えた人たちの話し声で、ふたたび目が覚めた。
今日の目的地は仙台。
SNSのつながりでご縁ができた人に、ようやく会える日だった。
去年は入れ違いで叶わなかった約束。二年越しの再会だ。
───
その前に、身なりを整えようと「サンピアの湯」へ向かう。
軽く立ち寄るつもりだったのに、入ってみたら想像以上の規模だった。
ほとんどスーパー銭湯。というか、一日いられるやつだ。
ICリストバンドで現金いらず。
ジムも併設されていて、どこに何があるのか分からないまま、終始そわそわしていた。
コロナの影響もあってか、妙に気を張る空気。
なんとなく落ち着かないまま、さっとお風呂だけ済ませよう。
車にイヌを残している。
日差しのある駐車場が気になって、長居する気にもなれなかった。
それなのに、入口で、思いっきりガラスに顔をぶつけた。
あまりに綺麗すぎる自動ドア。
何もかもがうまく噛み合わない感じに、ひとり苦笑い。
⸻
それでも、お風呂はよかった。
もったいないくらいに、よかった。
アメニティもP◯LA。。
施設全体にもウッドスティックの芳香剤。。贅沢な匂いだわ。。
長湯したいのを頑張って手短に済ましたのに、休憩所には沢山の「人間を駄目にする椅子」に、ハンモック。。
ちょっとだけ、、と椅子に座った瞬間、一気に眠気が押し寄せてきた。
……イヌよ、30分だけごめん。。
⸻
気がつけば、もうすぐ11時。
外へ出ると、思っていたよりも風が涼しかった。
車に戻ると、イヌは何事もなかったような顔でこちらを見る。
ほっとして、少しだけ力が抜けた。
風を通しながら、横になって待つ。
そのまま、また少しだけ意識が落ちた。
⸻
「ミドリさん……?」
声で目が覚めた。
日傘をさした女性が立っていた。
一瞬で現実に引き戻されて、慌てて起き上がる。
イヌは吠え、植木に突っ込み、私はそれを止めながら挨拶をする。
なんとも締まらない出会い方だった。
でも、やっと会えた。
二年越しの初対面。
そのまま立ち話が始まって、気づけば夕方6時。
飲み物ひとつ持たずに、ずっと話していた。
楽しい時間は、本当にあっという間だ。
⸻
日が落ちると、一気に空気が冷えた。
東北なんだな。。と、あらためて思う。
記念に写真を一枚撮って、ささやかなオフ会は終わった。
⸻
そこからもうひと踏ん張り。
道の駅天童温泉を目指す。
夜の峠道は、思っていた以上に厳しかった。
霧雨で視界が悪く、後ろからは容赦なく詰められる。
それでも、なんとか走り切る。
山形県に入った。
イヌに向かって、「もう少しやで」と声をかける。
去年は新潟から。
今年は仙台から。
どちらにしても、ここまで来るのに三日はかかる。
⸻
夜9時前。見覚えのある交差点。
着いた。
思わず、声が漏れた。
ここまでの走行距離、片道およそ1130キロ。
車内ではずっと、解散前のSMAPが流れていた。
何巡したのか分からないくらい、BGMに助けられた。
とにかく、まずはごはんだ。
⸻
その日の夜は、仙台で買ったお惣菜を車内で広げた。
食べ終えたころ、夫から連絡が入る。
「終わった。今から行くわ」
その瞬間だった。
イヌが、カーテンを自分でめくって、窓の外を見始めた。
じっと、待っている。
やがて、夫の姿が見えた瞬間——
一気に弾けたように喜び出した。
三週間。
ずっと我慢していたんだと思う。
その姿を見ていたら、
こっちのほうが先に、涙が出そうになった。
よく頑張ったな、と、心から思った。
⸻
限られた時間だけど、
久しぶりに家族がそろった。
今年の宿は、去年より少しだけ近い場所。
道の駅天童温泉。
またここで、しばらく過ごすことになる。
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