とあるシニアのオッさんが推しに沼った件
定年後も同じ職場で、ごく普通に働き続けるサラリーマンの自分。
カラオケも好きだし、マンガも動画配信も見る。
それなりに楽しく、穏やかに過ごしていたはずなのに。
気づけば、日々の生活の中心に「推し」がいた。
1.始まりは、たった一つの動画から
2023年の7月、風邪をひいて会社を休んだ日。
熱は下がり、ソファに座りながら、AKBとかNiziUの曲の踊ってみた動画を流していた。
すると、お薦めに出てきた一つのサムネイルが目に留まった。
秋葉原をバックに踊るって、なんだか面白そうだ。
そんな軽い気持ちで再生してみた。
画面に映し出されたのは、静まり返った夜の秋葉原を舞台に、カラフルなチェックシャツの集団が、YOASOBIの歌詞に合わせて踊る姿だった。
何よりも目を奪われたのは、彼らの動きだ。
コンクリートの地面に素手をつき、逆さになったり、身体を回転させてみたり。
アクロバティックな動きの連続に、これまで見てきた踊ってみた動画とは、まるで違う世界を感じた。
「夜に駆ける」は、テンポの良い曲だが、その歌詞のテーマは重い。
だが、それを感じさせないほど、このダンスのダイナミックさと秋葉原の夜景が、絶妙にマッチしていた。
画面越しでも、その迫力は圧倒的で、単なるダンス動画というよりも、物語のように引き込まれる作品だったのだ。
2.深掘りが全然止まらない
ネットやSNSを調べていくうちに、この動画が、RAB(リアルアキバボーイズ)というアニソンやボカロの楽曲をブレイクダンスで表現する、アニメオタクの男性9人組だと知った。
チェックシャツは、かつてのオタクファッションの象徴。
秋葉原を拠点とする彼らには、しっくりくるスタイルだった。
そんなRABが踊るYOASOBIの「アイドル」は、サムネイルの時点でインパクトが強烈だった。
アフロヘアのメンバーがアイドル風の衣装をまとい、一瞬ギャグかと思わせる。
しかし、いざ再生してみると、ダンスはアクロバティックで、見事に歌詞を表現している。
そのギャップが実に面白かった。
トーク動画を探ると、「オイッ!」の掛け声は、YOASOBIからのオファーでRABが担当しているとわかった。
つまり、これはRABの声が直接刻まれた楽曲なのだ。
自分の中の「踊ってみた」の概念が、少しずつ崩されていく気分だった。
さらに、次に観た「ドラマツルギー」は、それまで観ていたユーモラスな作品とは一線を画していた。
黒幕の存在が漂う、悲劇的なストーリー。
黒を基調としたスーツ姿が、作品の重厚さをさらに際立たせる。
さらに、ボカロの速いテンポの楽曲でも、完璧に踊りこなすスキルの高さに驚かされた。
特に、頭で回るヘッドスピンは人間がこんなことをして大丈夫なのか心配してしまうほどだった。
しかし、それ以上に衝撃だったのは、終始シリアスな演出と、メンバー全員の狂気じみた表情。
人間離れした動きを駆使し、まるで狂気そのものを表現しているようだった。
動画を観るたびに次が気になり、かなり過去の投稿まで遡っていく。
そのうち、生で観てみたいと考えるようになり始めた。
だが、動画は気軽に楽しめても、RABファンだけが集うライブには尻込みしてしまう。
客層は若いはずだし、おっさんの自分が行って浮かないのだろうか。
そんな不安がいっぱいで、なかなか踏み出せずにいた。
3.初めての生RAB、いざ、お台場へ
そんな中、SNSのタイムラインに飛び込んできたのは、電車で20分ほどの、お台場での夏休みイベントの情報だ。
なんと、RABがゲスト出演するという。
入場料はかかるが、実物を見られる。
しかも大規模な催しの中で、数曲だけ踊るゲスト出演なら、他のファンも多いし、自分が浮くこともなさそうだ。
そう考えたら、もう迷う理由はなかった。
これは、行くしかない。
イベント当日、空はどんよりと曇っていた。
後方の立ち見エリアで待っていると、次第に雨が降ってきた。
傘もさせず、立ちっぱなしのままの90分。
それでも、気持ちは昂ったままだった。
動画でしか見たことのないRABを、この目で見ることができるのだから。
アニソン歌手の公演へのゲスト出演だけあって、観客の男女比は半々くらいだったが、自分よりも2世代くらい若い感じだ。
場違いな気もしたが、いまさら気にしても仕方がない。
そして、ようやくステージにRABが登場した。
動画で見慣れた彼らが、今、目の前にいる。
遠くからしか見えなかったし、出演時間はわずか10分ほどだったが、やり直しのきかない生のパフォーマンスにドキドキした。
イベントが終わり、一人で会場を後にしながら考えていた。
せっかくなら、もっと近くで観たい。
録画ではない、生のやりとりを感じたい。
この日を境に、この想いは、さらに強まっていった。
4.ライブ会場に初潜入した日
SNSで、10月開催のRABの15-16周年ライブが発表された。
もっと近くで、録画ではない彼らの姿を観たいという気持ちが強くなっていた自分にとって、このライブは絶好の機会だった。
しかも、「過保護席」という特典付きのチケットが用意されている。
通常のチケットよりも高額だが、ミニトークショーと送り出しの挨拶が付いているという。
録画ではないトークが聴けるチャンスを逃したくなかった。
初めてのライブ参加としては贅沢すぎるかもしれないが、迷わず申し込んだ。
そして、結果は当選。
部屋で思わずガッツポーズをしたことを覚えている。
ライブ当日、ミニトークショーに参加するため、開演の4時間前に会場へ向かった。
待機場所に行くと、周囲を見渡す限り、色とりどりの女性ファンの姿ばかり。
RABはオタク×ブレイクダンスという男性好みのユニークな組み合わせだ。
だから、ライブにも男性ファンも結構いるはずだと思っていたが、甘かった。
落ち着かなくて、しばらくは周囲をウロウロしていたが、少し離れた場所を見つけ、じっと一人で待っていた。
そしてライブ前のミニトークショーの時間になり、列に並んで会場に入り、座席を確認すると、驚くことに最前列のセンター近くだった。
この時に何を見聞きしたかは、正直覚えていない。
ただ、ステージと最前列までの距離は、3メートルほど。
RABのメンバーの表情がはっきりと見え、画面越しに観ていた彼らのやり取りが、今ここでリアルに繰り広げられていることに感動した。
またライブも同じ座席ということを聞き、期待は一気に膨らんだ。
しかし一方で、ライブの作法を知らないことと、あまりにも良い座席からくるプレッシャーを感じ始める。
周囲の様子から、ペンライトが必須だと知り、会場でこっそり手に入れた。
メンバーの中では、ヘッドスピンの凄さとトークの時の落差が大きいムラトミさんと、RABメンバーでありながら所属会社の社長でもある、けいたんさんに、特に興味があった。
そこで、ペンライトの発色は、それぞれの担当色である黄と紫にした。
そして、本編のライブが始まる。
かかる曲は配信で観てきたものと同じだったが、目の前で繰り広げられるパフォーマンスは、ライブならではの演出が加わり、映像とはまるで違っていた。
特に、ムラトミさんのヘッドスピン。
至近距離で観たのは、もちろん、これが初めてだった。
回転の速さと軸のブレなさに、息を呑む。
動画では何度も見てきたが、失敗が許されないライブは、緊張感がまるで違う。
執念のようなエネルギーが、ステージ上から直接伝わってくるようだった。
曲に合わせてコールを入れるのも楽しい。
隣席の人とも少し会話ができ、ライブの興奮を共有できたのも嬉しかった。
年齢も性別も関係なく、推しを同じくする人たちとの間に生まれる一体感。
こんな感覚を味わったのは、これが初めてだった。
公演が終わり、送り出しの挨拶を終えて会場を出ると、一気に静けさが戻った。
高揚感はまだ冷めていない。
しかし、熱気に包まれた空間から離れ、一人で駅へ向かう帰り道は、妙に寂しかった。
5.「ありがとう」の推しパワー
ムラトミさんは、RABメンバーの中でも気になる存在だった。
ライブで観た彼のヘッドスピンの凄さ、トークショーでの独特のリアクション。
そのギャップに惹かれつつも、どこまでがキャラで、どこまでが素なのかよくわからない。
その掴みどころのない印象に、ますます興味を持った。
そんな中、彼がポーカーの個人イベントを、自宅から徒歩圏内で、翌年1月に開催するという情報を目にした。
ポーカー自体には以前から興味があった。
ルールも調べ、アプリで遊んでいたこともある。
動画の中の人と直接交流できる機会なんて限られている。
このイベントなら、もしかすると話せるかもしれない、と期待は膨らんだ。
ただ、ひとつ懸念があった。
ライブでの経験から、RABのイベントには圧倒的に女性ファンが多いことは分かっていた。
ポーカーイベントも例外ではないはずだ。
そうなると、自分は、そのままでは、イベントに紛れ込んだ単にポーカー好きの男性として見られる懸念がある。
何か、「ムラトミさんを始めRABのファン」としての参加を示す方法はないか。
考えた末に、ムラトミさんがライブで着用の黄色の公式チェックシャツを購入し、着て行くことにした。
会場へ着くと、予想は的中していた。
ポーカー店の中のほぼ全員が女性。
自分以外の男性は、スタッフとゲストのみだった。
もちろんムラトミさんの姿も見えたが、緊張して近づけない。
周囲のムラクラ(ムラトミさんのファン名称)の方々に、チェックシャツを着てきた意図などを話しながら、少しずつ場に馴染んでいった。
そして、ついに直接話せるタイミングが訪れた。
緊張しながら近づくと、ムラトミさんの目が自分の服に向いた。
そして、次の瞬間、満面の笑みで「ありがとう!」と言いながら、両手をガシッと握ってきた。
驚いた。
有名人に、まさか感謝される事態が起こるとは全く予想していなかったのだ。
RABのファンである自分が居るだけで「ありがとう」と伝えるのは当然のこと。
しかし、彼の方から直接接触してくれて、しかも感謝の言葉を受けるとは思ってもいなかった。
RABの中で気になっている人が、最推しという存在へと変わった瞬間だった。
6.語れる仲間ができた夜
2月、Zepp新宿で開催されたRABのダンスライブは、生演奏と生歌に合わせた公演で、初めて経験する形だった。
そして、自分の席を確認すると、驚くことに、またしても最前列のセンター近く。
幸運に感謝しながら観たライブは、とにかく圧巻の一言。
生の音圧が全身を包み込み、迫力のダンスに声を枯らして、ペンライトが振り過ぎで変色するくらい応援した。
さらに、このライブでは、もう一つ、思いがけない出会いがあった。
それは、自分以外にも、過保護席で男性の保護者(RABのファン名称)がいて、話す機会を得たことだった。
少数派ではあるが、自分と同じように推し活を楽しんでいる男性がいる。
それを知ったことで、心が軽くなった。
そして、4月に転機が訪れる。
TDC(東京ドームシティ)でのRABのライブ。
ここでも、自分は過保護席を確保し、再び最前列のセンター近くという驚異的な席を手にしていた。
連続で前方の席を引き当てた嬉しさはひとしおだった。
だが同時に、「もしかして人生の運をすべて使い果たしたのでは?」という不安もよぎった。
しかし、自分の幸運は、それだけに留まらなかった。
開演前に、10月のライブで隣の席だった保護者の方と再会したのだ。
そして、彼女は何気ない口調で「ライブの後、保護者仲間と打ち上げに行きませんか?」と誘ってくれた。
嬉しかった。
これまで、ライブが終われば、当たり前のように一人で帰っていたから。
しかし、その日はライブ後、初めて、大勢の推し活仲間と語り合う機会を得たのだった。
飲み会では、RABの魅力について存分に語り合い、それぞれの推しメンのポイントを熱く語る時間が流れる。
誰もが共通の「RAB推し」という軸を持ち、その話題で尽きることがなかった。
その流れで、Salt Communication(ソルコミ)のライブにも誘われた。
このグループは、RABのドラゴンさん、ムラトミさん、DJとのさんの3人からなるラップユニットだ。
推しが、ダンスではなく、歌う。
以前、配信で観た感じでは、RABライブよりも、さらにコアな若い女性ファンが多そうな印象があり、現地に行く勇気がなかなか持てなかったのだ。
しかし、推し活仲間の強い後押しもあり、思い切って参加してみた。
実際に行ってみると、ソルコ民(ソルコミのファン名称)の雰囲気は温かく、拍子抜けするほど居心地が良かった。
初参加以後、彼らの出演機会があるたびに、現地観覧しているほどだ。
そう、本当の推し活は、推しを共有できる仲間を得ることから始まるのだと、今なら胸を張って言える。
7.推しに名前を呼ばれる悦び
推し活をしていると、推しの存在が、どんどん近くなるような錯覚に陥ることがある。
しかし、それはあくまで、推している側の感覚であって、向こうからすれば、自分は数多くいるファンの一人に過ぎない。
それでも、「推しに自分の名前を呼ばれる」という瞬間は、何ものにも代えがたい特別な体験だ。
ただ、普通の推し活なら、そのような機会は多くないはずだ。
ところが、ムラトミさんは、ライブ以外のイベントへの出演機会が多い。
Salt Communicationの物販(ツーショット撮影)、個人イベント、RABオタクラジオへの投稿など、名前を呼んでもらえる可能性のある場が数多くあったのだ。
推しは、姿を観たり声を聴いたり出来るだけでも十分楽しい。
しかし、推しに自分の名前を呼ばれるという体験は、推しとの距離が近づいていくという感覚を生む。
それが、一度味わうとクセになるほど嬉しい瞬間なのだ。
特にRABのオタクラジオへの投稿は、自分の名前を推しの口から聞くための、地味だが頑張りが効く手段だった。
この放送は毎週3人のメンバーが出演する形式で、ムラトミさんが登場する回は半年間で10回あった。
そのうち、投稿が読まれたのは5回。
工夫を凝らし、答えやすい質問や時事ネタを盛り込んだことで、思った以上に採用されたのだろう。
投稿を読まれると、推しが自分の存在を一瞬でも意識してくれた気がする。
そのわずか数秒の出来事が、嬉しくてたまらず、収録の配信を何度も繰り返し観て聴いてしまう。
そして、自分の中で最も忘れがたいイベントが、「RABの夏休み」だった。
これには、BINGO大会で推しから直接プレゼントを受け取れる企画があった。
会場の熱気が最高潮に達する中、運よく早めにビンゴを達成し、ステージに上がることになったのだ。
名乗ってプレゼントを受け取る。
ただ、それだけのことなのに、推しをはじめとするRABメンバーを前にすると、緊張で心拍数が一気に跳ね上がる。
自分の名前を伝え、プレゼントは「ムラトミさんで」とお願いした。
そして、本人から手渡されたのは、トリスの酒瓶だった。
酒好きの彼らしいプレゼントだった。
渡される時、「お酒、飲めるの?マイマイさん」と尋ねられ、反射的に「飲めますよ」と笑顔で応えた。
ただ、内心では「いや、そんなに強くないんだけどな…」と若干の虚勢を張ったことを覚えている。
後日、保護者仲間と開封し、楽しく味わった。
空になったサイン入りの酒瓶は、いつか作る推し活コーナーのために大事に保管してある。
自分は、ライブやイベントでは少数派の男性保護者だから、目立ちやすいのは確かだ。
しかし、推しにとって、イベントでは1日に何十人、時には百人近くもの人と接することもある。
ファン全員の名を覚えるのは、どんなに意識していても簡単なことではない。
それでも、名前を伝え続けるうちに、次第に推しが自分を認識してくれる。
その実感が嬉しくて、つい名乗る機会が増えてしまう。
ただ一方的に推すだけではなく、推しとの距離を少しでも縮められるチャンスがあること。
それこそが、ファンとの交流を大切にするRABならではの魅力なのだ。
8.カンタンじゃなかったけど、不可能じゃなかったよ
推し活を始めてから一年と少しで、これほどまでに、歴史的瞬間に立ち会えることになるとは。
2024年10月、RABが夢として掲げていた武道館公演がついに実現したのだ。
この日を迎えるまで、彼らがどれほどの時間をかけてきたのかを改めて振り返ると、その重みがより一層感じられた。
過去の動画を見返すと、彼らが武道館を目標として宣言した当時、目の前にいたファンは200人ほど。
それが、8年の時を経て、ついに満員の武道館へと繋がったのだから感慨深い。
この公演には、過保護席の特典として、開演前にメインステージからセンターステージまで歩く機会があった。
滅多にない経験だけに、ステージの上から客席をじっくり見渡すと、武道館の圧倒的な大きさが実感できた。
そして、ここからは、客席が意外なほどよく見えることに気づいた。
ステージから見える景色の中に、何度も自分がいたことを思うと、不思議な縁を感じた。
そしてライブが始まった。
もちろん全編、生演奏・生歌でのダンスパフォーマンス。
これまで観てきた動画で馴染みのある楽曲が、武道館の空間に響き渡る。
その音圧と熱気、そしてステージ上で全力を尽くすRABのメンバーたち。
後半、センターステージに集まったのは、最初に武道館を夢見たRABのオリジナルメンバーの5人。
その一人であるムラトミさんは、メンバーの方を向いた瞬間、溢れる涙を止められなくなった。
ここに至るまで、どれだけの困難があったのか。
どれほどのプレッシャーに耐え、どんな思いでステージに立っていたのか。
そのすべての想いが、あふれ出る涙に込められていた。
優しく抱き寄せるマロンさん、笑いながら腕を叩くけいたんさん、目を潤ませつつもそっと背に手を添える涼宮あつきさん、驚きながらも進行を崩さないよう努めるドラゴンさん。
推したちのその様子が、たまらなく愛おしかった。
ああ、ムラトミさんがRABの仲間と共にブレイクダンスをする姿が輝いて見えるのは、この「絆」があるからこそなのだな。
その瞬間、胸にこみ上げるものがあった。
気づけば、自分の目にも涙が滲んでいた。
ライブの終盤、メンバーの涼宮あつきさんが放った曲紹介に、ひときわ響いた言葉があった。
「ここまで来るのは、カンタンじゃなかったけど、不可能じゃなかったよ。」
それは、RABの踊ってみたの原点ともいえる曲を紹介する言葉であり、その歌詞をもじった一節でもあった。
しかし、それ以上に、このグループの歩みそのものを象徴しているように思えた。
8年の歳月をかけて、夢だった武道館のステージに立つ。
その言葉には、積み重ねてきた努力や仲間との絆、そして諦めなかった想いが詰まっていた。
RABを推したこと、この瞬間に現場で立ち会えたことに感謝。
きっと、ずっと、忘れない。
9.まだ見ぬ推し沼の未来へ
武道館の後も、推し活は続いている。
ムラトミさんのオンラインでのブレイクダンスレッスンを悪戦苦闘しながら受講し始め、少し迷いながらも、バレンタインイベントにも足を運んだ。
他のRABメンバーのトーク公演も大いに笑い楽しんだ。
ニコニコ超会議や肉フェスなど、まだ未経験のイベントも多い。
少しずつだが、ラップイベントやタットなど他ジャンルのダンスにも興味を持ち始めている。
推しに会うために始めたリアルでのポーカーも、大きな大会に出場するまでになっていた。
そして、RABのことを書くために始めたnoteも、次第にそれ以外のことも綴る場所になりつつある。
いつのまにか、推し活が自分の日常の一部になっていたのだ。
以前の自分は、何に夢中になり、どんな風に時間を使っていたのだろう。
思い出そうとしても、うまく思い出せない。
始まりは一年半前から?
いや、もっと前から始まっていた気さえする。
そう思えるほど、今の自分は推し活に染まっているのだった。
いつか、おっさんである自分の気力や行動力が落ちる時がくる。
それは、年齢を重ねるにつれて環境や身体が変化していく以上、避けられないことなのかもしれない。
それでも、推し活ができる限り、自分は大丈夫だと信じている。
推しと触れ合い、素敵な仲間たちと共に応援し続ける日々が、きっと、これからの自分を支えてくれる。
そして、自分の存在が、ほんの少しでも、推しのチカラになれたなら。
この先に、どんな推し活が待っているのかは、誰にもわからない。
だけど、それがまた、たまらなくワクワクする。
沼の底なんて、まだまだ見えない。
これからも、心を燃やして、もっと遠くへ、深くへ。
