インフルエンサーでアーティストで真の表現者(表現者たるものこうでなくては)
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眼の前にそびえ立つ巨塔のタスクをどう処理したらいいのか。モヤモヤとした掴めない雲のような思考が頭の大部分を占め、休憩時間になってから氣分転換でもするかと、「髭の店主の店にパスタ食べに行かない?」と太朗ちゃんを誘う
「いや、おむすびあるんで」と一度は断られたものの、「冷蔵庫に入れて置いて、夜にでも食べたら?ランチおごるよ」そう伝えると、おごってもらえるのなら行きますと言いながらのこのこと着いてきた。現金な奴だ。
「髭の店主おすすめ本日のパスタランチ(サラダ+コーヒー付)」を頬張りながら、鞄から今朝の新聞を取り出し口いっぱいにパスタを詰め込んだ太朗ちゃんの前に置く
段階的ではあるが停戦となったことを伝えると、パレスチナのことや世界情勢をいち早くストーリーに上げてくれる日本画家でもありインフルエンサーの川野さんの投稿で知ったという(しかも就業中に!)
「やったー!って思わず心の中で叫んじゃいましたよ。これで、ちょっとはマシになりますね。あー、ほんと安心した。これ、停戦のお祝いのランチですよね?」
と呑氣に太朗ちゃんが言うので、
「確かに、停戦で空爆の心配は無くなったかもしれないけれどさ、停戦合意って言ったところで、方やアメリカがバックに付いて核もチラつかせながら武力においては最強で、対抗するは10.7の奇襲攻撃のみでテロリスト扱い。イスラエル建国から約80年もの間、不条理かつ理不尽な目にあわされ続けながら世界のツケを払わされているんだからたまったもんじゃないわよ。
で、ここにきて、イスラエルと結託してパレスチナを散々破壊してきた張本人のアメリカが鶴の一声よろしく「停戦合意」ってあまりにも一方的すぎて腑に落ちないし、この停戦は、トランプがノーベル平和賞を視野に入れてのことだとして、仮にトランプがノーベル平和賞受賞となれば、昨年、平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会に申し訳がないわよ。
だから、これはお祝いのランチでもなんでもないの。イスラエルはこれまでに何回も停戦違反をしてきたのだから、油断禁物なのよ」
そうまくし立てながらそう一氣に喋ってしまうと、今朝からのモヤモヤが少し晴れてきたように思う。おいしいものを食べながらお喋りをしているおかげで、考えがまとまっていなくても誰かと話すことで、鬱屈とした霧が晴れ視界がクリアになってきたのも事実だ。モヤモヤは吐き出すに限る。
そこで、ここ最近感じていたモヤモヤを太朗ちゃんにぶつけてみることにした
「イスラエル解体が必要だって以前にも話したけどさ、イスラエルのことを知れば知るほど、それしか答えはないんじゃないかって強く思うようになってきているんだよね。じゃあ、今パレスチナにいるイスラエル人をどうしたらいいのかってなった時に、全員が植民地主義の上に成り立つシオニストというわけではないからシオニスト以外は省いて、全シオニストを対象に世界各地で難民となるしかないのかなって思うのよね。
イスラエル解体というよりは、シオニスト解体って言った方がいいのかもしれない。もっと言ったら、世界にはびこる植民地主義解体って言った方がいいのかもしれないけど。
そもそもの原因をつくりだしたイギリスやアメリカ、もちろん日本にも責任があるわけだし、これまでパレスチナに背負わせて続けてきた「負」の贖罪をするためにも、全世界でシオニスト難民の受け入れをしつつ、シオニスト思想を育まない教育をあわせてするしか解決策はないように思えてきたのよ。
この停戦だって、いつまで続くかわからないし、二国家解決だって、国際社会の欺瞞でしかないけど、虐殺を止めるためだったり(今はたとえ停戦となっていても又いつ再開されるかわからない)、イスラエルによる不当で暴力的な占領と入植を止めさせるための応急処置でしかないことは確かだし、そもそも、最重要課題である「パレスチナが主権も持った」解決なくしては、なにをしたとこで元の木阿弥でしかないの。
だからこその、「国家承認」が必須なのよ。そして、今の日本政府からできる唯一の外交的手段が、国家承認なんだよ。賛否はあれ、ね。
あのポケットティッシュはそういう意味でも、もっともっと多く人に広げたいよね」
喋り続け、乾いた喉を食後のコーヒーで潤す。
「意味がないことなんてないと思う、どんなかたちであれ行動をすることは」太朗ちゃんの返事を聴きながら、太朗ちゃんが停戦の速報を得たインフルエンサーの川野さんについて想いを馳せている。一様に口をつぐんでしまっている日本の表現者たち。でも、そもそも、アートやミュージックの世界って政府や権力に抗うための表現手段であるはずなのに、だんまりを決めこんじゃって情けない。そこにきて川野さんのような数少ない声を上げる表現者が輝きを増しちゃうわよね。それから、アーティストやミュージシャンに関係なく、誰しもが表現者なのよ、そうよ、とひとりごちながらふと腕時計を見ると修業開始5分前となっており、慌ててコーヒーを飲み干し、2人で店を飛び出し職場に戻る。
朝から、コーヒーをゆっくりと味わうこともできずに、走ってばっかりだなと思いながら職場までの道のりを駆け抜けた。ふと、金木犀の香りが鼻腔をくすぐり、秋の風が疾走していった。
つづく・・・
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ー彼らは、表現することさえ許されなかったのかー
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