「グレート・スクープ(Netflix映画)」ーー日本人が知るべきエプスタイン事件の影響
「グレート・スクープ」は、イギリスのアンドルー王子へのインタビューを実現させ議論を巻き起こしたBBCの報道番組「ニュースナイト」の裏側を描く、実話に基づいた作品。
ジリアン・アンダーソン、キーリー・ホーズ、ビリー・パイパー、ルーファス・シーウェル出演。権力の責任を問う報道の内幕を描く。
事実をより深く見つめるための“フィクション”
本作は事実に基づく「フィクション」ということで、誰もが知るニュースの裏側をストーリー仕立てで知ることができるのが良い点だと思った。
ただ「裏側にはこんなことがあったんだ」という以上に、映画としての感動や見どころが少ないように感じた。
もちろん、内容が内容だけにフィクションとはいえ過度な脚色はしづらいだろうし、エンターテイメント要素は抑えめなのは仕方ない。
それならノンフィクションでまとめたら良いのでは、とも思ったが、個々人のインタビューやニュース動画のつぎはぎでは物足りない気もする。
ということで本作は、フィクションを通して事実を再認識するための映画と思ったら良いのではないか。
そういう意味では、実際のBBCの映像やエプスタイン事件を追うニュースや記事、アンドルー王子のその後を追った報道などをあわせて見るとより楽しめる。
▼原作者や俳優のインタビューなど
映画界の新潮流「世紀のスクープの裏側」
映画として目新しさがないと感じたのは、直近で「世紀のスクープの裏側」を描いた映画が立て続けに公開されていたのも理由のひとつだろう。
「スポットライト 世紀のスクープ」「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」「スキャンダル」「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」など、思いつくだけでもいくつもの作品がこの4-5年の間に公開されている。
どれも社会的な意識の変化やムーブメントの起こしやすさ、SNSの発展などによって、これまでタブーとされてきたことがタブーでいられなくなっているのが背景にあるように思える。
その点、本作は主人公と事件の関連性や思い入れがその他の作品に比べて薄いのが迫力に欠ける一因かもしれない。
BBC局内の人員削減という現実に直面しながらも、記者の意地を見せたという点では思い入れがあるのだろうけれど。
アンドルー王子役の俳優ルーファス・シーウェルにびっくり
アンドルー王子役には、俳優のルーファス・シーウェルが特殊メイクをして臨んだそう。
映画の冒頭、(ルーファス・シーウェルに)目元が似ているけれど太っているし違う人かなと思ったら特殊メイクだったんですね。
劇中で裸の後ろ姿が映るシーンがあるが、あれも特殊メイクだったんだろうか?
ルーファス・シーウェルは「ザ ディプロマット」や「カレイドスコープ」「オールド」など面白い作品の主要キャラクターを演じることが多く、とても気になる俳優さん。
地位も名誉もあり高慢かつ冷酷な男性がハマり役だ。
今回も、いかにも国民から嫌悪されそうな感じをちょっとした態度や口ぶり、表情などで演じていた。
特殊メイクだと気付いてからは口元が動かしにくそうに見えたけれど。
日本ではエプスタイン事件に関する報道が少ない
イギリス王室を揺るがし全世界が注目したアンドルー王子のインタビューと、翌日に発表された公務からの引退について、どれだけの日本人が注目しているか気になった。
というのも周囲で「エプスタイン事件」を知っている人の少なさに驚くことがよくあるからだ。
エプスタイン事件は根が深く影響が大きいにも関わらず、日本での報道が少ないように思う。
日本ももちろん無関係ではない。
2021年にデジタル庁の事務方トップの「デジタル監」として伊藤穣一氏の起用が検討されていた。
しかしエプスタインからの資金提供をめぐり、MITメディアラボ所長を辞任した経緯が問題視され、起用は見送りとなった。
本作が日本でもたくさんの人に見られ、エプスタイン事件についてより広く知られるようになると良いと思う。
