野生動物の痕跡からクレパス画を描く旅|水無沢 ③色塗り編
先週日曜日の夕方、水田が並ぶ道をランニングした。
どの水田にも水が張られていて、あとは田植えを待つばかりの状態だ。
水面が夕焼けの空を映していて美しい。
そんな水田を走りながら周りの風景を眺めていると、遠方に、風景に溶け込むことができない2羽の大きな鳥が目に入ってきた。
2羽は、水田の中で底を嘴でつつきながらゆっくり歩いていた。
瞬間的にコウノトリだと思った。
兵庫県豊岡市で放鳥が始まってから、個体数を増やしながら分散が続いている話は聞いていたが、まさか自分の町で見ることができるとは思わなかった。
明らかにコウノトリなのに、信じられなかったこと、誰かに伝えたい気持ちが相まって、いつものランニングコースを外れて、その近くに住む鳥類に詳しい知人宅に駆け込んだ。
「やぁ、菅原さんじゃん。ひさしぶりぃ、どうしたの?」
「コウノトリがいましたよ」
「へぇ、どこに?」
「すぐそこです」
ではそこに行ってみようという話になり、車を出してくれるという。
彼は冷静に見えたが、車の鍵を忘れて車に乗ろうとしていたところをみると、やはり興奮していたのだと思う。
車に同乗させてもらって、先ほどの場所に向かった。
「あぁ、本当だ。コウノトリだねぇ」
そう言いながら、カメラを取り出しシャッターを切り出した。
私には双眼鏡を貸してくれた。
私は少し満足しながら、彼からいろいろな話を聞いた。
おそらく兄弟だと思われること、今生息しているコウノトリにはすべて足輪が着いていること、この町では2年前にも飛来していたことなど。
夕日に照らされる田園風景と、その風景に溶け込めないコウノトリと、知人からの鳥の話を聞くこの時間は、なんて贅沢なのだろう。
コウノトリはかつて、この場所にも普通に見られていたのかもしれない。
少しタイムスリップしてかつての田園を見ているような感覚になる。
この再導入という保全対策には、いろいろな意見がある。
私自身、この再導入は今でも慎重にした方が良いと思っている。一方で、ファウンダー(再導入個体群の元となった個体)から全国に分散するまで個体数を増やすために、ひとつの信念のもと、かなりの苦労を重ねてきた方々がいる。その努力が、今まさに報われつつあることには、心から敬意を抱く。私利私欲を越えた情熱は、やはり賞賛されるべきだと思う。
日本の自然を守りたいという思いは同じでも、手法や考え方が異なることは多い。
科学者や専門家がいうことが、すべて正しい訳でもないし、明るい未来を約束してくれるものでもない。
ただ言えることは、今あるこの自然を可能な限り未来に残していくことは、もっとも根幹的で重要なことだと思う。
時代時代で正しいことは変わっていくが、先人から受け継いだこの自然を、できる限り損なわずに未来へ残そうとする姿勢そのものが、最も重要なのだと思う。
かつて日本の空から姿を消したコウノトリたちは、そのことを私たちに問いかけ続けている。
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今週はクレパスで色を塗った。
手先が不器用なうえに、クレパスは太いので細部の色塗りがもどかしい。
角の部分を間違って青で塗ってしまった。

