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野生動物の痕跡からクレパス画を描く旅|水無沢 ②下絵編

今週は、クマタカ(猛禽類)の調査をした。
私がついた定点(調査ポイント)は、初めての場所だったため、感覚を掴むのに時間を要した。

ただ、最初はなんの変哲もない山々の風景も、クマタカやその他の動物を観察することで、自分だけの鮮やかで立体的な絵地図ができあがるように感じる。

今週の調査でも、山の斜面を双眼鏡で探していると枯れ木に何かがいることに気付いた。
数分前に見たときには何もなかった枯れ木に何かいる。
倍率の高い単眼鏡(フィールドスコープ)で見直すと、それはクマタカだった。
悠々と立つ雌のクマタカは、巣の方を注視し、やがてその方向に飛び去った。
それまで目立たなかった枯れ木は、クマタカが飛び去ったあとも、急に私にとって「クマタカが止まった枯れ木」という特別な存在になった。
同じように、クマタカが入り込んだギャップ空間、アカショウビンの声を聞いた林、ノスリが餌を運んだ谷など、見える範囲の山々に特別な場所ができてくる。

ただの風景だった場所に、少しずつ生きものの気配が染み込んでいく。
こうして、最初は均一に見えていた山並みが、それぞれ事実と思い出と印象とが刻まれていく。
地図や報告書には載らない、調査者だけの風景となる。

***

今週は、下絵を描いた。
来週からは色を塗っていく。

紙本 鉛筆 379mm×540mm

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