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ダチョウ観察記録㉓説明が下手な飼育員

我が家にはダチョウがいる。

57歳のオスである。


令和6年、ダチョウが会社を辞めた。

子供6歳にして、子供が生まれてから6度目の転職先を、である。

しかも、たった2ヶ月の在籍期間で、かなり妙な辞め方をした。

その会社、退職時に年末調整の書類を提出していたにもかかわらず、年調されていなかった。

こちらが確認して指摘すると、後日「年調済み」の源泉徴収票が送られてきて、還付金まで振り込まれた。

「ああ、訂正されたのか」

そう思っていた。


しかし、令和7年6月。

市県民税の通知書を見た私は、目を点にした。

記載されている内容が、年調前の数字のままだったのである。

つまり、個人には「訂正済み」の顔をしながら、自治体への訂正はしていない可能性が高い。

おい。


どういう処理をしているんだ。


さらに確認していくと、iDeCoの控除証明書を提出していたにもかかわらず、その内容が源泉徴収票に反映されていなかった。

もう、めちゃくちゃである。

結局、確定申告をするしかなくなった。


制度を調べ、数字を確認し、書類を整理し、必要事項を書き込み、ようやく提出できる段階まで持っていった。

FP2級は持っているが、普段そういう仕事をしているわけではない。

正直、かなり大変だった。

税金関係の書類というのは、1つ狂うと全部が分からなくなる。


当事者のダチョウは、「人には得手不得手というものがあるんですよ」などと言い、自分には関係ないという顔をしている。

いや、お前の書類なんだが。

しかも、お前がそんな会社に足を突っ込まなければ、そもそもこちらがこんなことに巻き込まれることはなかったはずなのだ。

最終的に私は、とある日曜日、ダチョウに税務署の休日夜間受付ポストに提出させることにした。


税務署の場所をLINEで送り、地図もつけた。


「ここに封筒を入れるだけだから」


私は、ほぼ小学生の校外学習レベルで説明した。


すると、説明を終えた瞬間。


ダチョウが、小さな声で言った。声にもならないような吐息の言葉で。


「説明が下手くそ」


……は?


誰のせいで、こちらがここまで復旧作業をしていると思っているのだ。


説明が必要なのは、

税務署までの行き方ではない。

お前の人生のほうである。


ーーー後日談ーーーーー

書類提出から2カ月弱が経った頃、
住民税の訂正通知が郵送されてきた。

還付額は、170,300円。
私のパート1か月分ほどの給料である。

飼育員が何か月もかけて回収した成果としては、悪くない金額であった。



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