H8年生まれの私が見てきた「嵐」

昨年、嵐が2026年5月31日でグループ活動を終了すると知った。

私は嵐の大ファンではない。
それでも私自身の人生を振り返ると、その時々で嵐が確かに存在していたように思う。
もちろん、テレビや雑誌とかの中での話だが。

私が小学生だった2008年頃から、2020年に嵐が活動休止するまで、テレビや雑誌などのメジャーなエンタメの中心には常に嵐が存在していた。

テレビをつければ、嵐のメンバーの誰かしらは見かけるし、本屋の雑誌コーナーを通れば誰かが必ず表紙になっていた。
熱心なファンではなくても、なんなら全く興味がない人でも、嵐の曲を1、2曲は知っている可能性は高いと思うし、日本の男性アイドルのトップだという認識は、多くの人の中で共通していると思う。
私もその一人だ。

嵐のCDを買ったことがない、ファンクラブに入ってもいない、ライブに行ったこともない。
そんな私でも「活動終了」という知らせを見た時は、「もう見れないのか」と寂しさを感じたし、「こんなに長く活動するなんて凄いなあ」と尊敬の念を覚えた。

以下、H8年生まれが振り返る「嵐」の思い出を記していく。


2008年 小学6年の秋、毎日学校で流れた「One Love」

小学生の時、学校内で嵐が爆発的人気者になったのは「花より男子2(リターンズ)」が放送された後ぐらいからだった。
2007年から2008年ぐらい、ちょうど小学5、6年ぐらいの時に、クラスの一部の女子は、すごい勢いで嵐にのめり込んでいた。「誰が好きなのか」「昨日のドラマ観たか」といった話題で盛り上がる女子を毎日見かけた。
熱烈なファンじゃなくても「誰が好きか」ぐらいの会話には、誰でも入れたし、女子だけじゃなく男子でもすんなり嵐関係の会話に参加できた。

私の家は、小学生は21時には寝ないといけないタイプの家だったので、21時以降に放送される面白そうなテレビ番組を観ることは出来なかった。
もちろん「花より男子」のことも全く知らなかった。
それでも、教室で「花男、花男」と繰り返し発せられるワードを聞き、家に帰ってから、新聞のテレビ欄を確認してドラマの存在を知った。ドラマの内容は、新聞のテレビ欄から得られる最小限の情報からしか得られなかったが、どうやら学校の中の恋愛の話なのだろうと推測することは出来た。

そんな嵐の情報弱者の私ですら、当時の記憶に深く刻まれた曲がある。「One Love」だ。
この曲は、2008年公開の「花より男子F(ファイナル)」の主題歌でもある。もちろん映画を観てはいない。

2008年、私が小学6年生の秋の運動会で、低学年か中学年のダンス曲として「One Love」が採用された。故に、毎日毎日、グラウンド全体に響き渡る大音量の「One Love」が聞こえてくる教室で授業を受けていた。

教室で「100年先も愛を誓うよ」というサビの歌詞を聴くたびに色々と想像を膨らませていた。
100年先まで続く愛のことを誓っているのか、100年後も今と同じように愛を誓うという意味なのか。
100年後であれば、すごく長生きしないといけない。この問いは、映画を観れば正解が分かるのだろうか。映画とリンクした歌詞なのだろうか。
とどうでもいいことを想像していた。

ゆっくりとした曲調と、メロディアスな旋律は、当時の記憶と共に深く刻まれ私にとって初めての嵐の思い出となった。
今でもOne Loveを聴くと、小6の時を思い出す。
映画はまだ観れていない。


2008年 小学6年生 truthのかっこよさを知る

「One Love」は思い出の曲ではあるが、好きかと言うと、そんなに熱心に聴きたくなるほど好きではないのが正直なところだ。

私にとって始めて好きになった嵐の曲は「truth」である。

「One Love」の次に発売されたシングルであり、大野智主演のドラマ「魔王」の主題歌だった。
もちろん「魔王」は観ていない。

魔王は金曜の22時から放送のドラマで、小学生からするとちょっとだけ遅い時間帯なのと、放送日の次の日が土曜なのもあり、そこまでクラスの話題にはなっていなかった。
新聞のテレビ欄から得る情報的にも、なんか難しそうな話だった記憶があり、内容的にも話題になりづらかったのかなと思う。
むしろ両A面の片方である「風の向こうへ」の方が、日テレの北京オリンピックのイメージソングということもあり、聴くタイミングが多かったとも思う。

「truth」を聴いたきっかけは、地元のテレビチャンネルだった。そのチャンネルは、地域のイベント情報や説明会の情報などを常時放送していた。そのバックミュージックとして、地元のCDショップのシングルの売り上げのトップ10の曲を繰り返し流されていたのだ。

2008年、小6の夏休みの平日の午前中。
全く面白くない番組ばかりのテレビをひたすらザッピングしている時に、その地元系チャンネルから、一瞬聞こえてきたのが「truth」だった。
え、嵐の曲、めっちゃかっこいいじゃん!と興奮し、一瞬だけ聞こえたtruthに一瞬で心を奪われた。

マイナー調で、哀愁と悲しみが混ざったような世界観に引き込まれた。

嵐の曲と言えば「Love so sweat」とか「One Love」といった明るくポップで、ラヴソングとかが多い印象があった。それと比較して「truth」は、暗く、陰なイメージを持った曲だったので、こういう曲もあるのかと驚いた。

その数年後、中学生の頃、嵐のベストアルバム「5×10」をCDレンタルした時も、「truth」は特に繰り返し聴いたのを覚えている。

結局「魔王」はどんなドラマだったのだろう。
今でも気になるが、結局観れてはいない、機会があればいつか観て、truthの歌詞の理解を深めるのも面白いかも。


2009年 聴いたことある曲ばかりだったベストアルバム「5×10」

2009年、中学1年生になった年に、嵐のベストアルバム「5×10」は発売された。

自分が子供のころは、田舎にもまだCDショップが存在した。店の一番目立つ棚にずらーっと何枚もの「5×10」が並んでいたのを覚えている。レンタルショップでも、何枚も大量に入荷され、ほとんど「レンタル中」になっていたと思う。

当時は、このベスト欲しいとかは特に思っていなかった。ただ話題の一つとして、ベストが出たんだなという認識だった。
それから2年後ぐらいにCDをレンタルして「5×10」を聴いた。その時が初めて嵐の曲をちゃんと聴いた瞬間だった。

5×10 disc1 曲目一覧

  1. A・RA・SHI

  2. SUNRISE日本

  3. HORIZON

  4. 台風ジェネレーション -Typhoon Generation-

  5. 感謝カンシャカンゲキ雨嵐

  6. 君のために僕がいる

  7. 時代

  8. a Day in Our Life

  9. ナイスな心意気

  10. PIKA☆NCHI

  11. とまどいながら

  12. ハダシの未来

  13. 言葉より大切なもの

  14. PIKA☆☆NCHI DOUBLE

  15. 瞳の中のGalaxy

  16. Hero


disc2  曲目一覧

  1. サクラ咲ケ

  2. WISH

  3. きっと大丈夫

  4. アオゾラペダル

  5. Love so sweet

  6. We can make it!

  7. Happiness

  8. Step and Go

  9. One Love

  10. truth

  11. 風の向こうへ

  12. Beautiful days

  13. Believe

  14. 明日の記憶

  15. Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~

  16. 5×10

今見てもヤバい。激強曲ばかりのベストアルバム。
2008年頃に嵐を認識した自分でも、このラインナップは聴いたことがあるものがばかりだった。

2008年以前に発売された曲でも、なんとなく聞いたことある曲はあった。「これもか!この曲も嵐か!」と興奮しながら、何度も繰り返し聴いた。
Disc2は特に何度も聞いた。

多分、2000年代まるまる学生だった人や、がっつりテレビっ子だった人からしたら、ほとんど知っている曲になりそうだ。

2000年代は、2010年代以降ほどネットが普及していなかたし、SNSとかも存在していなかったため、テレビから情報を得るのが一般的だった。嵐が出ているドラマやバラエティー番組を積極的に視聴していなくても、流れてくるCMを惰性で見ているだけでも、その時流れた曲のサビのメロディとかを覚えていたりするのだ。

2010年 ドラマ主演×主題歌も嵐 の定番化

2010年代に入り、嵐の人気は盤石となり、テレビの中心的タレント兼アーティスト兼俳優という立ち位置を確立した。多岐にわたる活動の中で印象的だったのは「テレビドラマの主演=主題歌も嵐」というフォーマットだ

例えば、

  • 大野智 主演 怪物くん(2010)Monster

  • 桜井翔 主演 謎解きはディナーのあとで(2011) 迷宮ラブソング

  • 二宮和成 主演 弱くても勝てます(2014) GUTS!

  • 松本潤 主演 夏の恋は虹色に輝く(2010) Løve Rainbow

  • 相葉雅紀 主演 三毛猫ホームズの推理 
    Your Eyes

この他にも嵐が主演と主題歌のドラマは多数あり、2009年あたりから加速して増えていった気がする。

個人的には、
謎解きはディナーの後で(迷宮ラブソング)
ラッキーセブン(ワイルドアットハート)
鍵のかかった部屋(Face Down)
三毛猫ホームズの推理(Your Eyes)

この4つのドラマは、リアルタイムで見ていたのでよく覚えている。毎クールのドラマに嵐が自然と出てくることで、日常的に嵐を見ることが習慣となっていた。

しかし、この4つの中だと、鍵のかかった部屋は、めちゃくちゃ面白かったのだが、他の3作はかなりつまらなかった思い出がある。嵐の主題歌は、どれも最高にいいのだが、ドラマの内容も同じく最高なものは、なかなか出てこないのだと思った。

そんな私が嵐が主演と主題歌のドラマの中で、最も面白く、最も好きなドラマが櫻井翔主演の「家族ゲーム」だ。

2013年 家族ゲームの衝撃

櫻井翔と言えば、知的で真面目な優等生みたいなイメージがあると思う。
例えばNEWS ZEROでキャスターだったり、テレビ番組の司会など、嵐の中で「進行・まとめ役・理性」といった面を担当をしているイメージがある。
そんな優等生的なパブリックイメージをすべてフリにすることで「櫻井翔の持つ存在感」を特別なものにしたのが「家族ゲーム」だ。

「家族ゲーム」では、櫻井翔のパブリックイメージとは、対照的な人物を演じている。

家族ゲームの主人公である吉本荒野(櫻井翔)は、家庭教師という立場でありながら、生徒やその家族を心理的に追い詰めるような過激な指導を行う。
善悪の境界が曖昧で、いつも何を考えているのか読めない非常にミステリアスな人物だった。

そのダークな狂気性は、櫻井翔の持つ「安定」や「好青年」といった従来のイメージを意図的に裏切ることで完成していた。
櫻井翔が持っているものが、この役柄を演じることで意味のあるものになり、それも含めて究極の吉本荒野が誕生したと思っている。

前述したとおり、それまでの私にとって嵐主演のドラマは、嵐がかっこいいだけで、内容はそこまで面白くないと思うものが多かった。
だからこそ、家族ゲームがあまりにも面白かったことが、正直驚きだった。


2013年~ 家族ゲーム以降、嵐関係のエンタメから離れる

2013年の家族ゲーム以降、私は嵐が関係するエンタメを見なくなった。理由はなく、自然と見なくなっていた。
今思えば、自分の中で、家族ゲームが嵐のドラマとして最上級だったと勝手に思い込み、それをピークに、嵐主演のものに興味が無くなっていたのかもしれない。

嵐のシングル曲も、家族ゲームの主題歌「Endless Game」以降の曲は、あまり知らないものが多い。
テレビを適当にザッピングして「嵐にしやがれ」「VS嵐」といったバラエティー番組が一瞬映ることがあっても、見ることはほとんどなかった。


2018年 20周年ツアー 50公演という衝撃

その後、2018年に嵐は、デビュー20周年を記念したツアー「ARASHI Anniversary Tour 5×20」を開催した。

行くとか行きたいという考えすらなかった私でも、その規模の大きさには衝撃を受けた。
計50公演、総動員237万人。
もうなんだかよくわからないけど、とにかくヤバいことだけはわかる。

もちろん、それだけの人を動員し、多くの人へ最高のエンタメを届けたことは本当に素晴らしいことだ。
だが一方で、それだけ働いた後、完全に疲れ切ってしまわないのだろうか、燃え尽き症候群みたいにならないのかと不安がよぎった。

THE YELLOW MONKEYが1998年から1999年にかけて1年間で113公演のロングツアーを行った。
このツアーがその後、イエモンが解散する一つの理由にもなったかもと言われている。

そのツアーを振り返るドキュメンタリー映画「パンドラ・ザ・イエロー・モンキー」では、当時ツアーの過密なスケジュールが、メンバーやスタッフを精神的に追い詰めていったと記録されていた。
嵐のツアースケジュールを見てそのドキュメンタリー映画を思い出した。

当時、ジャニーズ好きの友達が、嵐の20周年ツアーの日程を見て
「もうこれで最後なんじゃないかって噂で言われてるらしいよ」
と言っていたのを覚えている。

それを聞いたときは、嵐でそれはないだろと思っていた。

しかし2019年に、嵐は2020年12月31日をもってグループ活動を休止することを発表した。


2026年 fiveを聴き、思い返す

嵐が活動休止してから5年間、またいつか活動再開して、昔のようにテレビや曲を聴ける日々がくるのだろうと思っていた。それは、活動再開してほしいというよりは、小中学生の時に聴いていたような嵐らしいJ-popをまた聴きたいと思っていたからだ。

グループ活動休止を発表した2019年頃、嵐の音楽性は、分かりやすく変化し、海外の市場に向けたアプローチが続いていた。例えば、2019年にリリースした「Turning Up」は、歌詞の大部分が英語で、サウンドも当時流行っていたEDMっぽいものだった。

20年間築いてきた日本独自のアイドル感よりも、国際的に聴きなじみのある普遍性を重視しているように感じた。
それでも「Turning Up」は、まだ軸足が日本にある状態で、ちょっとだけ世界に手を伸ばしている様な感じに見えた。

嵐の世界志向がはっきりと分かったのは、2020年にリリースされた「Whenever You Call」だった。

この曲、まさかのブルーノマーズのプロデュースにより制作されたものだ。
全編が英語歌詞で、サウンドはゴスペルとR&Bを混ぜたようなバラード曲。まさにブルーノマーズが得意とする音楽だった。

世界志向というより、もはや世界の中心的音楽の中にいきなり入りこみ「基準を合わせにいった曲」を出したのだ。

ただ、今まで嵐が創り上げてきた音楽性とは完全に断絶したものであり、違和感しかなかったのが正直な感想だった。

世界の市場に合わせにいくのではなく、今までやってきたことに対してもっと自信と誇りを持ってもいいのではないか。

それはあくまで私の思うところである。
この頃は、YoutubeでのMVの公開の開始や、サブスク解禁などもあった。嵐としては活動休止前だからころ、最後にどこまで挑戦できるかを試したかったのかもしれない。

そして、2020年12月31日の紅白歌合戦を最後に、嵐はグループ活動休止となった。


あれから6年、活動再開後に、最後の新曲「five」が配信された。

メロディを重視した、親しみやすいJpop的構造であり、メンバー間の掛け合いが多い。まさにあの頃の嵐の曲に近いものを感じた。
活動休止前の世界志向から一転し、嵐らしさを全開にした曲となっていた。

最近の日本の曲は、歌よりもトラックの強さを全面に押し出して、ビートやグルーヴが主役のものが多い。
それはそれで大好きではあるが、2000年代の日本の音楽の中心は、どう考えたってメロディ中心だ。だからか、初めてfiveを聴いたとき「帰ってきてくれた」と思った。
あの頃の嵐がもう一度原点に帰ってきてくれらように思えたのだ。

fiveを何度も聴いた。

何度も聴くうちに、忘れかけていた思い出が少しずつ浮かんできた。
小学生の頃の花男フィーバー、truthがめちゃくちゃかっこよかったこと、ベストアルバム「5×10」が2000年代のアンセム的アルバムだったこと、家族ゲームの櫻井翔のこと。。

あの頃、いつだって嵐がいた。
ファンではないけど、強く意識してもいなかったけど、それでも常に嵐が存在していた。

もう嵐を見ることが出来ないのは寂しい。
だけど、最後に「five」が聴けて本当に嬉しかった。

これから先も思い出したように嵐の曲を聴き続けるだろう。

嵐は、本当に長い期間、多くの人たちの思いを受け止めて走り続けていたと思う。私は、嵐のCDを買ったこともない一般人ではあるが、それでもその活躍に励まされた瞬間は何度かある。
これからもきっと元気をもらうことだろう。


嵐へ、本当にありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集