Vol.14 「職場の健診を受けているから大丈夫」は危険な思い込み。
「毎年健診を受けているから、癌の検査もバッチリです」
この会話を私は何百回と耳にしてきましたが、そのたびに「そうじゃないんですよ……」と心の中で思います。
一般的な職場健診(労働安全衛生法に基づく定期健康診断)で必須とされている項目は、血圧、血液検査(貧血・肝機能・脂質・血糖)、尿検査、心電図、胸部X線などです。これらは主に生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)を見つけるためのものです。がんを早期発見するための検査は、ほとんど含まれていません。
日本の健診システムは、いくつもの法律に分かれた「縦割り」になっています。定期健診は労働安全衛生法、がん検診は健康増進法(市区町村の努力義務)、特定健診は高齢者医療確保法——それぞれ管轄省庁も、実施義務者も、対象者もバラバラです。
だから同じ「健診を受けている」でも、検査内容が全然違う。医師でさえこの仕組みを完全に理解している人は少ないほどです。
まずやるべきことは一つ。「自分が受けている健診では、何の検査をしているのか、何の検査をしていないのか」を把握することです。健診は受けるだけで健康になるお守りではありません。自分の健診を「棚卸し」することが、予防医療の第一歩です。
出典: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shitsugyou/kanri/kensin/index.html
*noteの記事の内容は筆者の個人としての見解です。筆者所属の医療機関の見解とは一切関係ありません。内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、万が一不適切な内容がございましたらご指摘いただけましたら幸いです。
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