☀️夏至の詩|いちばん長い昼に、季節は静かに折り返す
朝は、ずいぶん早くやって来る。
まだ眠りの名残が残る窓辺に、
やわらかな光が差し込み、
鳥たちは当たり前のように歌い始める。
今日も長い一日になる。
空はそれを知っているように、
どこまでも明るかった。
夏至。
一年のうちで、
もっとも昼が長い日。
太陽は高く、
光は豊かで、
世界はまぶしいほどに満たされている。
けれど私は、
この日が来るたびに思う。
満ちることと、
終わりの始まりは、
案外よく似ているのだと・・・。
朝露はすぐに乾き、
葉の緑は日に透ける。
田んぼには若い稲が並び、
風が吹くたび、
青い波が静かに広がっていく。
命は今、
勢いよく伸びている。
迷うことなく。
ためらうことなく。
ただ光へ向かって・・・。
けれど自然は、
決して急がない。
大きく育つためには、
時間が必要なことを知っている。
花は咲く時を知り、
実は熟す時を知り、
木々は葉を落とす時を知っている。
だから、
光がもっとも長い今日でさえ、
どこか穏やかなのだ。
夏至の空を見上げる。
青くて、
高くて、
吸い込まれそうなほど深い。
雲はゆっくり流れ、
風は草を揺らす。
その景色を眺めていると、
何かを急いでいた自分が
少しだけ恥ずかしくなる。
季節は競争をしない。
誰かと比べたりしない。
ただ、
自分の速さで進んでいく。
春には春の歩幅があり、
夏には夏の呼吸がある。
人もまた、
そうあっていいのかもしれない。
光が満ちる日。
けれど、
今日を境に昼は少しずつ短くなる。
誰も気づかないほど、
ほんのわずかに。
その事実が私は好きだ。
自然はいつも、
派手な変化ではなく、
静かな移ろいで世界を動かしている。
人生にも、
夏至のような日がある。
何かを手に入れた日。
努力が実った日。
嬉しさで胸がいっぱいになった日。
けれど、
そこで終わりではない。
満ちた先にも道は続いていて、
また新しい季節が待っている。
だから夏至は、
到達の日ではなく、
通過点の日なのだと思う。
ここまで来たことを喜びながら、
ここから先へ進む準備をする日。
光の頂点で、
次の季節へ目を向ける日。
夕暮れは、
なかなかやって来ない。
それでも少しずつ、
空は色を変えていく。
青から橙へ。
橙から茜へ。
そして静かな群青へ・・・。
長い一日の終わりは、
どこか優しい。
私は深く息を吸う。
草の匂い。
土の匂い。
風の匂い・・・。
すべてが混ざり合って、
この季節をつくっている。
今日という日もまた、
二度と戻らない季節のひとつ。
だからこそ、
大切に味わいたいと思う。
夏至。
それは、
光がもっとも長く世界を照らす日。
そして、
季節が静かに折り返す日。
満ちることを恐れず、
移ろうことも恐れず、
今ここにある光を、
ただ受け取る。
そんな一日があってもいい。
私は空を見上げる。
長い昼の光の中で、
ゆっくりと歩いていく。
これから続く夏へ向かって・・・。
