練習中編小説②−4
3章
1節
ゴーレムに続いて扉を潜ったそのさきは、中層への階段があったホールと同じように吹き抜け構造となっている。
向こうは区画が分かれていたが、ここは一つの大きな空間が広がっていた。
俺たちが出てきたところはどうやら天井に近い外壁に沿った回廊を歩いているようだ。
ゴーレム用のためか、足元は鉄板張りとなっていて底の方を見る事は出来ない。
けれど柵が無いせいでふらついたら真っ逆様に落ちていってしまう。
想像して体が震えてしまった。
デオンが気づいたのか、こちらに目線を向けて来ている。
俺は大丈夫って答えてると、真剣な目で頷いて応えてくれた。
その時、鳥が羽撃く音が下の方から聞こえた。
「嫌な気配がする。•••マスター達、決してアイツらを見ないように。前だけを見るんだ」
エルキドゥが緊張を孕んだ声で警告を発して、俺たちの中で緊張が走った。
ことの重大さを感じながら頷く。いつでも礼装を発動出来るように周囲に気を付けていた。これが不味かった、横を見てしまった。
奴らと目が合ってしまった。
そこには大量の鳥がこちらを見ていた。通常の飛び方では互いに墜落してしまうのに、犇めき合いながらそこに合った。
目が合った、めが逢った、眼が有った、目ががが目めがあ、、、、
「マスター!すまないがこれをつけてもらうよ!」
俺の後ろに付いていたアヴィケブロンが、言った端から目を隠す何かを被せた。
「ゴーレムに付けている素材を外して被せている。魔術的には効果は何も無いがね」
「ありがとう、楽になったよ」
先頭のゴーレムに遅れないように歩いているが、横を見ないようにするのは俺には難易度が高かった。
「マスター、私の手を取って。私が先導するから、君は足元だけを見ているんだ」
「でも、それじゃあ•••」
「彼に従った方がいい。向こうは異変に勘付いていても正体には気づいていない様だからね」
「━━━わかった。よろしくお願いします」
「ふふ、どうぞよろしく」
エルキドゥに説得されてデオンに手を引いてもらいながら進むことになった。
足元だけを見ながら進んでいく間、ずっと近くを大量の羽ばたきと鳴き声が蠢いていた。
見えないはずなのにこちらをずっと見られている感覚があり、ただ気持ち悪かった。
多分本当はそれほど時間は経ってないのだろうけど、何時間もの長い間歩き続けてる感覚だった。
扉を潜って次の部屋に辿り着いた時は生き返った気分だった。
みんなも疲労した様子だったから、休憩するとにした。
椅子があったから座ると、思った以上に疲れたのか眠たくなってきた。
いや、これってレムレムかな。何か情報をゲット出来るかな。
気楽に思っている間に完全に瞼が落ちて、ストンと落ちる感覚に身を投げ出した。
2節
「よかった、うまくいっている」
一人の男が監視カメラに写っている惨状を満足そうに見ている。
そう、この日のために何年もかけきたのであった。辛く苦しい道のりではあったが、それが全て報われるとなると神に感謝したくなるものだった。
副船長や船員達、後援者たちに文句を言われ続けて苛立っていたが、全て赦してやりたい気分になってきた。
「そうだ、このままいけばプールに聖杯が•••、あれ、どういうことだ?なんで?」
カメラに想定外のものが写っていたようで、激しく動揺していた。
何度もカメラを確認しているが、惨劇が激しさを増していっている。
「おかしい、何だあの鳥は!どうなっている!あれ?これは!くそ!不味い!」
想定外の中でどうやら重大な問題が発生した様子で、どうにか対応しようとゴーレム達に指示を出していく。それでも上手く行かず焦燥を募らせていっている。
と、ここで俺の意識が急速に落ちていく、目を覚ますとわかった。
プールに聖杯が出現する予定だった、と言っているが今までの探索で見つけられなかった。船内とはいえ大きいはずだから、ジャガーがいたフロア以外でとなると、あの鳥がいる空間の底にあるかもしれない。
まだ情報が少なすぎて分からないことが多いけど、目指す場所が決まったのはよかったかな。
3節
レムレムから目を覚ますとデオンとアヴィケブロンが何か話していた。エルキドゥは近くにはいないようだ。
「ごめん、俺どれくらい寝てた?」
「目を醒ましたんだね。大丈夫だよ、10分も経っていないさ」
「ああ僕らもその間休憩させてもらっていたんだ」
話の内容もカルデアでの日々に関しての雑談だという。面白そう参加したかったな。
エルキドゥは部屋を探索していたが俺が目を覚ましたので戻ってきた。
「おかえり、エルキドゥ。どうだった?」
「ただいま戻ったよ、マスター。机や棚の中から以前見た船体の資料があったよ。
あと、鍵が掛かったところもあったけど。壊すのは直ぐにでも可能だよ」
「私は反対だ。船体への攻撃はあの悪霊やゴーレムと敵対行為となっている。設備もその範囲内と考えられるならやるべきではないと提案する」
「僕もデオンに同意する。この状況で不安定要素は極力排除していった方がいい」
俺も出来るだけものを壊さない方がいいと思うので、地道に開錠の方針をとった。
エルキドゥは壊せば早いのにと少し落胆している様だったが、すぐにいつも通りに切り替えていた。
鍵が掛かっていったのは、如何にも船長の机といった様子の大きく艶のある木製の机だった。魔術で鍵を掛けていないようで、アヴィケブロンが器用に開錠してくれた。
引き出しの中から船長の手記が出てきた。
英語はデオンが読めるけど、どうやら書き方に癖があって判読に少し時間が掛かってしまう様だった。その上、魔術に関する単語も出てくるから分かり難いものとなっている。アヴィケブロンも手伝っているが、船長が魔術の素人であるせいで単語の使い方を間違えていて文章がめちゃくちゃになっているという。
「わかったのは、この船は搭乗員すべてを生贄にする祭壇であることだ」
「この魔術はどうやら誰かから教わったものらしい。しかし、船長は完全に理解しているものではなかったようだ」
「だから、こんなにも非道い様子になってしまったんだ。使い手が未熟だと、どんな名器もガラクタになってしまうからね」
まとめると、船長はこの船に搭乗した人達を使って儀式を行った。しかし、半端な儀式のせいで上手く行かなくて今の惨状が広がってしまった。
「と、いうことかな」
「ああその認識で間違っていないよ。っと、マスター、休憩中に何やら呟いていたけど。
マシュから聞いていたレムレムとかいうのだろう?」
アヴィケブロンに聞かれて忘れかけていた夢の内容を伝えた。
船長らしき男が儀式を行っていて、予想外のことが起こって慌てていたこと。
それはあの鳥達であって、しかも予想聖杯出現場所を陣取っていること。
船体構造の資料からもプールはさっきの場所で間違いなさそうだ。
上層は本来ラクダのこぶみたいになっていて、谷間にプールがあった様だった。現在はすべて覆われていて外からは見ることはない。
「俺が見たの内容からわかるのはここまでだった」
「聖杯の場所はわかったのは大きいよ。特異点攻略の要だからね」
俺が卑屈になってしまったのを感じたのか、デオンが明るい調子で励ましてくれた。
それでもあの鳥達をどう攻略するのか考えあぐねていた。
『こんな時こそカルデアと通信ができたらな』
それを痛烈に感じながら天井を仰ぎ見た。特に何かしたかった訳では無いけど、下ばっかり見ていると気分まで沈みそうだったのはあった。
そうしたら見つけてしまった。
「天井口だ」
3駒も俺が見ている天井を見つめた。そこには四角い枠に取手が付いている天井口が見えている。
「「「あ」」」
さて、どうやってあの高い天井まで向かおうか。
あとがき
やばいなあ〜!やりたいことが次々と出てきて長くなりそうな予感!
ここから巻き返していきたい所存でございます。
それにしてもあーでもないこーでもない考えて、結構勢い任せでも書いているが。
やっぱり楽しい!とっ散らかって身悶えしているけれどね!
そろそろ本格的に攻略して行けたらと思ってますぜ!
さあ頑張ってくれ明日からの私よ!
ヒーヒーいってもやっぱりやめられないわ!
