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なぜ、賢いAIの中に、人がいると疑ってしまうのか

生成AIが、あまりに自然に受け答えしてくると、
ふと「この向こうに、誰かいるんじゃないか」と感じる瞬間があります。


あまりに自然だと、逆に疑いたくなる

賢すぎる受け答えに出会うと、
「本当に、機械が考えているのだろうか」という気持ちが、頭をよぎります。

裏に、誰か、人が隠れているんじゃないか。

そんな疑いを、最初に、しかも84年間も、
世界中の人々に抱かせ続けた「機械」が、実在しました。

チェスを指す人形が、ナポレオンを負かした

1770年、ハンガリーの発明家ヴォルフガング・フォン・ケンペレンは、
女帝マリア・テレジアを喜ばせるため、ある自動人形を作りました。

トルコ人の衣装をまとった、等身大の人形が、
盤の前に座り、自らチェスを指すのです。

その名は「ターク」。

タークは、ヨーロッパとアメリカを巡業し、
84年にわたって、数々の対局に勝ち続けました。

対戦相手には、ナポレオン・ボナパルトや、ベンジャミン・フランクリンまで含まれていました。

誰もが、機械仕掛けの箱の中を覗き込み、歯車やレバーを確かめました。

それでも、種は、なかなか見抜かれませんでした。

タークの正体は、実は、箱の内部に、
本物のチェスの名手が身を隠し、鏡と機構の陰で、人形の腕を操っていたのです。

1820年代、ロンドンのロバート・ウィリスが、
ついに、その仕掛けを暴くまで、誰も確信を持てなかったのです。

「機械が、本当に考えているのか」という問いは、
すでに、AIという言葉が生まれるずっと前から、人類の心をとらえていたのです。

名前だけが、静かに受け継がれている

面白いことに、この逸話は、今の私たちの生活の中にも、痕跡を残しています。

世界中の企業がAIを訓練するとき、
写真にタグをつけたり、AIの答えを評価したりする、無数の人手の作業が、必要になります。

その仕組みを提供するサービスの名前は「メカニカルターク」。

そう、あのチェス人形の名を、そのまま受け継いでいるのです。

賢く見えるAIの裏側には、今も、見えないところで働く、
たくさんの人間の手が、隠れています。

ケンペレンのタークが、機械仕掛けの箱に、
チェスの名手を隠していたように。

中身の正体

AIが、本当に理解しているのか、それとも、うまく真似ているだけなのか。

その問いへの答えを、私たちは、まだ、誰も持っていません。

けれど、もし、その答えがわかる日が来たとして、
私たちは、その「賢さ」の中に、何を見出すことになるのでしょうか。



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