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なぜ、天才は、群衆から逃げられなかったのか

みんなが同じ方向を向いていると、
それだけで、なんとなく、正しい気がしてくることがあります。


賢い人は、流されないはずだった

「あの人は頭がいいから、周りに流されたりしない」。
そう思うことが、あります。

でも、歴史上もっとも冷静に世界を見た人物のひとりでさえ、
群衆の熱に、のみ込まれたことがありました。

一度は、賢く逃げていた

18世紀初頭のイギリス。
南海会社という貿易会社の株が、驚くほどの勢いで、値上がりしていました。

万有引力の法則を発見した科学者、アイザック・ニュートンも、
この株を持っていたひとりでした。

株価が上がったところで、ニュートンは、いったん売却します。
およそ7000ポンドの利益。当時としては、大きな成功でした。

それでも、もう一度、買い戻した

ところが、その後も、株価は上がり続けます。

周りの誰もが、株の話でもちきりでした。
まだ持っている人は、さらに豊かになっていく。

ニュートンは、株を、もう一度、買い戻します。

けれど、この熱狂は、長くは続きませんでした。
株価は暴落し、ニュートンは、最終的に、2万ポンドもの損失を、抱えることになります。

売ったときの、およそ3倍もの金額でした。

このとき、ニュートンは、こう語ったと伝えられています。

「私は、天体の動きを計算することはできる。
だが、人々の狂気までは、計算できない」。

計算できたのは、天体だけだった

ニュートンは、株価の理屈を、知らなかったわけではありません。

むしろ、一度は、誰よりも早く、冷静に、利益を確定させていました。
その判断力は、確かなものだったはずです。

それでも、周りが熱狂し続ける様子を、間近で見ているうちに、
「これだけの人が信じているのだから」という感覚が、
理屈を、じわじわと、押し流していったのです。

一度、群衆の熱の中に、身を置いてしまうと、
どれだけ賢くても、抜け出すのは、簡単ではなかったのです。

「みんな」の熱狂は、今も、姿を変えて現れる

同じような熱狂は、その後も、繰り返し起きています。

情報が一瞬で広がる今の時代、
「みんなが買っている」「バズっている」という空気は、
かつてより、ずっと速く、大勢の人に、伝わるようになりました。

冷静な計算のできる人でさえ、その渦の中では、
群衆のひとりに、なってしまうことがあるのです。


知識や、計算する力があれば、
群衆の熱狂から、自由でいられるのでしょうか。

それとも、賢さとは、
また別の力が、必要なのでしょうか。



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