なぜIQの高い生徒より、粘り強い生徒の方が成績が良かったのか
頭がいいはずの同僚や友人が、途中で投げ出してしまう。
反対に、それほど得意そうに見えない人が、最後までやり遂げる。
そんな場面を見たことはないでしょうか。
能力だけでは説明できない何かが、そこにはありました。
コンサルタントが、教室で見つけたもの
アンジェラ・ダックワースは、名門大学を出たあと、大手コンサルティング会社で働いていました。
けれど彼女は、その仕事を辞め、公立中学校で数学を教える道を選びます。
教室に立った彼女は、あることに気づきました。
IQの高い生徒が、必ずしも良い成績を取るわけではなかったのです。
逆に、それほど高くない生徒が、粘り強く問題に向き合い続け、優れた成果を出すこともありました。
同じ知能なら同じ結果になるはずだという前提が、目の前の教室では崩れていました。
分かれ道にあったのは、頭の回転の速さではなく、途中で投げ出さない力でした。
彼女はこれを「グリット」、やり抜く力と名づけ、研究を続けました。
やがてこの発見は、教育心理学における重要な理論の一つになり、彼女自身も、天才助成金と呼ばれるマッカーサー・フェローシップを受賞するに至ります。
一人の教師が教室で感じた小さな違和感が、能力の測り方そのものを問い直すきっかけになったのです。
AIには、投げ出したくなる瞬間がない
粘り強さという力は、そもそも「投げ出したくなる」という感覚があって初めて意味を持ちます。
疲れた、つまらない、もう嫌だ。
そう感じる心があるからこそ、それでも続けることに価値が生まれます。
AIは、何時間計算を続けても、疲れません。
つまらないと感じて、手を止めたくなることもありません。
やめたい気持ちに逆らって続ける、という経験そのものが存在しないのです。
グリットという力は、もしかすると、投げ出したくなる弱さを持つ生き物にだけ与えられた、特別な力なのかもしれません。
それでも、続ける力は今日から育てられる
ダックワースが見つけたのは、才能の差ではなく、続け方の差でした。
あなたがこれまでやり遂げたことの中に、才能よりも粘り強さが効いたと思える出来事はあるでしょうか。
そして今、投げ出しそうになっていることがあるとしたら。
それは、本当に能力の限界なのでしょうか。
それとも、まだ諦めていないだけの、続きの途中なのでしょうか。
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