なぜ、たったひと言の間違いで、株価が急落したのか
自信満々に間違えたAIの答えを、
そのまま信じてしまいそうになったことは、ありませんか。
発表の日に、答えが、間違っていた
新しい技術を、世界に披露する日。
その、たった一言の答えが、
のちに、数十億ドル規模の、株価の下落を招くとは、
誰も、予想していなかったはずです。
宣伝映像の中の、ひとつの誤答
2023年2月、Googleは、対話型AI「Bard」を、発表しました。
ChatGPTの登場で、世界中がAIに沸いていた、まさにその時期。
Googleにとって、この発表は、大きな注目を集める、重要な瞬間でした。
公開されたプロモーション映像には、こんな質問が、映っていました。
「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の発見を、9歳の子どもにも分かるように、説明して」。
Bardは、自信を持って、答えました。
「太陽系の外にある惑星を、初めて撮影した」。
専門家が、すぐに気づいた
けれど、この答えには、誤りが、ありました。
太陽系の外の惑星を、初めて撮影したのは、
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ではなく、
ヨーロッパの、別の天文台による、観測だったのです。
発表からほどなく、天文学の専門家たちが、この誤りに、気づきました。
ニュースは、瞬く間に、世界中を、駆けめぐりました。
その日、Googleの親会社アルファベットの株価は、
一時、9パーセントも、急落しました。
わずか、ひとつの、映像の中の、たった一言の答え。
けれど、それが、企業の価値そのものを、揺るがす出来事に、なったのです。
自信満々な答えほど、誰も、疑わなかった
もし、Bardが「たぶん、こうだと思います」と、
控えめに答えていたら、どうだったでしょうか。
けれど、Bardは、はっきりと、断定する口調で、答えていました。
その自信に満ちた言い方こそが、多くの人に、正しい答えだと、信じ込ませてしまったのです。
これは、特別なAIだから、起きた失敗ではありません。
情報が足りないところを、それらしい言葉で、埋めてしまう。
そのとき、AIは、自信のなさを、声のトーンに、にじませたりは、しません。
正しい答えも、間違った答えも、
同じくらい、堂々と、語られてしまうのです。
発表する側でさえ、見抜けなかった
このとき、見落としがあったのは、AIだけでは、ありませんでした。
世界最先端の技術を持つ企業が、
自社の発表映像を、公開する前に、
その答えを、専門家に、確認する機会が、あったはずです。
それでも、誤りは、見過ごされて、世に、出てしまいました。
作った側でさえ、AIの答えを、疑いきれなかった。
それほどまでに、自信ありげな答えは、人の目を、くらませるのです。
自信満々な答えに出会ったとき、
私たちは、それを、どこまで、疑えるでしょうか。
そして、疑う力を、私たちは、どうやって、育てていけるのでしょうか。
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