2026年1月の音楽月報(Racing Mount Pleasant, Elephant Gym, UNISON SQUARE GARDEN, Peter Eldh etc...)
2026年1月に私がよく聴いてた曲たち。お察しの通り先月リリースされた新譜の曲のみという訳ではありません。
Racing Mount Pleasant/ Racing Mount Pleasant
年始からとんでもなく私のツボに深く刺さるバンドを知れました。
Quadecaをリリースしているdead Air Records周りを追いかけようとインスタを昨年末にフォロー。年明けのある日、ストーリーにタグ付けされたこのバンドの写真を見て何か引っかかるものがあり、昨年リリースされたアルバムを聴いたらあまりに素敵な音楽でひっくり返りました。
管楽器・弦楽器が当たり前に編成にいる所も含め、感触的には昨年ベストの一つであるcarolineにも通ずる所もありつつ、もっとポストロックの王道に位置するであろうバンド。
初めて聴いた時、動画の2:10あたりで流れるドラムロールが「これ絶対この後にグッドメロディーが来て最高なやつでしょ!」と予感させるもので。そして予感通りに直後ユニゾンでコーラスするサビで盛り上がりが最高到達点を迎えたことで、こんな直球のポストロックをしてくれる新しいバンドはまだいるんだ!と感動しました。
前情報抜きに新しい音楽に触れることがどんどん少なくなってきた近年、昔CDショップでジャケ買いして大当たりを引いた時のような出会いがとても嬉しくて。あんまり彼ら彼女らの情報を調べることもせずただ単にアルバムを聴き続けています。意外と周辺情報によって音楽の印象って意識せずとも変えられてしまうから。
Elephant Gym / Finger(Live in Santiago, Chile)
もう台湾を代表するバンドの一つと言っていいのではないでしょうか、3ピースマスロックバンドElephant Gymの2024年世界ツアーを総括するライブ盤。
1月にドキュメンタリー映画(これ、とても素晴らしい作品だったので別で記事を書きたいと思います)が上映されるので予習を兼ねて聴き返してたタイミングでリリースされました。ラッキー。
映画内でも言及されてましたが南米のオーディエンスの盛り上がりっぷりがエグい。遥か昔に聴いたRushの南米ライブ盤『Live in Rio』でもそうだったので土地柄なんでしょうね。臨場感溢れる良いライブ盤。
ただの観客である私がこんなこと書くのも烏滸がましい自覚はありますが、マスロックというニッチと言われても仕方ない音楽で地球の裏側に住んでる人々を沸かせている彼らは本当に格好良いと思います。
paranoid void / Will
大阪の3ピースマスロックバンドの3rdアルバム。一昨年から散発的にリリースされていたシングルは聴いておらず今回まとめて聴きました。
全体的にテクノ的なトリップ感といいますか、フレーズの反復が端正に続く中で次第に我を忘れて気持ち良くなれるヤツが揃ったいいアルバムでした。
でもよくよく聞くと奇数拍子だったり一曲の中で拍子がシレッと変わってたりする中でツルっと違和感なくポップにも聴かせてノれる音楽をしているのは何気に凄いなぁと。
過去の作品ではもっとストーリーを紡ぐような展開ある曲調が多かった印象がありますが、今の私のモード的には新曲群の方が合っているようです。
UNISON SQUARE GARDEN / うるわし
中野区発ハイパー脳筋プログレッシブポップバンド(命名:私)の新曲。
2025年の私はユニゾンから徐々に心が離れていってました。原因はここ2年の新曲があまり刺さらないというそもそもの好みの話だったり、このバンドのブレーンであるBa.田淵氏への不信感のふたつ。
後者については変な誤解を招かぬよう書いておくと、
それまで何度も「ロックバンドのライブにMCはいらん」とこの6年弱語っておきながら、2024年の20周年武道館で観客への感謝をMCで感動的に語ったことが私にとっては決定的な出来事でした。
「あー今まであんだけ何度もMCいらん言ってたのは己の主義主張とかではなく、この日の感動を倍増させるためのただの伏線、布石でしかなかったんだな」と一気に冷めてしまった。
ファンを「物好き」と呼んで遠回しに特別感を植え付けたりとか、コロナ禍で明らかに需要と会場キャパが見合ってないツアーの追加公演開催にあたり「マネージャーに好評だから」と明らかに誤魔化しとしか思えない後付けの理由を言い訳がましく発言したりとか、私が好きになってから12年程度の間に「おや?」と首を傾げるタイミングは何回かありました。
そういう細やかな積み重ねの先にあった上記の出来事でユニゾン全体に対しての熱が一気に冷めてしまい、昨年冬から開催されているツアーも最寄りの会場は気が付けばチケットが売り切れており、セットリストを眺めても特に観れなくて残念とも思わず。
が、しかし。あー私このまんまユニゾンからフェードアウトしてくのかなと特に感慨も持たずにふわっと漂ってたタイミングでリリースされたこの新曲には素直にぶっ飛ばされました。
ユニゾンのシングル曲としてはテンポが低めで勢いに任せて盛り上げるような印象はない。これまでのように演奏力に物言わせた摩訶不思議な曲構成に代わり、要所要所でハモリの度数を変えたり、Bメロで歌だけ三拍子にする良い意味の「崩し」を忍ばせたりと、技の見せ所がこれまでとは大きく変わった印象がありました。
あとベースソロの裏でドラムソロもかくやと隙間を埋める勢いで畳み掛けるドラム、マジでセンスの塊ですね。普通のドラマーならリムショットとかで落ち着かせる所でしょう、あそこは。なんで静かに加速させた挙句ギターソロへの的確な繋ぎまで設けるんですか。我らがスーパードラマー鈴木貴雄、最高です。
「うるわし」は素晴らしい楽曲ですが、長々と書いた田淵氏への不信感はもう拭えないとも思います。もう昔のように諸手を挙げて支持できるバンドではなくなってしまった。
が、それと楽曲及びライブの素晴らしさは別の話。次のアルバムとツアーまでは彼らを追いかけようと心を入れ替えさせる素晴らしい一曲でした。
Homecomings / knit
一度ライブは見たことがあったし、ノベンバ吉木さんがドラムのサポートをしていることも勿論認識していましたが、これといって食指が伸びていなかったバンド。
その吉木さんのストーリーでジャケットを見かけてピンとくるものがあり(最初に書いたRacing Mount Pleasantもそうですが、昔から視覚で音楽に興味を持つケースが多い)、気がつけば夢中になって何度も聴いていました。
暖かい声といい意味で何かを言い切らない散文的に紡がれる歌詞の組み合わせ。どこかホッとする曲調が、大寒波に覆われた1月にピッタリでした。
今月は最新アルバムを改めて聴いてみようと思います。
雪景色が美しいMVも素敵。きっとこの冬も次の冬も何度も見て聴く曲になりそうです。
LOSTAGE / 瞬きをする間に
今年のライブ始めはLOSTAGEとGRAPEVINEの対バン。
バインが呼ぶにしては意外な人選でしたが、長いキャリアに裏打ちされた演奏力を持った絶妙に違う音楽性のバンド同士の共演には痺れましたね。いいライブ始め。
LOSTAGEのライブはフェス等で3回目でしたが今回が最も胸に刺さりました。
元々彼らのサウンドには「鉄っぽい、硬質な音」というイメージがぼんやりとあり、このライブで聴いた他の曲や後日購入したアルバムにもそうした曲が多くありましたが
今回挙げた『瞬きをする間に』は確かな芯がありつつ、柔らかな暖かさも感じる曲で強く惹き込まれました。
バイン田中さんが「今時こんなにも真っ直ぐにエモく演奏をするバンドがいるとは。格好良かった」と率直に讃えられていましたが、私も同意見。
GRAPEVINE / 光について
もはや説明不要の大名曲。このライブ映像も10年前ということで、私がこのバンドと過ごしてきた時間もそれなりの長さになってきたんだなぁと。
昨年発表された『あのみちから遠くはなれて』は個人的にここ10年の彼らのアルバムで最も好みな作品でしたが、リリース後のライブは悉く都合が付かなくて。なので先日のライブではその新曲群を聴けたことは勿論嬉しかったものの、本編最後に演奏されたこの曲が全てを掻っ攫っていた感がありました。
例えば数ある名曲の内の一つ『ねずみ浄土』。ステージの5人が完全に呼吸を合わせて極限まで音数を絞った演奏とハーモニーで近年のライブのハイライトを飾る一曲となりましたが
イントロにドラムソロを追加して雪崩込むように曲が始まったり、スネアに対して僅かに後ノリでフィンガースナップ音をパーカッション的に入れたり、2番以降はピアノでテンションコードを当てたり、ギターソロは過剰とも言える程にワウで音を揺らしたり…
挙げればキリがない程にライブアレンジが加わっており、リリースから5年が経過した今でも第一線で活躍する曲になっています。
近年の名曲はライブ事に進化し続ける一方、『光について』はアレンジを加えることもなくほぼほぼ原曲に忠実な演奏をしていて。もうリリースから25年以上が経過した懐メロと言っても差し支えない曲を盤石の演奏で届け続ける。その姿勢にバンドの覚悟を改めてこの日感じ取ったんですよね。
常に緩やかな変化を続けるタイプのバンドだからこそ、不変であり続ける部分・曲があることに感動したのかもしれません。これからもずっと追いかけますよ。
Peter Eldh / KROYDON Return
People In The Boxの波多野氏がラジオで紹介していたベーシスト、Petter Eldh(ペッター・エルド)のゲストドラマーを曲毎に招いたインスト作。
普段ロックやらポップスをメインに聴いてる人間からすると、ジャズ畑の方々の技術は本当に常軌を逸しているというか。そもそもの認識されている音価が異常に細かい中で数小節単位で拍子も変えられる様を見せられるともう笑うしかありません。
個人的にソロ回しをするタイプのジャズはまだあまり良さを理解し切れていない所もあり、エレクトロ的な精緻さを兼ね備えたこの作品は違和感なく聞くことが出来ました。
こっちは流石に周辺情報を知った上で聴いた方が良さそうなのでインタビュー等読み込んでいこうかと。
今月は以上となります。
