Alain
アランは私にとって最年長のボーイフレンド。ベルギー人。
10年前にブリュッセルで知り合った。家族ぐるみのお付き合い。
知り合ったきっかけは、アランの70歳のバースデーパーティーだった。
アランは当時易経を教えてくださっていた中国人恩師の友人で、恩師に誘われパーティーへ出かけたら、アランはひと目で私を気に入ってくれた。
ベルギーに引っ越したばかりだった私はフランス語がまだ辿々しかったのだが、幸いアランは恩師同様英語が話せた。
「私は女誑しで、若い頃、ロシア人美女をどうしても口説きたい一心で英語を覚えた。そのお陰で仕事にも役立っている。私は色々な国の女性とお付き合いをしたものだが、心残りなのはアジアの女性とお付き合いした事が一度もないという事だ。特に日本人女性とは出会った事もなかった。後10歳若かったらマリアを口説いていたよ(笑)」
と、冗談混じりに笑って私の頬にキスをした。
アランは私のフランス語が少しでも上達するように、いつも敢えてフランス語で話してくれて、わからないところは英語で教えてくれた。
お陰で私のフランス語も上達したし、占い好きなアランは色々な占い師さんを紹介してくれた。
現在、アランは80歳。曾て賑わっていたバースデーパーティーに来ていたアランの友人たちが次々天国へ行ってしまった。帰国後も月に1〜2回はアランとWhatsAppで話しているが、昨日、私からのクリスマスカードとプレゼントが届いた、と、大喜びで連絡が来た。このご時世、届くか如何かとても心配だったが、届いて良かった。
「あと何回、マリアからこうして直筆のクリスマスカードを貰えるだろう。こんなご時世だから会いたくても会えないね。寂しいなあ。」
と、アランは泣いている。
「今こうやって顔見て話してるじゃない。泣かないの!会いに行くまで元気でいてね!寂しくなったらいつでも連絡して😊」
最近あちこち弱って来て入退院の繰り返しと、アランの息子のロランから聞いている。
アランには長生きして欲しい。
⬆️のヘッダー画像はアランが嬉しくて私のクリスマスカードを撮影したもの。走り書きのように急いで書いたフランス語、間違ってないよな💦
そして此方は⬇️アランからのクリスマスカード🎄💕✨
私の為に精一杯直筆で書いた文字から溢れる愛情が感じられる❤️

追記:
アランは「星マリアのイーチンオラクルカード」の完成をとても喜んで、自身のお店の他、アランの友人のブリュッセルの雑貨店など3店舗にカードを置いて頂く事になりました💕✨ 2022年10月20日
追記:
アランの息子・ロランから連絡がありました。
それは、アランの訃報を知らせるものでした。
このところアランの体調が優れない事を、私もとても気にかけていました。
今年の秋頃にはブリュッセルへ彼に会いに行く約束をしていたのです。
たとえ短い時間でもと思っていたのに――その約束は叶いませんでした。
亡くなるほんの直前まで、私はアランとWhatsAppでやりとりを続けていました。
アラン:
「Bonjour Maria, je vais mieux, mais je suis encore très fatigué.
Merci de t'inquiéter de ma santé, tu es très gentille 🥰」
(こんにちはマリア、体調は良くなってきたけれど、まだとても疲れているよ。僕の体を気にかけてくれてありがとう。本当に優しい人だね)
私:
「Merci pour ton message.
Je suis contente d’apprendre que tu vas mieux, même si tu es encore fatigué.
Prends bien soin de toi et repose-toi autant que tu en as besoin.
Je pense à toi.」
(メッセージをありがとう。体調が良くなってきたと聞いて本当に嬉しいわ。まだ疲れているかもしれないけど、どうか自分の身体を大切にして、必要なだけ休んでください。あなたのことを想っています。)
そしてアランは、最後にこんな言葉を私に残してくれました。
「Merci Maria. Tu es la plus belle histoire de ma vie !」
(ありがとうマリア。君は僕の人生で、いちばん美しい物語だったよ!)
このメッセージの後、アランは静かに眠るように旅立ったといいます。
ロランは、私より少し年下の、年齢の近い息子さんです。
彼はこう話してくれました。
「きっとこれは、父が最後にマリアにどうしても伝えたかった、心からの愛と感謝の言葉だったと思うよ。
父はいつもマリアの話を楽しそうに話していたし、マリアとの出会いが、父の人生にどれほどの幸せをもたらしたか……別れを意識していたかどうかは関係なく、父の魂がこの世を去る前に、最期まで寄り添ってくれたマリアに伝えずにはいられなかった言葉だったと思う。」
ロランの言葉に私は声も出せませんでした。
たくさん泣きました。涙が止まりませんでした。
アランは、私が今取り組んでいるイーチンの作品のことも、よく知ってくれていました。
「もうすぐ完成するの、完成したら見てね。フランス語にも訳すからね!」
そんな風に伝えていたのです。
アランも楽しみにしてくれていた作品を、ここで止めるわけにはいきません。私らしくないから。
そしてアランならきっと、「前へ進め、マリア!」と言ってくれる筈です。
だから、泣くのはもうおしまいです。
私はまた前を向いて、走り続けます。
アランの想いを胸に、私の道を進みます。 2025年4月19日

À Alain – Le murmure d’une lumière
Tu es parti doucement,
Comme un souffle, comme un soupir.
Tes mots flottent encore dans l'air,
Doux écho de ton dernier sourire.
Parfois, tu étais un père,
Parfois, un frère bienveillant,
Et parfois encore,
Un garçon au regard espiègle et au cœur pur.
Tu as parlé avec respect,
Tu m'as regardée avec confiance,
Et pour que mes mots grandissent,
Tu m'as offert le français, au lieu de l’anglais facile.
Tu m’as dit : « Tu es la plus belle histoire de ma vie! »,
Et cette phrase éclaire mes nuits.
Même si mes larmes tombent en silence,
Ton souvenir m’offre la paix, une délivrance.
Je n’oublierai jamais ta voix,
Tes messages pleins de foi,
Ton regard, ta présence légère
Qui effleuraient mon monde de lumière.
Le destin nous a laissés peu de temps,
Mais ton cœur parlait infiniment.
Tu es parti, mais tu restes ici,
Dans mon souffle,
dans chaque « Allez, Vas-y, Maria ! »,dans ma vie.
Si aujourd'hui je peux t'offrir mes mots en français,
C'est parce que tu m'as montré la beauté de cette langue.
Merci, Alain,
Pour ton amour si humain.
Je marche encore, je continue,
Car tu marches avec moi, à chaque pas, à chaque rue.
アランは英語が流暢に話せたにもかかわらず、私のフランス語が少しでも上達するようにと、あえてフランス語で話しかけてくれました。
それはとても深いやさしさでした。
私に「楽な道」を選ばせるのではなく、私の可能性を信じて、そっと挑戦させてくれたのです。
40代だった私の努力を信じ、小さな成長を見つけて喜び、未来に希望を置いてくれました。
私がフランス語会話ができるのは、アランとの出会いがあったからです。
追記: 夢
アランが旅立ってから、九ヶ月が過ぎた今朝。
私はアランの夢を見ました。
夢の中で、なぜかアランは日本にいました。
検査のために来ている様子でした。
私はすぐに病院へ駆けつけました。
アランを見つけた私は、大声で彼の名を呼びました。
するとアランもこちらに向かって、同じように声を張り上げ、
「診察が終わったら、ゆっくり話そう」
そう言いました。
彼はとても元気そうに微笑んでいました。
病人とは思えないほど、穏やかで、軽やかな顔でした。
私は診察が終わるのを待ち、
それから、アランの車椅子を押して歩いていました。
けれど途中で、アランは突然、意識を失いました。
私は何度も彼の名前を呼び、医師を呼びました。
アランは一度、また一度と意識を取り戻すのですが、
言葉をほとんど交わすことはできませんでした。
やがて私は、
アランの身体が、少しずつ冷たくなっていくのを感じました。
そのとき私は、
「Alain!? Écoute-moi !」
「Non… Ne me quitte pas, Alain !」
「Je t’aime, Alain… Écoute-moi… Je t’aime…」
そう叫びながら、泣いていました。
何度も、何度も。
アランは、幸せそうな顔をしていました。
たぶん夢の中で、彼はもう亡くなっていたのだと思います。
目が覚めたあと、
胸の奥に、深い悲しみと同時に、
不思議な静けさが残っていました。
言えなかった言葉を、
ちゃんと伝えられた気がしたのです。
アランはもう、苦しんでいません。
そして私はもう、言い残していません。
そう思えた朝でした。
2026年1月19日
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