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をかしな話~憧れの繁昌亭編~

残暑が厳しいですね。秋になるまで、あとどのくらいかかるのでしょうか。涼しくなるのを心待ちにしている、をかしです。

さて、この間、「大阪くらしの今昔館 子ども落語大会」という大会がありました。参加者は19名。私は、すっかり十八番となっている「時うどん」で臨みました。

会場は、以前出場した大会よりも少しピリッとしていて、なかなか緊張します。しかも今回の審査員は、笑福亭伯枝師匠、桂出丸師匠、笑福亭学光師匠という、本物の落語家さん3人です。

この大会は、落語が終わるとその都度講評をいただき、全員の落語が終わってから審査、表彰が行われます。そして、入賞者は10月に繁昌亭で行われる入賞者記念公演に出演できるのです。

繁昌亭。

上方落語の聖地ともいえる、私の憧れの寄席です。

でも、私がそこに立てるなんて、そんなことは夢のまた夢。手の届く場所ではないと思っていました。

だから私は、繁昌亭に出ることを目当てに出場したわけではありません。

ただ、本物の落語家さんに、自分の落語を評価していただきたかったのです。

私の出番は15番目。かなり後の方でした。

それまでは、午後になるまでは気楽にみんなの落語を聞いていました。

ところが、出番が近づいてくると……。

顔面蒼白になるくらい、緊張してきました。

買ってきたサイダーを少しずつ飲みながら、心の中では、

「やばい。キンチョーしてきた……。いや、でも私は審査員の方の評価を聞きにきたんだ……。でも、みんなの手前、そんなことを思いながら演じるのは申し訳ない……!」

と、いろんな気持ちが混ざり合って、もうえらいこっちゃ。

ついに、私の出番がやってきました。

お客さんに自分の心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うくらい、緊張していました。

でも、高座に上がってお辞儀をしたとき、お客さんがこちらを真剣な顔で見ているのがわかりました。

「私の落語を楽しみにしてくれているんだ。」

そう思った瞬間、やる気スイッチが、

「ポチッ」

と入りました。

そして、友達からも「がんばれ!」という視線が飛んできます。

失敗したっていい。

私は、評価を聞きに来たんだから。

そう開き直ったら、不思議なくらい気持ちが楽になりました。

思いっきりやろう。

そう思って、高座に立ちました。

本当に、あっという間のことでした。

私がしゃべっている間に、お客さんが手を叩いて笑ってくれる。

そうしているうちに、もうオチが見えてくる。

「まだこの高座にいたい」

そんな名残惜しさと、

「最後のオチは、せめて笑ってもらおう」

という気持ちでいっぱいになって、今までにないくらい気持ちよく演じることができました。

落語が終わると、審査員の師匠方から講評をいただきました。

私の「時うどん」については、

「仕込みとばらしがうまくできていて、たたみかけも笑いをとっていた。理想の時うどん。」

と言っていただきました。

実は、「夕べと同じ時刻に行けばよかったんですが」という一節を入れるか入れないかについて、審査員の先生方の間でも意見が分かれていたそうです。

そんなところまでプロの落語家さんが考えてくださったのかと思うと、私はとても嬉しくなりました。

そして、全員の落語が終わり、いよいよ表彰の時間です。

私は、繁昌亭に行かずに、入賞したみんなをお祝いする側だと思っていました。

だって、本当に面白い子たちがたくさんいたのですから。

ですから、入賞者が読み上げられていくときも、私はそれほど緊張していませんでした。

ところが。

「続いて、『時うどん』を演じられていました、笑福亭伯枝賞のをかしさん。前へどうぞ」

……へ?

……うそ~ん。

一瞬、何を考えたらいいのかわかりませんでした。

「えー!」

という感じです。

嬉しい。

でも、本当に私でいいの?

夢じゃないの?

いろんな気持ちが頭の中をぐるぐるして、何を考えればいいのかさえわからなくなりました。

とりあえず、頭を下げました。

席に戻ってからも、まだ現実のこととして捉えきれていなかったと思います。

とりあえず他の入賞者のお祝いをして、後でじっくり考えよう。

そんな気持ちでした。

大会が終わって、父や母に、

「おめでとう。面白かったよ」

と言われました。

そして、

「うん。をかしなら行くと思った」

とも言われました。

そこでようやく、少しずつ実感がわいてきました。

次に私が立つ舞台は、なんと繁昌亭。

私にとって、憧れの寄席です。

私は神戸の喜楽館、東京の末廣亭には行ったことがあります。でも、繁昌亭にはまだ行ったことがありません。

そんな私が、10月12日の入賞者記念公演で、初めて繁昌亭に行きます。

しかも、お客さんとしてではなく、舞台に立つために。

行ったこともないところに行き、ましてやそこで落語をさせてもらえるなんて!

感動の極みです。

このようにして、私の最後の夏の思い出は締めくくられました。

夏期講習で忙しかったこの夏。

でも、私には落語という最強の「治癒薬」があります。

どんなに疲れていても、落語をすると元気になる。

だから私は、今日も落語をしています。

勉強も、落語も。

どちらも私にとって、大切なものです。

いつもこの「をかしな話」を読んでいただいて、ありがとうございます。

みなさんの笑顔が続くこと、そして幸せでいられることを、いつも祈っている、をかしでした。

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