超ド級のファザコン映画!父親への異常なまでの愛ゆえに、容赦ない暴力を繰り返す主人公に世界中で賛否両論のインド映画『ANIMAL』
【個人的な満足度】
2026年日本公開映画で面白かった順位:10/18
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:Animal
製作年:2023年
製作国:インド
配給:ギークピクチュアズ
上映時間:201分
ジャンル:アクション、バイオレンス
元ネタなど:なし
公式サイト:https://animal-movie.jp/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
デリーの鋼鉄王バルビールの長男として生まれたランヴィジャイ。仕事一筋で家庭を顧みない父からの愛情に飢えた彼は、とある事件をきっかけにアメリカの寄宿学校へ送られる。
成長したランヴィジャイ(ランビール・カプール)は父の60歳の誕生日パーティに参加するため帰国するが、義兄と諍いを起こし父から拒絶されてしまう。哀しみに打ちひしがれた彼は幼なじみのギタンジャリ(ラシュミカー・マンダンナ)と駆け落ち同然で結婚し、再びアメリカへ渡る。
8年後、父が何者かに襲撃されたことを知った彼はデリーに舞い戻り、ならず者を集めて敵を追い詰めるも、その行為は次第にエスカレート。やがて宿敵の存在が明らかになり、ランヴィジャイは終わりなき復讐の道へと突き進んでいく。
【感想】
2023年に公開され、世界興収150億円超えの大ヒットを記録した本作。ところが、あまりにも過激な内容ゆえに賛否両論を呼んだといういわくつきです。でも、観ればわかります。その熱量の高さが。キャッチコピーの「血、血、血、愛」の意味が。
<観るなら覚悟を持つべし>
あの、最初に言っておきますね。この映画を観るにはいくつか覚悟が必要なんです。まず、長い。201分。長尺のインド映画の中でも特に長いですよ、これ。その上、インターミッションがなかったんです。鑑賞中の水分補給は計画的に行わないと膀胱が破裂しちゃいますよ。
次に、ストーリーの時系列がわかりづらいです。冒頭のモノクロームのシーンは2056年。本作のメインとなる一族が経営する鉄鋼メーカー・スワスティカ社が創業100周年を迎えたときです。そこから回想する形で物語は進んでいくんですが、その回想の中でも時系列を行ったり来たりするんで、今がいつの出来事なのか整理しながら観る必要があります。
そして、これが一番厄介なんですが、登場人物が多すぎるんですよ。一族の物語なので、血縁者がたくさんいて。大元の祖父が3人兄弟、その息子のバルビール(アニル・カプール)は2人兄弟だったかな。で、孫のランヴィジャイ(ランビール・カプール)も3人兄弟。そこにまた配偶者がいますからね。脳内で家系図の整理が追いつきません。だから、「えっと、この人はこの人の孫で、この人は、、、あれ、じゃあ、はとこってこと?」と、しっちゃかめっちゃかです。人物相関図を片手に持ってないと置いてけぼりを食らいそうです。
<息子の父親に対するファザコン>
先にマイナスポイントを挙げちゃいましたけど、それでも映画自体は面白かったです。それはやはり、やりすぎ感満載のランヴィジャイのキャラクターゆえ。なぜそこまで固執するのかはわかりませんが、とにかく彼は父であるバルビールの愛に飢えているんです。幼少期、仕事が忙しくて全然かまってもらえなかった反動か、異常なまでに父親を崇拝しています。妻のギタンジャリ(ラシュミカー・マンダンナ)でさえ、少しでもバルビールを悪く言おうものならブチ切れる始末。これが超ド級のファザコンかと。傍目から見るとめんどくさって思うんですけどね(笑)インドの文化として当たり前なのかはわかりませんが、家父長制が強いことと無関係ではないと思います。この一族はマフィアではありませんが、どこか『ゴッドファーザー』(1972)を思わせる雰囲気が全体に漂っていましたね。まあ、ランヴィジャイだけが勝手に「パパ、パパ」って言いまくってただけなんですけど。髪を短くした彼の姿はアル・パチーノ演じるマイケルにしか見えませんでした。
<血と汗が飛び散るバイオレンスの極み>
そんな父親に命の危機が迫ると知るや否や、ランヴィジャイは荒くれ者を従えてフルボッコします。小型戦車のようなガトリングガンで何百人と蜂の巣にしていくサイコっぷりは圧巻でしたね。カリスマ性も統率力もあるんですが、いかんせん父親のこととなるとボルテージが一気に上がって手が付けられません。しかも、ラストはこれがまたぶったまげる演出だったんですよ。飛行機の滑走路で敵の黒幕と上裸で2時間におよぶ殴り合い。お互いプライドがあるんでしょうけど、部下たちが見守る中でいい歳した大人2人が殴る蹴る。いやまあ、父親は大事ではありますけど、そこまで体張るかってのが正直な感想ですねー。別に僕が父親と不仲というわけではまったくないですが、そのファザコンの熱量の高さには感情移入できませんでした。
<そんなわけで>
過激すぎるバイオレンスアクションでインパクトは強かったですが、僕が好きなインド映画とはちょっと違いましたね。歌は流れるんですけど、キャストが歌って踊るシーンはありませんし、主人公以外全員モブってほど主人公も強くはありません。あと、インド映画にしてはめずらしくキスや性行為"後"のシーンもあって、インド映画というよりハリウッド映画に近かったです。なのに、201分という長さ。続編がありそうな終わり方だったので、公開されたら一応観に行きますけど(笑)最近のインド映画は続編前提で作っているんでしょうか。
