まさか実話とは知らずに読んでいた『24人のビリー・ミリガン』ダニエル・キイス
ダニエル・キイスだから読んでみた
私が『アルジャーノンに花束を』に出会って、読書が大好きになったあと、次に読んだ作品が『24人のビリー・ミリガン』でした。
ダニエル・キイス作品であることと、読書に興味がなかったころ友達がこの作品を一生懸命読んでいたことを思い出して、あらすじなど知らずに読み始めました。
まさか、この作品が実話だとは知りませんでした。
読み進めていくうちに、「え? これ実話なの?」と知って
そこから一気に引き込まれていきました。
こんなこと、一人の人間の中で起きるの?
ビリー・ミリガンの中には、24もの人格が存在していました。
人格によって年齢も性格も性別も違う。
医学や物理学に詳しいアーサー、怒りや憎しみを引き受けるレイゲン、社交的なアレン、脱出の名人トミー、男性を極端に恐れるダニー、苦痛を引き受けるデヴィッド……。
こんなこと、一人の人間の中で本当に起きるの?と驚きました。
ビリーを守るために生まれた
でも、読み進めていくと、彼らがただ存在しているわけではないことがわかってきます。
幼少期に受けた、継父からの凄惨な虐待。
あまりにも耐え難い苦痛から逃れるため、痛みを引き受ける他の人格が生まれたのです。
ビリー本人が生きることを諦めてしまわないように、別の人格が代わりに表に出てきている。他の人格たちが彼を守っているのです。
そうすることで、ビリーは生かされてきたのです。
中には、窃盗癖があったり、協調性がなかったりする「好ましくない人格」もいます。
でも、それぞれに役割があり、ビリーを守るために必要だった。
最初は「24人もの人格」ということに驚いていたのですが、その背景を知るにつれて、そういうことなら、こういうことも起こるのかもしれないと考えるようになりました。
そして、すごいと思ったのが治療
そして、私がこの本を読んですごいなと思ったのが、ビリーに対する治療です。
24人の人格の中には、23人の人格すべての記憶や能力を持つ
「教師(ザ・ティーチャー)」という人格もいました。これが本来のビリーです。
この「教師」という存在がいたことにも驚きでしたが、さらにすごいと思ったのが、そこから行われた治療です。
バラバラになった人格を、ただ消してしまおうとするのではなく、それぞれの人格を、少しずつひとつに統合していく。
「こんな治療が可能なんだ……」
人間の心って、こんなにも複雑なんだ。
そして、ここまで複雑になってしまった心を、少しずつひとつにつなぎ合わせていくことができるんだ。
「お医者さん、すごいな…」
24人もの人格が生まれるほど傷ついた心を、今度は少しずつひとつに戻していく。
その治療の過程が、とても印象に残りました。
こんなことが、本当にあったんだ。
そう思うと、読み終わったあともしばらく頭から離れませんでした。当時、友達が夢中になって読んでいたわけだと。
そして、さらにダニエル・キイスにハマっていきました。
