【細かすぎるが伝えたい】エスクワイア 第9話「生きる資格」とジヌの殿堂入り名言炸裂
ドラマ紹介・概要
8月から放送開始した韓国ドラマ「エスクワイア」
大手ローファーム「ユルリム」を舞台に、様々な専門分野のエリート弁護士たちが繰り広げる、スリリングなリーガルヒューマンドラマです。
単なる法廷ものではなく、弁護士たちの人間関係、成長、そして正義への情熱が丁寧に描かれています。
個人的にリアルタイムで追いかけるのは、2021年の大ヒット作「ヴィンチェンツォ」以来!
第1話から完全に心を掴まれ、この勢いで最終話まで駆け抜けてほしい期待のドラマです。
⚠️ ネタバレ注意
ネタバレを含むため、第9話まで未視聴の方はドラマを視聴後にご覧ください!!!
照明の向きを決めたのは誰か
真実は、どの照明で照らすかによって見え方が変わる、という、9話はとてもセンシティブな内容です。
ブログをどうやって書こうか、書き出しに悩みました。
一方、ジヌ坊の進展、ヒョミンの伸びしろが半端なく炸裂します。12話ミニシリーズにしておくのはもったいないくらい、各キャラクターに感情が乗ってしまいます。
少し長くなってしまいましたが、最後までどうぞお付き合いくださいませ!
1. ヒョミンの成長:「運だったのか?」への自問
9話でヒョミンはさらなる成長を見せました。見事でしたね。
検察から「基礎疾患が疑われる」という情報を受け取った場面。ただ知識を積み上げるだけじゃなくて、誰に、どの順番で頼んでいくかを組み立て、アソシエイトを巻き込みながら"法廷に耐えうる証拠"を作り上げました。
一担当者ではなくリーダーとして、彼女の実務力がぐっと上がった瞬間です。
さすがにソラを巻き込み機微情報もりもりの資料を共有するのはどうなのかな...と思われますが、ここはドラマなのでゆるしましょう!
意外だったのは、このドラマがあっさり結論が出たこと。私もヒョミンと同様に拍子抜けしました。
が、これが最後に伏線となるのです。
さらに「戦わずに終わること」への違和感を素直に言葉にできたのも大きい。勝ったけれど達成感がない。「運だったのか?」と自問するのは、勝ち負けそのものより"どう勝つか"を意識し始めている証拠です。
ソクフンから「運だと思う?」と返されたときに、偶然ではなく、多くの人の意志だったと学んだ彼女。これでヒョミンは「勝てばいい」から「どう勝つか」を設計する立場に近づいています。
2. 「生きる資格」をめぐる裁きはどこにあったか
法廷の外で開かれた裁判
9話のメインテーマです。
この脚本も現役弁護士さんでしか描けなかったエピソードだと思いました。そして、どう描くのか迷う問題だったはずです。
法医学の議論を使いながら、実は人々の内面で開かれた裁判(加害者に"生きる資格"があるか)を描いている。
裏面では、検察・弁護人・関係者それぞれが自分の中の「ミンソルを守る」という正義から微細な選択を行い、その総和が"不起訴"を照らした。そしてグレーな点があることも示唆している。
私は深夜にこのドラマを観たときは気持ちよく次の日を迎えたが、少し時間をおくと、違う感想を持ちはじめました。幸福な一致だが、この決断が常に望ましいとは限らないと思えたから。
現実世界への問いかけ
その時にXでこんなつぶやきを観た。私が抱えていた感情がXのポストで言語化されていたので引用しました。
自分も専門的な職業倫理観が問われる職種やからあの結果を"正義"としたことに違和感を感じてしまった。
もちろんドラマやから何でもありやし、ケースによっては私情を挟みたくなるのも分かる。
そこは十分分かるけど、それやっちゃうと現実世界、法秩序の均衡が保てなくなるよな。
京アニの主治医が『被告を生かして裁きにかけることが被害者や遺族のためにもなる』『死に逃げさせちゃいけない』と。
『生きて法廷に立たせたことで医療行為は意味があった』と。
私情なしに一人の"医師"として命を救うというその責務を果たすことが本来の姿じゃなきゃな。むずいけど。
二つの正義の交錯
世の中には2つの正義があって
制度正義(事実・手続・法適用の妥当性)
道徳正義(社会の倫理感情・被害者への共感)
制度正義は法医学によって筋が通っている一方、道徳正義(被害児への愛・加害者への怒り)が「同じ方向」を作り、結果に至る速度を上げた。これはどうなのか?という新たな問いですよね。
「뒤늦은 사랑」の意味するもの
そして検察側のシーンでヒョミンのナレーションの中で以下のセリフがありました:
마땅히 사랑받고 보호받으며 자라야 할 아이들을 "愛され守られながら育つべき子供たちを"
지키지 못한 어른들의 후회와 책임감에서 비롯된 "守れなかった大人たちの後悔が生んだ——"
뒤늦은 사랑 愛情だった
「뒤늦은 사랑」日本語訳は愛情だった とありますが、「뒤늦은 사랑」は直訳すると「遅すぎた愛」、「手遅れになってからの愛」というニュアンスです。
検事達の内に秘めた隠しきれない感情、医師の男性が「私も娘がいる」というセリフ、子供が持てなかったユン弁護士。
ユン弁護士のセリフ。道徳正義を選択した結論=脚本家の考えでしょう。
우리가 타인에게 남겨놓은 흔적 같은 게 아닐까요? "私たちが誰かに残した痕跡のようなものだ"
그 흔적이 その痕跡が——
고통과 절망만을 남겼다면 苦痛と絶望だけなら
삶은 자격을 잃게 되는 거 같아요 生きる資格を失う
最後、ヒョミンのセリフのあと、双子が笑って一区切り:
그가 살아온 길이 얼마나 뒤틀렸으면
사람들은
그의 죽음에서조차 정의를 찾으려고 했을까요?
ゆがんだ人生だった
だから人々は彼の死から正義を見いだそうとした
物語として「どの角度から物事を照らすか」を、人が選んでいると登場人物が自覚するところまで描けた。ドラマとしてはOKでしょう。ヒョミンは1つ学習しています。一方で、最後の決着に至るまでを決めたのは、人の感情や判断の積み重ねであることから、フェアであるのか、という問いも生まれます。
それにしても検事は弁護士にとって敵対関係であるシーンが弁護士ドラマや映画で多くみてきました。複数組織の人間が協業するシーンは初めてでした。1つの事件を多面的に扱う脚本の凄みです。
3. ジヌ節が炸裂:韓国語で読み解く告白シーンの真意
今回も驚かされたジヌ弁護士。
先週のep7-8はグラデーションだったジヌの思いが分かりました。
職場でついに限界突破です❤️🔥
ヌナがジヌの気持ちを知って一線を越えない様にしていたのですが、逆効果でしたね。踊り場まで連れて行って告白するシーンは、もはや高校生のようです。
で、今日はジヌ坊とヌナの会話をかなり深堀させてください。韓国語を勉強する身としては最高のコンテンツであります。
「너 나 동정하니?それって同情?」の真意
日本語の同情と韓国の동정はちょっとニュアンスが異なり、韓国語の동정には"위에서 내려다보는 연민(見下すような憐れみ)"がにじむので、単純な「同情」よりも「哀れみ」「憐れみ」がある。
年上で子どもがいるバツイチであることを気にしていたのでしょう。それを知ってからジヌが急接近しているのではないか?とヌナは思っていたようです。
너 내 과거 알고부터 이러잖아
私の過去が問題?
「あなた私の過去を知ってからこうするよね?」とヌナが問います。
「그럼에도 좋아」の深い意味
「でも、好きだったのはその前からだ。その前から好きだったけど、俺たちの関係が壊れるのが怖くて言えなかった」という流れからこのセリフです。
근데 '그래서 좋아'가 아니라 '그럼에도 좋아'가 되니까 내가 확신이 들더라고
字幕:過去を知っても気持ちが変わらないから
韓国語訳:でも「だから好き」じゃなくて「それでも好き」だって思えたから、確信が持てたんだ

このセリフは「細かすぎるがめちゃくちゃ伝えたい」殿堂入りです💯
ジヌの心の機微の移ろいが表現されています。
もうヤバすぎますね。(←語彙力...)韓国語を翻訳した瞬間、私の感情もSparkleしました!
더 이상 참고 있으면 병날 거 같아서 고백하는 거야 미칠 것 같아서
字幕:もう黙ってられなくて告白してるんだよ
韓国語訳:これ以上我慢してたら病みそうで、狂いそうで…だから告白してるんだ
韓国語って日本語よりも力強くストレートなんですよね。それでいて繊細な表現があります。原文みると印象が異なります。ジヌの大好きって感情がとっても伝わります。
字幕は1秒4文字という制限があるそうで、中身を変えずに伝えるって難しいですよね。この二人の会話のシーンを消化するのに時間がかかりましたが、韓国語をみると、ジヌの感情の繊細な変化が含まれています。同じ職場の同期でそういう関係はないと頭ではわかっていたけれど体がついていかない。ヌナが好きな理由が理解できました。
ep6 「愛という名の錯覚」でアソシエイトのチ・グクヒョンが高校時代の彼女と変態的な付き合いをしたことがあった、恋愛感情は人の理性を奪うこともある、というシーンがありました。
職場の踊り場でおかしな(ミッチョッソ)状況になる伏線ですね。
感情を直球に最大限に表現するのが韓国ドラマの魅力だと改めて思います。
4. ユン弁護士もユルリムのグイグイくるよー
子供の前ではぎこちない笑顔がありつつも、ユン弁護士お買い物シーンはほっこりしましたね。鋭いテーマなだけになごみます。


途中でトンカツ屋さん(Ginza Ryoko_ 긴자료코)が登場しました。私は初めてしったのですが、PPLで有名なお店のようです。Instagramも発見しました。


ヒョミンの「또 웃는다 また笑った」含みのあるラストシーンも色々と想像を掻き立ててくれます。

更にさらに、第9話は、案件と並走してユルリム内部の照明も揺れています!
成果連動制の導入と古参の反発、ハイニックコア案件、人事・リストラ・契約更改のドラスティックな前倒しなど、盛沢山です。そして謎の新米チェ・ユングン弁護士。
どうなるー!
おわりに
9話は「正義とは何か」という根源的な問いを、法廷ドラマという枠組みの中で丁寧に描いた秀逸なエピソードでした。
制度正義と道徳正義、どちらも大切で、どちらも危うい。その微妙なバランスの上で、私たちは日々選択を重ねているのかもしれません。

そして何より、ヒョミンの成長が眩しすぎる!残り3話、どう収束するのか目が離せません。
「照明の向きを決めたのは誰か」
この問いを胸に、最終話まで見届けたいと思います。
次回もお楽しみに!
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