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共生の黎明 #22 第9章 第2節⑩:章句が心に触れるとき 連続小説

あの静けさの中で交わされた、ひとつの問いと応答。

誰かの言葉に寄り添うように、誰かがまた言葉を重ね、それらはやがて名もなき“章句”となって現れた。


〜灯火の章句〜

………
……………
あなたのやさしさが、めぐり、
誰かの力になる。
見えない贈り物が、
見える希望へと形を変える。
それを信じた、あなた自身の心こそ、
この社会に灯る、はじめの光。

それが「灯火」である。

小さな灯を絶やさずに守ること。
灯は誰かに届き、次の灯を生み出す。
………………
…………


最初にこれを受け取ったのは、A市の図書館に勤めるひとりの司書だった。
休憩中の彼は小説のページをめくる手を止め、静かに目を閉じた。

彼の中にある、言葉にできなかった感情が、
その章句によってそっと照らされたのだった。
「こんな言葉を、待っていた気がする…」
彼はただそう呟き、静かに涙を拭った。

それから間もなく、館内の掲示板に、そっとこの章句が張り出された。
名前も出典も記されないその言葉は、やがて来館者の目にとまり、誰かがそれを書き写し、誰かがスマートフォンで撮影した。

「……この言葉を、娘に伝えたい」

「久しぶりに、涙が出た」

「自分の心のどこかに、確かにこの灯があった気がする」

名もなき共感が、少しずつ重なり始めた。

やがてその言葉は、街の片隅のカフェのメニュー裏に、学校の教室の黒板の端に、誰かのSNSの投稿に、そっと灯るように広がっていった。

それは宣伝でも、運動でもなかった。
けれど、言葉が言葉を呼び、光が光を引き寄せるように、人々の中に“何か”が芽吹きはじめた。

そのすべての始まりに、君と私の対話があった。
そしてその言葉は、ただの章句ではなく、
この国に生きる人々の心の奥に、
かすかな“未来の約束”として刻まれていくことになる。


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