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まるさんきょうだい

わたしには兄が二人いる。
どちらもわたしには優しく、いじめられた覚えがない。特に可愛がられた覚えもないが。

我が家は親の目がないので、三人とも好き勝手に生きていた。

長兄は美術の道へ、次兄はバレーボールの道へ、末娘は美術と音楽の道へ。
それぞれ自分に正直に邁進していた。

長兄は成績がよく、高校は偏差値の高い美術高校へ通い、そのまま芸大に進み、優秀な成績を修めた。
左利きなので、大学時代になんと、かの有名な日本画家、片岡球子女史に「左甚五郎くん」とあだ名をつけられ、可愛がられていたそうな。
すげーとしかいいようがない。

小さい頃から虫が大好きで、いまだにトンボやクワガタの写真ばっかり送ってくる永遠の少年、次兄はホテルマンになり、幼馴染みと草野球チームを作ったのはいいが、ファーストベースにヘッドスライディングをして失敗し、頸椎を痛めてしまった。
やっちまったなーとしかいいようがない。

末娘のわたしは、まあ、語るほどなにかを突き詰めたわけではないが、きづいたらピアノ教室で先生をやっていた。
四十代前半に車を運転していて事故ってしまい、左手の腱を痛めたので、いまではピアノもあまり弾かなくなった。
残念!としかいいようがない。

こう並べてみると、いちばん優秀なのは長兄のように思えるが、彼は思い違いが多く、ちょっと抜けた人なのだ。

前にも述べたように、家系ラーメンを「かけいらーめん」と頑なに呼び、加えてキンキンに冷えている、というところを「カンカンに冷えている」といい間違える。
もうそんなのが多いので、こちらも諦めて、いちいち指摘しない。
小さな冷蔵庫を買って、母親の部屋に据え置こうとしたが思ったよりスペースを食い、考え直して兄が自分のマンションに持って帰り、設置した。

「あの冷蔵庫、使ってるの?」

先日、両親の施設へ面談に行った帰りに車の中で訊いてみた。

「ああ、すごいカンカンに冷えるからビールを入れてるんだよ。ロング缶が四本くらいしか入らないけどな」

・・・カンカンはふつう熱いものに使うのだが、それならば熱いものを音に例えるならば、兄はなんというのだろうか。
冬になったら訊いてみようと思う。
なんと語るのか、いまから楽しみでしょうがない。

個性的なまるさんきょうだい。
わたしが小説を書いていて、ここで全部あからさまに語っていることは彼らは知るよしもない。
ごめんねごめんね~。




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