人のイヌを笑うな
犬の散歩をしていると、いろいろな人に出会う。
散歩は小さな社会。
年配の女性は“赤ちゃん言葉”で犬に話しかけてくることがある。
「かわいいでちゅねー。なんちゃい(何歳)でちゅか?」
犬が答えられるはずもない。
となると、飼い主の私が答えることになる。
えっと…、同じ口調で?
一瞬迷った末、「5ちゃいです」と半分だけ相手に合わせた。
恥ずかしい。
お願いだから、飼い主に普通に話しかけて欲しい。
公園で小学生くらいの女の子が近寄って来て「噛みますか?」って聞く。
「はい、噛みます」って言ったら、「きゃーー、噛むねんて!」と逃げた。
はい、さいなら。(※噛みません)
違う日に別の子が「ワンちゃん、撫でてもいいですか」って聞いてきた。
どうぞどうぞと、たくさん撫でてもらった。(※犬も大喜び)
ちょっとした言い方で対応も変わる。(おとなげなくてすみません)
中学生男子3人とすれ違ったときのこと。
すれ違いざまに、そのうちの1人がうちの犬を見て言った。
「わ、かわいい♡」
ところがその直後、彼の視線がこちらに向いた。
残りの2人が「かわいい」の視線を追うと、そこにいたのは犬ではなく
アラカンの”私“だった。
「え、そっち?」
思わず一人が声をあげてしまう。
犬と見比べて、こりゃあかん!と3人が固まる。
「えっと、…奥様ですね。はい。オクサマも……かわいいですね」
妙に丁寧な言い直しを小声でしながら、3人はそそくさ去っていった。
あまりのおかしさに、お腹がよじれた。
実は、うちの犬はデカパピ(でかいパピヨンの総称)。
パピヨンは3〜4キロの仔が多いのに、うちのは9キロを超えている。
公園で、おばちゃんに聞かれた。
「本当にパピヨン?」
「そうですよ」と答えると、さらに踏み込んできた。
「ちゃんと血統書、もらった?」
なんなん、それ。
正直なところ血統書などどうでもいい。
犬はかわいい。ただそれだけ。
(※ついでに義実家の“チワワ”は6キロです)
先日、Youtubeで見た話もひどかった。
ドッグランで、幼い子どもとその母親に「汚い雑種がいる!」と言われたらしい。
その人の犬は、MIX犬。
普通に愛らしく、お洋服も着ていつもキレイにしてもらっている。
「雑種」という言葉だって、犬の飼い主の間では死語だし、
汚いってなんやねん。
それも親子で言うって‥‥、おそろしいなと思った。
などと、小さな違和感を抱えながら散歩することもあるけれど。
いったん「かわいいワンちゃんですね」と声をかけられると、
世界がぱっと明るくなる。
あたりまえだけど、実際はそう言ってくれる人が多い。
「足が長いですねぇ」なんて言われると、
「私に似たんです♡」と心の中で笑う。
だって、犬は私の一人息子ですから。
そう、ちょっとした一言が、人を幸せにも不幸せにするってこと。
人のイヌは笑わずに、「かわいい」と言ってほしい。
(できればオクサマも)
