25歳では仕事8割、60歳からは1割へ。私が考える仕事と人生の時間配分【第8回】
25歳で起業してから、私は長い間、仕事を中心に生活してきました。
携帯電話販売事業、美容サロン、美容機器メーカー、スポーツジム、商品開発。
事業の内容は変わっても、若い頃は「どうすれば会社を成長させられるか」「どうすれば売上と利益を増やせるか」ということを、常に考えていました。
しかし50代に入り、仕事だけではなく、家族、友人、健康、スポーツ、海外での生活なども含めて、自分の時間をどう使うかを考えるようになりました。
今回は、25歳から現在まで、私がどのくらいの割合を仕事に使ってきたのか。そして、これからどのように変えていきたいのかをお話しします。
①25歳から30歳――仕事8割
25歳で起業した頃は、生活の約8割が仕事だったと思います。
もちろん、これは正確に時間を計測した数字ではありません。現在振り返ったときの、私自身の感覚です。
起業資金は、車を売ったお金を含めても300万円。
会社の作り方も知らず、信用もなかったため、商品を掛けで仕入れることもできませんでした。
先に代金を振り込み、携帯電話を仕入れて販売する。そこで得たお金を、また次の仕入れに回す。
一台売れなければ、次に仕入れる商品がないような状態でした。
当時は仕事と生活を分けて考える余裕がありません。
目の前の売上をつくることが、そのまま生活することでした。
店舗を増やし、会社を成長させることに夢中だったので、仕事に8割の時間を使うことを苦しいとも思っていませんでした。
若い時期に一つのことへ集中した経験が、その後の自分の土台になったと思います。
②30代――仕事7割から6割半へ
30代になると、仕事に使う割合は7割程度になりました。
会社や店舗が成長し、自分一人で目の前の仕事をこなすだけでは、事業が回らなくなってきた時期です。
自分で売ることより、人を採用し、組織をつくり、新しい事業や商品を考えることが増えていきました。
30代後半には、仕事の割合は感覚的に6割半ほどになったと思います。
仕事の時間が大幅に減ったというより、仕事以外の時間も少しずつ意識するようになったという方が近いかもしれません。
また、経営者としての仕事も変わりました。
長い時間働けば成果が出る段階から、「何を選び、何をやめ、誰に任せるか」が重要な段階へ変わっていきました。
③40代――仕事6割でも、頭の中は仕事だった
40代の仕事の割合は、感覚的に6割ほどです。
ただし、経営者の場合、仕事の時間を正確に分けることは簡単ではありません。
会社にいなくても、食事中や移動中に新しい事業を考えることがあります。海外旅行やスポーツ施設の視察から、新しい商品やサービスのヒントが見つかることもあります。
私がアメリカでPlanet Fitnessを見たことが、後のBeeQuickにつながったように、一見すると遊びや旅行に見える時間が、仕事の発想につながることもあります。
そのため、仕事6割といっても、頭の中まで完全に仕事から離れていたわけではありません。
一方で、この頃から「長時間働くこと」と「良い経営判断をすること」は別だと思うようになりました。
経営者の重要な仕事は、自分がすべてを行うことではありません。
会社が進む方向を決め、信頼できる人に任せ、大きな判断を間違えないことです。
④50代――仕事は4割から5割へ
50代に入ってからは、仕事に使う割合は4割から5割ほどになりました。
会社を売却したことや、日本とシンガポールの二拠点生活を始めたことも、大きな変化でした。
これは、仕事への意欲がなくなったという意味ではありません。
むしろ、自分が面白いと思える仕事を選び、自分にしかできない部分へ時間を使うようになったということです。
BeeQuickでは、私が毎日店舗運営を行うのではなく、株主の一人として、成長戦略や新しい事業の構想に関わっています。
OODYでは、海外の事例や商品を探し、店舗で試せる新しい商品やサービスを考えています。
「THE HUMAN CODE 300」では、これまで出会えなかった経営者や挑戦者と会い、その人の人生や価値観を未来へ残そうとしています。
以前のように、朝から夜まで会社にいる働き方ではありません。
しかし、自分が本当に取り組みたい仕事を選べるようになったことで、一つひとつの仕事の意味は、以前より大きくなったように感じます。
⑤仕事を減らして、何の時間を増やしたのか
仕事の割合を減らした分、何もしない時間が増えたわけではありません。
私が増やしたのは、家族、友人、健康、スポーツ、新しい人との出会いに使う時間です。
現在は、日本とシンガポールでテニスやピックルボールを週3回ほど楽しんでいます。日本へ戻った際には、ゴルフをすることもあります。
スポーツは健康のためだけではありません。
同じスポーツを一緒に楽しむことで、仕事の肩書とは関係なく、人と自然に親しくなることができます。
アレックスさんと知り合ったのも、シンガポールのアメリカンクラブでのスカッシュがきっかけでした。
仕事のためだけに人と会うのではなく、スポーツや日常生活の中で新しい友人と出会う。
そのつながりが、結果として新しい番組や事業に発展することもあります。
仕事と遊びを完全に分けるのではなく、それぞれが自然につながるような時間の使い方が、いまの自分には合っています。
⑥60歳からは、仕事1割でもいい
60歳以降は、仕事に使う割合を1割程度にしてもよいと思っています。
ただし、完全に仕事をやめたいわけではありません。
自分が面白いと思うことや、自分の経験が誰かの役に立つことには、これからも関わり続けたいと考えています。
毎日の業務や細かな管理を自分で行うのではなく、
・新しい事業や商品のアイデアを考える
・若い経営者から相談を受ける
・信頼できる人や専門家を紹介する
・経営者や挑戦者の経験を未来へ残す
・次の世代へ事業や人脈をつなぐ
そのような仕事へ、少しずつ役割を変えていきたいと思っています。
仕事の時間が少なくても、それまで積み重ねてきた経験や人とのつながりがあれば、誰かの役に立つことはできます。
長時間働くことではなく、自分がどこで一番価値を出せるかを考えることが、これからの仕事になるのだと思います。
⑦仕事の割合に、正解はない
私の時間配分をまとめると、感覚的には次のようになります。
・25歳から30歳:仕事8割
・30歳から35歳:仕事7割
・35歳から40歳:仕事6割半
・40代:仕事6割
・50代:仕事4割から5割
・60歳以降:仕事1割を目指す
これは、誰にでも当てはまる正解ではありません。
20代から仕事と生活を同じくらい大切にする人もいれば、60代、70代になっても仕事を続けたい人もいます。
例えば、20代、30代のうちからずっとバランスよく仕事と生活を半々にして過ごす人生もあります。一方で、私のように若いうちは仕事に大きく偏り、年齢を重ねてから趣味や家族に使う時間を増やしていく人生もあります。
どちらが優れているという答えはないと思います。ただ、自分の人生全体を振り返ったとき、若い頃に仕事へ偏った分は、後の年代で家族や趣味の時間を増やすことで埋め合わせる。そうやって長い目で平均をとったとき、結局は人生の半分くらいを家族や趣味に費やせている状態が、一番幸せなのではないかと私は思っています。
大切なのは、自分がどのような人生を送りたいのかを考えず、仕事だけで時間が過ぎてしまわないことだと思います。
若い頃に仕事へ集中したからこそ得られたものがあります。
一方で、年齢を重ねたからこそ大切にしたい家族、友人、健康、時間があります。
仕事を減らすことは、挑戦をやめることではありません。
自分がやらなくてもよい仕事を人に任せ、自分にしかできない仕事を選ぶ。
そして、仕事以外の人生も豊かにする。
私はこれから、仕事の量を増やすのではなく、仕事の意味と質を高めていきたいと考えています。
一度、過去のGoogleカレンダーやスケジュールを見返し、自分が実際に何へ時間を使ってきたのかを分析してみるのも面白いかもしれません。
感覚では仕事8割だと思っていた時期が、本当は9割だったかもしれません。逆に、仕事だと思っていた時間の中に、友人との出会いや趣味の時間が含まれていた可能性もあります。
時間の使い方を見ることは、その人が本当に何を大切にしてきたのかを見ることでもあります。
皆さんは、いま自分の時間の何割を仕事に使っていますか。
そして、5年後、10年後は、その割合をどのように変えたいでしょうか。
事業を続けながら、自分の役割や時間の使い方を変えたい経営者の方、事業承継や次の挑戦について考えている方は、公式LINEから現在の状況をお聞かせください。内容を確認のうえ、マルピーまたは担当者よりご連絡します。
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【マルピー】
25歳で起業し、携帯電話販売事業を約5年で最大約50店舗まで展開した後、4億円で会社を売却。その後、美容機器メーカーを創業し、40億円規模での売却を経験。現在はスポーツジム「BeeQuick」の全国展開を株主として支援し、美容・健康・フィットネスブランド「OODY」の商品開発に携わりながら、日本とシンガポールを行き来しています。
