能力が高いA層を現場に置いたとき、なぜ組織は静かに壊れるのか
能力が高いと評価されたA層が、
小規模の現場に常駐する
エリアマネージャーとして配置される。
この配置は、
一見すると合理的に見える。
判断が早い。
全体が見える。
現場も理解できる。
だが、
この配置は条件を外すと、
かなりの確率で崩壊する。
まず起きるのは、
判断の集中だ。
小規模現場では、
本来B層が担うべき
調整・判断の中継が省略されやすい。
結果として、
日々の細かい判断まで
A層に集まり始める。
本人は「見えてしまう」ため、
最初はそれを処理できてしまう。
ここで、
崩壊の準備が始まる。
次に起きるのは、
現場の判断停止だ。
A層が常駐していると、
現場は次第に
「決めなくていい」状態になる。
判断は上にある。
責任も上にある。
B層的な役割は消え、
C層は反応するだけの位置に固定される。
この時点で、
現場は静かに弱体化している。
問題はまだ表に出ない。
売上も回る。
クレームも少ない。
だが、
判断が循環していない。
三つ目に起きるのは、
A層の役割崩壊だ。
本来A層が担うべきは、
「最終判断」だけだ。
しかし、
小規模現場に常駐すると、
・日々の細かい調整
・人間関係の処理
・感情のフォロー
・例外対応
これらが
すべてA層に流れ込む。
A層は、
判断を引き受ける位置から、
「全部を抱える位置」に変質する。
ここで、
A層は二つに分かれる。
一つは、
自分で全部やり続けるタイプ。
この場合、
現場は短期的に安定するが、
人が育たず、
A層が抜けた瞬間に崩壊する。
もう一つは、
苛立ち始めるタイプ。
なぜ決められないのか。
なぜ考えないのか。
この苛立ちは、
現場には「圧」として伝わる。
すると、
C層が最初に反応する。
萎縮。
指示待ち。
責任回避。
ミスは減らない。
報告は遅れる。
これは能力低下ではない。
配置による反応だ。
遅れて、
B層不在の歪みが表に出る。
調整役がいないため、
小さなズレが吸収されない。
現場の不満は、
直接A層に向かう。
A層はさらに疲弊する。
判断の質が落ちる。
ここで初めて、
数値が崩れ始める。
この崩壊は、
A層の能力不足ではない。
配置ミスだ。
小規模現場に
A層を常駐させる場合に
必要なのは、
能力ではなく条件だ。
最低限必要なのは、
・判断の線を明確にすること
・B層的役割を意図的に残すこと
・A層が「決めない領域」を明示すること
・C層に判断を預けない構造を作ること
これがないまま
「優秀だから現場に置く」
をやると、
判断は回らず、
人は育たず、
A層が壊れる。
能力が高い人を
現場に置くこと自体が
間違いなのではない。
判断の配置を設計せずに
置くことが、
組織を壊す。
A層が常駐する現場が
うまくいっていないとき、
見直すべきなのは、
人ではない。
その人が、
どの判断までを
引き受ける位置に
置かれているかだ。
