掛け合わせのテロワール(25.11.28)

Metashapeで作成された3Dモデルを、ArcGIS Online上で公開・活用されている先生がいらっしゃいます。

Landscape Time Machine:桐村 喬 先生
https://tkirimura.github.io/3dviewer/ltm/

空中写真などをもとにMetashapeで3Dモデルを生成されており、
・写真の枚数
・カメラの精度(デジタルかアナログか)
・カラーかモノクロか

といった条件の違いによって、出来上がるモデルの精度も大きく変わってくるそうです。

実際に見てみると、都市部のビルが、どことなく洋菓子のカヌレのように、角が溶けたような質感になっている場所もあります。精密な空中写真が十分に揃わないエリアでは、どうしてもそうした表情になるようです。

そんなことを思い出しながら、先日、山中のスクリーンショット画像をChatGPTに
「輪郭をくっきりさせて」と指示してみたところ、元画像には存在しないはずの領域まで“それっぽく”生成されるという体験をしました。

では、あの“カヌレのような都市”で試したら、どうなるのだろうか。そう思って、投入前と投入後の画像を比較してみました。
 

投入前。トウフ・ワールド。


投入前は、いわばトウフ・ビートのような、柔らかく淡泊なカラーリングの画像。


生成後。不思議な色彩の世界観。


それに対して生成後は、色彩が一気に豊かになり、輪郭が強調された、けれどどこか現実味のない画像が立ち上がってきました。

ただ、これを「現実の再現」としてではなく、生成AIの作品として割り切って見ると、まるで油絵の線画のような独特の表現になっていて、その異質さに不思議と引き込まれていく感覚もあります。

ここでふと、先日参加したロフトワーク主催「理系のためのワークショップ Vol.2」でいただいた「虫秘茶」のことを思い出しました。


「虫秘茶」



虫秘茶は、葉を食べた芋虫の糞を乾燥させて煎じたお茶です。
私がいただいたのは、静岡県松崎町(国内の桜餅用の桜の葉の約8割を生産している地域)で育った桜の葉を食べた蛾の幼虫の糞から作られたものでした(蛾の名前は失念してしまいました…)。

それは、どこかに桜のフレーバーを感じさせつつ、発酵の効いた高級紅茶のような味わいで、とても印象的でした。

葉っぱと芋虫の組み合わせは無数にあり、栗の葉、松の葉などを食べる芋虫もいて、そこから生まれるお茶の風味も、それぞれまったく異なるそうです。まさにテロワール(風味)の世界です。
 
この構造は、生成AIにもよく似ていると感じました。「投入する元データ × プロンプトの指示」この掛け合わせも、事実上、無限大です。
そしてそこから生まれる出力結果は、ひとつひとつ異なる“テロワール”を帯びる。
 
そう考えると、生成AIは、さまざまなテロワール(表現)を生み出すための「装置」なのかもしれない。
そう思えてきて、もっといろいろ試してみたくなった、というお話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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