【感想】IMAX映画『罪人たち』
ロッキーやMCUを経てヒットメーカーの仲間入りを果たしたライアン・クーグラー
『ブラックパンサー』
『クリード チャンプを継ぐ男』
そんな彼の最新作『罪人たち』
主演は何度も組んできたマイケル・B・ジョーダンと再々々(以下略タッグ
アメリカでは興行面でも批評面でも大成功を収め、日本でも1ヶ月前に“緊急公開”が決定
「緊急」は単なる煽り文句かと思っていたのだが、本当に上映館数が少ないという噂もあるし実際どうなんだろ?
撮影
まず本作は撮影が独特
2つのカメラで撮った映像を組み合わせている。
IMAXの1.43:1画角
ウルトラ・パナビジョンの2.76:1画角
この併用、いや悪魔合体w
映画史上初だそうで。
しかもデジタルではなくKodakのフィルム!
マジで頭おかしいw(褒めてます)
画角が忙しなく切り替わるという印象も無いわけではないのだが、それを乗り越えて至福の体験でした。
めちゃくちゃ贅沢…
ライアン・クーグラーが自ら解説した動画がYouTubeで公開中
クリストファー・ノーランにアドバイスを請うたなんてエピソードも。
クーグラー監督は、「IMAXの達人であるクリストファー・ノーラン監督と製作を務めるエマ・トーマスからアドバイスをもらいました。撮影のオータムは、(『オッペンハイマー』でアカデミー賞撮影賞を受賞した撮影監督)ホイテ・ヴァン・ホイテマとも交流を深めました」と振り返る。
前半:会話劇
映画が始まってしばらくは物語のセットアップに専念。
ほぼ会話劇で進んでいく。
凡百の映画なら「早く本筋が始まってくれないかな〜」と退屈しかねないが、本作はそことは一線を画している。
とにかく編集のテンポ・リズムが良い。
素早くカットを割って映画的ダイナミズムを積み上げていく。
会話劇でも一冊退屈せずにずっと見ていられる。
報酬の交渉のやり取りとかもう最高w
スモークとスタックの演出に差を付ける対比の見せ方も上手い。
スタックは軽快な音楽に乗せてテンポよく、スモークは重厚な劇伴でじっくりと。
この前半が退屈しないどころか面白いのは本当に大きい。
リサがグレースを呼びに行くシーンの、店と店の往復ワンカット長回し撮影も印象的。
中盤のクライマックスへの布石(予行演習)にもなっているのがニクいんだよなー
中盤:音楽映画
そんな感じで会話劇に身を委ねていると本作は音楽映画に変貌していく。
ハイライトはワンカット長回し撮影で描かれる酒場でのライブ!
文字通り時代を超越した最高のシーン!
1.43:1画角の上下を一杯まで使っていてめちゃくちゃ贅沢だった。
デイミアン・チャゼルの『バビロン』の序盤のパーティー会場やエドガー・ライトの『ラストナイト・イン・ソーホー』の前半のダンスのシークエンスを彷彿。
配信されたらあの場面を繰り返し見ちゃうんだろうなぁw
今年は『アドレセンス』『ザ・スタジオ』『ラ・コシーナ/厨房』と印象的な長回しが多いけど、これが1位かも。
黒人音楽という点では(レゲエとブルースの違いはあれど)スティーヴ・マックイーンの『スモール・アックス』の第2話『ラヴァーズ・ロック』に似た多幸感
後半:ホラー
そんな多幸感に包まれた音楽映画から一転、終盤はホラーにジャンルシフトもとい急カーブしていく。
黒人の歴史×ホラーといえば過去にも様々な作品が撮られてきた。
ジョーダン・ピールの出世作『ゲット・アウト』
Amazonオリジナルドラマ『ゼム』
特に「あの建物が実は…」という文脈で鑑賞中は『ゼム』を強く思い浮かべていた。
ジャンルレスぶっ飛び具合という意味で最も近いのはHBOドラマ『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』か。
『罪人たち』も前提知識があるとより面白いけど、『ラヴクラフトカントリー』に比べればハードルは低いかなと。
そこが心配な人もとりあえず観て映画に身を委ねるのがオススメです。
(個人的には解説の記事やポッドキャストを入れてから2回目行こうか考え中)
ゾンビ映画が量産されるこの時代にクラシカルな吸血鬼というのも面白い。
マイク・フラナガンの『真夜中のミサ』を思い出した。
特に明け方のシーンはまさに!
撮影の技術的側面から脚本のジャンルレスっぷりまで、ワーナーというメジャー配給でよくぞこんな映画を撮れたものだ。
天晴れとしか言いようがない。
2025年上半期、下手したら年間の大本命かもしれません。
可能ならグランドシネマサンシャイン池袋か109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXレーザーGTで。
(IMAXのためメルボルンまで海外渡航した身かすれば国内旅行なら安いもんですw)
