【日常に戻れる歌詞考察⑥】KinKi Kids|愛のかたまり ― 好きすぎると、不安まで一緒に大きくなる ―
KinKi Kidsの「愛のかたまり」は、2001年に発表された楽曲です。
13枚目のシングル「Hey! みんな元気かい?」のカップリング曲として
収録されています。
作詞は堂本剛さん、作曲は堂本光一さん。
カップリング曲ですが、今でも多くの人に大切にされている一曲です。
2001年頃は、今みたいにSNSで相手の日常がすぐ見える時代ではありませんでした。
会えない時間は、本当に会えない時間だったんですよね。
だから、「今、何してるんだろう」と考えたり、
次に会う日まで何度も同じ言葉を思い出したりする。
好きな人との距離も、今より少し不器用で、
でもその不器用さまで恋の一部だったのかなと思います。
正直、初めてこの曲を聴いたときは、すごく女性目線の強いラブソング
だなと感じました。
けれど年齢を重ねて聴き直すと、男女の話だけではないんですよね。
人を大切に思うほど、不安も一緒に大きくなる。
そのどうしようもなさが、ちゃんと歌われている曲なんだと思います。
この曲の核心は、「愛が大きいほど、失う怖さも生まれる」という
気持ちかなと思っています。
好きな人がいると、毎日が少し変わります。
若い頃は、それをうまく言葉にできませんでした。
いつもの道でふと同じ香りを感じたり、何気ない仕草を思い出したりする。
それだけで、仕事のことを考えていたはずなのに、
急にその人の顔や声を思い出してしまうんです。
そういう経験、ありますよね。
別に大げさな出来事があったわけじゃないんです。
ただ、ふとした香りや仕草を思い出しただけで、
急にその人の顔が浮かんでくる。
それだけで、少し胸があたたかくなったり、
「今どうしてるかな」と思ったりするんですよね。
「日々が愛のかたまり」という言葉が、
この曲のすごいところだと思います。
愛って、記念日やプレゼントだけにあるものではないんですよね。
朝の一言、帰り道の電話、くだらないことで笑った時間、
ケンカしたあとに何となく元に戻る空気。
そういう小さなものが積み重なって、あとから振り返ると
「あれが愛だったんだな」とわかる。
50代になって思うのは、若い頃の自分は、
愛を少し特別なものとして考えすぎていた気がします。
わかりやすい言葉がないと不安になる。
相手がちゃんと好きだと言ってくれないと足りない。
そんなふうに、確認ばかりしていた時期がありました。
実は、そこが自分の一番つまずいたところでした。
相手を信じたいのに、失うことを先に考えてしまうんです。
楽しい時間の中にいるのに、「これが終わったらどうしよう」と
考えてしまう。
相手が少し黙っただけで、何か悪いことをしたかなと思う。
今思えば、愛していたというより、
愛され続ける保証を探していたのかもしれません。
でも、この曲は、その不安を無理に消そうとしていないんです。
好きだからこそ怖くなる。
大切だから、失いたくないと思ってしまう。
そういう気持ちって、ありますよね。
それも含めて、愛の中にある自然な感情なんだと思います。
特に、ケンカや価値観のずれが出てきても、
それでも笑顔に戻れる関係がある、という部分に救われます。
長く一緒にいれば、意見が合わない日もあります。
言わなくていい一言を言ってしまうこともある。
疲れていて、優しくできない夜もある。
でも、そんな日があっても終わりではないんですよね。
一緒に過ごしてきた時間の中には、ふたりだけが知っている
戻り方があります。
ちょっとした冗談だったり、いつもの呼び方だったり、
相手の好きな飲み物を黙って出すことだったりする。
大人になると、そういう小さな仲直りの形が、
本当に大事なんだとわかってきます。
この曲を聴いていると、愛はきれいな場面だけで
できているわけではないと感じます。
不安もある。もどかしさもある。相手が変わっていく寂しさもある。
でも、それでもその人の変化まで愛しく思えるなら、
それはかなり深い愛情なんじゃないでしょうか。
読んでいるあなたにも、そういう人がいたかもしれません。
今そばにいる人かもしれないし、もう会えない人かもしれない。
あるいは、昔は大切だったけれど、
今は別々の道を歩いている人かもしれません。
この曲は、「その人を思った時間まで、なかったことにしなくていい」と
言ってくれている気がします。
昔の自分に一言かけるなら、こう言いたいです。
「不安になるのは、弱いからじゃないよ。
それだけ大切に思っていたんだよ」
「愛のかたまり」は、恋の幸せだけを歌った曲ではなく、
愛することの怖さまで抱きしめている曲だと思います。
聴く人によって、思い浮かぶ相手は違っていい。
恋人でも、夫婦でも、昔好きだった人でもいい。
冬の夜にふと思い出して、少し胸が苦しくなって、
それでも温かい気持ちが残る。
そんなふうに、また日常に戻る前にそっと聴きたくなる一曲かなと
思っています。
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