概念化の成果物を生かすも殺すも計画しだい(2/2)
概念化がもたらす価値は実行計画を通じてビジネスの成果につながる。
自分にとっては計画するまでもない分かり切った話だと計画を切り捨てる日本企業の中では概念化は育たない。
実は、実行計画には「すり合わせ」が欠かせない。概念化の分野では日本は欧米企業に及ばないが、すり合わせによって磨き上げられた実行計画は欧米企業を凌駕し、概念化力のマイナスを相殺しても余りある。
前回は、概念化がもたらす価値についてお伝えしました。
そして、概念化には続きがあります。
なぜなら、概念化ができたからといってビジネスの目的はまだ達成できていないからです。
概念化の価値をビジネスの成果に結びつけるためには「実行計画」が欠かせません。
今回はこのあたりから話を始めます
まずは実行計画に織り込む内容にはどのようなものがあるのかを紹介します。何のための実行計画なのかによって織り込む内容は違ってきますので、これらは一例に過ぎません。
目標達成に向けたシナリオ
運営方針
投資の種類と規模、投資のタイミング
選択肢と仮説
実行上の障壁と、それを打破するシナリオ
評価指標(先行指標と結果指標)と評価基準、評価のタイミング
推進体制とレポートライン
責任分担や役割分担、会議体
推進する上で欠かせない制度やルール
詳細な日程計画
詳細な予算計画
これらのうち「目標達成に向けたシナリオ」と「運営方針」は概念化により生み出された価値そのものですが、実行計画ではこれらを必要に応じて詳細化していきます。
日本企業には計画をお座なりにする組織風土がありますが、実行計画も例外ではありません。
たとえ、自分にとっては計画するまでもない分かり切った話だったとしても、それをひとりで抱え込んでいたのでは周囲の人たちには伝わりません。
実行計画を作成してみると気付くのですが、頭の中では分かった気でいても、いざカタチにしようとするとなかなか手が進まないものです。肝になる箇所が曖昧だったり、論理的に矛盾していたり、できると思っていたことが実は非現実的だったりと、悩みは尽きません。
その実行計画には、実は現場との議論が欠かせません。現場の行動をイメージできなければ、絵に描いた餅になりかねないからです。
こんなときに役に立つのが「すり合わせ」です。
これは、トップダウンともボトムアップとも違う、日本固有のやり方です。以前に、目標設定段階のすり合わせはご法度だと書きましたが、逆に実行計画には欠かせません。
「〇〇したいのですが、実際にはなかなか難しくて… 」
「それなら問題ありません、私たち現場が☐☐しますよ」
「… 」
「私たちが☐☐して上流部門にそれを伝えれば、彼らは必ず△△してくれますから」
「そんなことができるのですね、どうもありがとうございます」
こんな会話が成立するのが日本の現場の良さです。
概念化の分野では日本企業は欧米企業に及びません。
多様な人々が織りなす複雑な社会の中で、価値観や問題意識の違いを乗り越える手段として、彼らは自然と概念化力や共感力を育んできました。日本企業が付け焼刃で簡単に追いつけるものではありません。
しかし、実行計画は別です。
計画嫌いな組織風土にあっても、いざ実行計画を作成しようとすると、日本人のすり合わせ力が日本企業の良さを引き出します。
とかく、現場に期待し過ぎるがあまり実行計画を軽視する傾向がある日本企業ですが、そのハードルを越え、実行計画を通じて事前にすり合わせておけば、概念化の成果物は、これまでに経験したことがないほど大きな成果を生み出すはずです。
すり合わせによって磨き上げられた実行計画は欧米企業を凌駕し、概念化力のマイナスを相殺しても余りあります。
実行計画を通じ、概念化力で大きな成果を目指したいものです。
私たち日本人の概念化力は、これを繰り返すことでスパイラルアップされるはずです。
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